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自分のやってきたことが今後も必要とされるのか疑ってみる

昔、WEBデザイナーになりたての頃の話。社内のDTPデザイナーから「WEBなんてフォントやレイアウトに制限があって、紙の方が表現性やクリエイティブを追い求めることができる」とWEBデザインを下に見る人が社内では多かった。

デザイン経験がなくて仕事をやり始めたから、実際にDTPやってる人は美大や多摩美・武蔵美卒が多くてがたまにデザイン案を複数作るときにヘルプでWEBデザインをやると、バランスをとるのが上手くて憧れた。

そんな私もデザインを試行錯誤しながらやっていく内に、レイアウト、フォント、色を少しずつ覚えていった。WEBの仕事はどんどん増える一方で、紙のデザインの仕事はどんどん縮小していった。そうなると、DTPデザイナーの仕事も減っていって、拡大するWEBデザインの仕事をアサインされるようになる。ただ、彼らはWEBのことをあまり知らないため、ディスプレイ解像度を考慮した画面設計になかなか対応できていなかった。平面的な紙のようなデザインはバランスがとれていて上手いけど、どこがクリックできるかわかりづらかったり、見出しが大きすぎたり、WEBサイトのルールやトレンドをあまり受け入れることができず、そのまま退職していくことが多かった。

その一方で、WEBデザインをやっていた私たちに積極的に「これのボタンはWEBだとどんなデザインするといいのか」と聞いてくるDTPデザイナーもいて、その人は今では紙もWEBも含めたデザイン全般を監修するクリエイティブディレクターになっている。※DTPの中でも紙一筋で第一線で活躍している人もいる。

あれから10年以上が経って、最近ではWEBデザイナーという職種よりは「UI/UXデザイナー」職の募集が増えている。知り合いのWEBデザイナーと話した時「UI/UXデザイナーってスマホの小さな画面で出来合いのパーツを並べてるだけで、表現が制限されてて面白いのかねぇ…?」と、話題が上がった。

私は現在ではWEBマーケターに転職したが、PCとスマホの両方のデザインを実際にやった当時の感想では、デザインの表現としてはPCよりも窮屈に感じた。でも、その時に思い出したのが当時WEBデザイナーになりたての頃のDTPデザイナーとの関係とすごく似た感情が湧いてきた。いつの間にか、自分のやってきたデザインが正しくて、クライアントやユーザーに受け入れられていると思い込んでいるけど、実はどんどん時代のニーズとはかけ離れていっているのではないかと。

今は実際にデザインをする立場ではないが、当時の私たちにWEBデザインのことを聞いてきたDTPデザイナーのように、新しいものを柔軟に受けれ入れられる自分でありたいと思っている。

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