23年度の日本発航空輸出は2年連続のマイナス予測、NX総研が発表の見通しで
NX総合研究所は4月5日、「2023年度の経済と貨物輸送の見通し(改訂)」を発表した。これによると、23年度(23年4月〜24年3月)の日本発航空輸出は前年度比で1.8%減少する見通しで、前回(1月)予測から下方修正されている(下表を参照)。
航空輸出の23年度:1.8%減については、22年度の15%減に続くマイナス予測となった。22年度下期は、コロナ後に起きた海運→航空シフトが海運回帰の傾向によって減少したことなどを要因に、全路線が2桁台のマイナスとなっていた経緯がある。
その上で23年度の航空輸出についてNX総研では、「太平洋線で海運からのシフトの反動減・海運回帰が一巡し、航空は小幅減に改善し、アジア線は中国ゼロコロナ政策終了・新型コロナ収束による回復・反動増で、マイナス幅が大幅に縮小する」と見込む一方、「欧州線はウクライナ情勢や経済減速の長期化により、5%超の減少に」なると予測した。
品目別では、主要輸出品目である半導体関連(電子部品・製造装置)が市況の軟化と製造装置を含む対中輸出規制の強化によって失速、低調な荷動きになると見ている。また、半導体と並び主要輸出品目となる自動車部品についても、「EVシフト需要の拡大や車載半導体不足の解消に伴う工場生産の正常化を受けて持ち直すが、挽回生産に大きな期待はできない」としている。
半導体関連/自動車についてはこのほか、対中半導体輸出の規制が早期実施される、あるいは自動車工場生産の正常化が後ずれすることで、さらに下押しも考えられるとした。
一方で、一般機械・機械部品については、海外での設備投資ニーズが底堅く推移して、下期にかけて増勢が回復すると見ている。
これらを総合して、23年度航空輸出の貨物量はコロナ前(19年度)の水準を5%超上回る(106.3%)ものの、22年から2年連続の減少を見込んだ。
航空輸入については、前22年度下期で物価上昇・円安進行による下押しを受けて消費財の荷動きが著しく失速、 生産財についても部品・部材類や機械類は総じて低調な荷動きが継続していた。
その上で23年度は、「個人消費が伸び悩む中、物価上昇・円安基調による下押しは続き、消費財は前年度水準に届かない見込み。また、EC・通販関連も、前年度から増勢の鈍化が避けられない」と予測する。
一方で、生産財については、「生産拠点の国内回帰や調達先分散などが進み、部品・部材類の調達が回復・拡大。さらに中国のゼロコロナ政策終了・新型コロナ収束による反動増も考えられる。 ただ、新型コロナワクチン・治療薬など医療関連品は、接種回数の減少や国内生産の活発化で反動減の見込み」とする。
これらを総合して、22年度航空輸入の貨物量は0.6%増加の見通しとした。
2023年4月10日掲載
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