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誰が為に12.8秒は鳴る

Easy Strand / Swimming Tapes (2018) ギターポップが青い理由プール・サイドや廊下が青春映画のルーティーンとして設置されるのは、再現性のなさという観点からも理に適っている。ムービーマヨネーズだってそう言っているし。Thin LizzyかThe Knackで幕が開けたら廊下を通って、クライマックスには水に飛び込むのがセオリー。それがきっと青い春。 じゃあなぜ、ギターポップはなぜ青いのか? Swimming Tapesの"Easy Stran

トロピカルジュースで。never young beachと嗚咽の正体

<こちらは2016年の記事です> ライブに行くと決まって、歓喜や興奮、感動を通り越して嗚咽してしまうバンドがいる。 今かつてない盛り上がりを見せている日本のインディー・シーンにおいて、決して同世代が故の誇らしさという理由だけでは説明出来ないほどの多幸感と涙に僕が何時も襲われてしまうのが、1970年代の日本語フォークを彷彿させるような歌詞を、心地良いトリプルギターのアンサブルに乗せる5人組。 誰かがそのライブを見て「トロピカルジュースの中に居るよう」と形容した”never

街の報せが聞こえるかい?ceroがケリをつけた2016年のシティポップ

<こちらは2017年の記事です> 2016年、日本の音楽業界で最も耳にした言葉のひとつにシティ・ポップがある。なんて便利な言葉なのだろう!流行を定義付ける有用的な単語が一人歩きして、括られることを嫌うアーティストまで現れている状況には、かつての渋谷系の流行とも近しい雰囲気を感じる。 シティ・ポップ。どうやら1970年代以降にそんなムーヴメントがあったらしい。とはいえ僕が生まれたのは1991年なので、言うなればセカンド・シティ・ポップ(と、愛を込めて名付けたい)の潮流をリア