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IATAが23年の貨物収入・イールド予測を引き下げ

IATA(国際航空運送協会)はこのほど、昨22年12月に発表した23年の航空貨物収入と貨物イールドの予想をそれぞれ引き下げた。

IATAは23年の貨物収入予測を、前回発表の1494億ドルから下方修正し、1423億ドルと見込む。貨物収入は、「21年が2100億ドル、昨22年が2070億ドルと、コロナ下で航空貨物が活況を呈した過去2年と比べて大幅に減少するものの、コロナ前の19年(1000億ドル)を上回る水準を維持している」とした。

貨物量は世界的な荷動き鈍化で23年は5780万トンと、19年の6150万トンと比べて減少するとしており、IATAは「貨物輸送量はパンデミック前と比べて減少しているにもかかわらず収入は上回っている」と説明した。

また、航空業界の総収益に占める貨物売上の割合は、航空貨物が活況を見せていた21年の40%から23年は18%に後退するが、こちらもパンデミック前(19年)の平均約10~12%よりも高い水準を維持する見通しだ。

23年の貨物収入とイールドはコロナ感染拡大前(19年)の水準を上回る

一方、貨物イールドは昨年より28.6%低下すると予想しており、「旅客便の急回復によるベリーキャパシティの増加や、各国で経済の加熱を冷やすようなインフレ対策がイールドに悪影響を与える」との見解を示した。ただ、イールド減少はコロナ禍の中、20年が54.7%、21年が25.9%、22年が7.4%と上昇し続けていたことの反動減もあるが、それでもコロナ禍以前よりも高い水準になるとしている。

収入とイールドの両方がコロナ感染拡大前の水準を上回る一方で、需要を示す総貨物トンキロ(CTK)換算の貨物輸送量は、昨22年比で3.8%、19年比で5.5%、それぞれ減少すると予想されている。IATAは「CTKは昨22年3月以来13ヵ月連続で前年同月を下回っているが、供給量を示す有効貨物トンキロ(ACTK)は、旅客便の再開により着実に増加している。それにもかかわらず、世界の生産能力は依然としてコロナ以前のレベルに戻っていない。実際、23年第1 四半期の季節調整済みACTK は、19年第1四半期より6.4%減少している」と指摘する。

IATAでは23年の世界の航空会社全体の純利益を、昨22年12月に発表した47億ドルの予測から、2倍以上の98億ドルに達すると修正している。IATAのウィリー・ウォルシュ事務局長は「23年の航空会社の財務業績は予想を上回っている。中国が予想より早く今年の新型コロナ感染症に関する規制を解除したことに加え、貨物収入がパンデミック前を上回る水準を維持している。また、コスト面でも燃料価格は依然として高いものの、今年上半期には落ち着いた。これらの要因が航空各社の業績回復に大きく寄与している」とコメントした。

2023年6月9日掲載


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