見出し画像

異国の地で学んだこと

無口でシャイな私が初めてイギリスに来たのは20代後半(’90)。ある片田舎の海辺にある英会話学校で学ぶためであった。日本で手続きをした時は初めての海外生活だったし、どうなる事か予想もつかなかった事からとりあえず3か月のコースを申し込んでみる事にした。もし居心地が良さそうだったらもう3か月続けるつもりで準備して日本を飛び立った。

語学学校は中規模くらいで、当時日本人は多かったが生徒たちはヨーロッパからのティーンエイジャーがかなりの割合を占めていた。私のホストファミリーも良いおばさんとおじさんで、食事もまあまあだった。その家にホームステイしていた生徒は私の他にイタリア人の女の子二人、その子達が母国に帰った後はブラジル人の女性が一緒だった。3か月はあっという間に過ぎていこうとしていた。

私は、その頃焦りを感じていた。私の英語が思ったようにうまくならないのであった。(今思うと、幾ら現地で朝から晩まで英語漬けの生活をしても、たった3か月で英会話を身に着けようなんて無理難題な話である。)
私はある日、学校の事務局にもう3か月延長したい旨を伝えるため出向いた。事務員の女性は全く面識がない女性だったが、私は短いセンテンスで言いたいことを伝えた。女性は静かに聞いてくれた。私はこんなコース終了ギリギリの頃に言ってもダメかなと思っていたが、事務員は暫くパソコンやファイルやらを眺めて、その場でこころよく承諾してくれた。もう3か月延長することが出来たのだ。しかも多少のディスカウントをして貰うことも出来た。

人間、勇気を出して言いたいことは言ってみるものである。私は少しばかりの感動を覚えた。大げさかもしれないが、今でもその時の自分を誇りに思っている。その頃私は、コミュニケーションの大切さをようやく知り始めたような気がする。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?