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たぶん、大したことない。
今でも不思議だけど、
あっさりしすぎたガン告知を受けて、
病院を出てから、チラチラしている雪が
涙で少し歪んだけれど。
そのとき以来、病気のことを思って泣いたことは、
一度もなかったように思う。
子供も泣かなかったし、
彼氏も泣かなかった。
母は、わたしの知らないところで泣き崩れたらしいけど。
ガン告知があってから10日後、
わたしの誕生日だった。
100キロくらい離れてる実家から、
3つ年下の弟が、クルマを飛ばして、
両親を連れて会いに来てくれた。
母が持ってきてくれた、箱買いしたイチゴは、
わたしの部屋をいい香りでいっぱいにしてくれた。
母は最近、足が痛くて動くのが億劫だけど、今日だけは嘘みたいに足が痛くない、といって、わたしのエレベーターのないアパートの3階まで上がってきてくれた。
束の間の家族との再会で、
少し照れ臭くて。
狭くて座るところもないわたしの部屋だけど、
上の娘と、彼氏と、両親と弟で、少し話をした。
病気のことも話して、
わたしは映し出されたモニターで見た、自分の病変部分の様子を話し、
『チョキンって切れそうな、キレイなイボだったよ』
と言った。
本当にそう思った。
手術も多分、すぐ終わるだろうし。
そう話すわたしを見て、弟は泣いていた。
そんな弟を見たら、
わたし、死ぬのかな、、、
普通に考えると、
そうかな。。
そう思って、少し泣いたかもしれない。
でも、不思議と、
いや、たぶん、大したことない。
って思っていた。
きっと治る、とか、そういう希望があったわけではなくて、
なんか、大して心配するようなことではない気がしてた。
理由はないけど。
置かれていた状況が大変だったから、
そこから逃げ出せるような気がして、
ちょっと、嬉しかったのかもしれない。
シングルマザーで、そこそこの収入はあったけれど、
それ以上に3人の子供にかかるお金は飛ぶようで。
上の女の子2人が私立大学に行ってて、
3人目の男の子が高1で不登校で。
そういえば、息子の高校の先生から、当時よく電話をもらってて、病気のこと、お話ししたな。
先生はとっても気の毒がっておられたけれど、
かといって、息子が学校に行くわけでもなく。
にっちもさっちも行かない日々に、起こった出来事だった。
一時停止。
お母さん、とりあえず休むわ。
そんな感じだった。
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