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日記

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あの通りを西に入ったところ
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#平成最後の夏

すいかと月

蛍光灯が切れて薄暗い実家のキッチンで、すいかを切りながら、そういえば平成最後の夏だなと唐突に思った。自然光に照らされて瑞々しいすいかに、“平成最後”といった特別感は微塵もなかった。 幼い頃、夏休みが少し怖かった。たまたまいつだかの夏休みに、自分や身内や周囲の人にたてつづけに病気や死が降りかかった。私は「早世」という言葉を早くに覚えてしまった。おそらく同年代よりすこし、その辺を不安に思いやすい子どもだった。 元気でない子どもにとって夏休みとは“長い暇”だった。ほんとうは思