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親の離婚を糧にする子・引きずる子の分岐点って!?(後編)

前回より、親の離婚を糧にする子・引きずる子の分岐点になっているものってなんだろう?ということについて書いています。

親が離婚をして、一緒に住むことになった親を助けようとする子どもや、親を悲しませたくないという子はとても多いです。やはり子どもにとってはお父さん・お母さんの笑顔というのは安心材料で心の安定につながるものですから、笑顔につながるように頑張ろうとするんですね。それでもまだまだ子どもだから、当然甘えたい気持ちだってあるわけです。

しっかりしたり、グレたりするというのは、そのもやもやした葛藤の反動なんですよね。甘えたい気持ちをうまく表現できずに自分で抱え込もうとすると、それを外に発散させるために非行に走ったり、自傷行為をしたりします。すると「グレてる」と周りからは言われます。

親を守ろうとする気持ちが強い子、特に母性のある女の子や、きょうだいの一番上の子に多いです。こういう子は「甘えたい」という気持ちすら起きないようになってしまっているので、親や大人の手助けをしたりして、「しっかりしてるね」と言われます。

これは、親の離婚に限らず、たとえば親御さんのどちらかが早くにお亡くなりになっている子や、おじいちゃんおばあちゃんの介護でおうちの中がいつもバタバタとしていた子、さまざまな家庭で起こりうることです。

ここで非常に重要なことは「グレる」も「しっかりする」も健全ではないということなんですね。特にしっかりしている子は「反抗期がなくて育てやすい」とかポジティブに言われることもあるのですが、それもとっても危険信号なんです。


子ども時代に子どもらしく過ごせていないことは、大きなひずみになって子どものその後の人生に生きづらさを残す可能性があるからです。ウィーズにも20代・30代になって「親の離婚が傷になっていると気づいた」と相談してこられる方がたくさんいます。

だから、親御さんもそうですが周りの大人の働きかけって本当に大事なんですね。いかに、子どもの甘えたい気持ち、それでも頑張っている気持ちに気づいてあげられるか。

離婚というのは親にも相当のダメージを与えますから、親がしんどいなっていうときは、周りの大人がそれを補えばいいんです。子どもは社会の宝なんですから、親御さんもどんどん周りに頼ることが子どものためになることだってあるのです。

それに多くの場合は、親御さんも子どもの幸せを考えていて、それでもなんともできないこともあるという葛藤の中にいらっしゃるはずです。

ひとつ、事例をお伝えしたいと思います。

ある女の子、Aちゃんとしますが、Aちゃんは1歳の時に両親が離婚をしました。実のお父さんの顔は全く覚えていません。Aちゃんが物心ついたころには、おじいちゃんおばあちゃんが身の回りの世話をしてくれていて、お母さんは朝から昼までコンビニでバイト、昼に少し休憩して夕方になるとスナックに働きに行くという毎日でした。Aちゃんは学校から持ち帰る音読カード(教科書の音読をして親御さんに評価を書いてもらってハンコを押してもらうという学校の宿題ですね。)を聞いてもらう相手がいませんでした。おじいちゃんもおばあちゃんもあまり耳が良くないので聞いてもらえなかったからです。また、同じく学校から持ち帰る集金袋(たまに美術の教材買ったりするのに渡されるもの)も、おうちが裕福でないことを理解して、なかなか出せずにいました。
Aちゃんは、音読カードには毎日おじいちゃんの万年筆を借りて、自分で評価の丸を書いてシャチハタのハンコを押しました。集金袋には、たまにお母さんがくれるお小遣いをためたものを入れるようにしていました。
お母さんは、学校の三者面談に行けば「Aちゃんはクラスでもしっかりしていて頼もしいです!」と担任の先生に言われることを良いようにだけ捉えて、『A、すごいわね、本当に手がかからなくて助かるわ』とAちゃんを褒めました。
Aちゃんは中学生になって、学校に行かなくなりました。夜も遅くに帰ってくるようになりました。援助交際をして、お金を作ることもありました……。

さぁ、このAちゃんのケース。みなさんどうお感じになったでしょうか。

Aちゃんは、この時点では「親の離婚を引きずっている」ように感じられますよね。子どもの方が頭と気を使っていて、大人がなかなか気づけないこともわかります。


Aちゃんの置かれている状況、必要としていることを想像し、自分にできることがないかを考えることが、まずは大人にできることの1歩です。

そうして考えたことは、さまざまな子どもたちに応用可能でもあります。

今回は親の離婚によって子どもが「しっかりする」「グレる」という分岐点を皆さんと深堀してきました。そして、そこには周りの大人の働きかけがキーになるということがわかりました。


子どもの些細な行動や表情を観察して、声をかけること、この積み重ねだけでも、子どもの心は大きく変わります。この人になら自分の気持ちを言ってもいいかな?と思ってくれれば、甘えたり、頼ってきたりすることもあります。


子ども時代を子どもらしく過ごすことができた子どもは、成長して自分自身や自分の家庭を客観視できるようになったとき、親の離婚をしっかり消化して、糧にすることができます。そして、自分自身の人生を前に進めることができます。


それができないと、自分の人生がうまくいかないことを、いつまでも親の離婚のせいにして、引きずられて生きることになってしまいます。


私たちは、そういう子どもたちがいないように、大人の責任として行動していかなければなりません。

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