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EUの輸入管理システムICS2:フェーズ2が3月1日から導入開始

危機管理向上を目的としたEU(欧州連合)の新たな税関事前貨物情報システム「ICS2」が、3月1日から第2段階(フェーズ2)に入る。

ICS2は、従来のEUの24時間ルール(ICS)を刷新したITシステムで、EU向けやEUを経由するすべての貨物および郵便物に対し、到着前に貨物の事前情報を収集することを目的として導入されたもの。これにより税関保安プロセスを改善し、貿易の自由な流れを促進する。

ICS2は2021年3月15日から段階的に導入が開始され、その第1段階として、航空速達と航空郵便を対象にICS2による貨物情報の搭載前の提出が義務付けられた。

ISC2は3段階に分けて導入される

今回の第2段階では、一般航空貨物が対象に追加される。EU加盟国およびEU非加盟国の一部の国(北アイルランド、ノルウェー、スイス)向け、または当該地域経由の貨物を輸送するすべてのフォワーダー、航空会社、速達便業者、郵便事業者は、ICS2を通じて搬入略式申告(ENS)での貨物情報の事前提出が求められることになる。

第1段階では、積み込みに必要な事前貨物情報(PLACI)の提供に限られていたが、第2段階からはPLACIだけでなくENS情報の提出が求められる。フォワーダーやエクスプレス事業者、郵便事業者は航空会社にデータを提供し、手続きは航空会社が行う。そのほか、事業者自身がICS2に直接申告することもできる。

申告期限はフライト時間が4時間以上の長距離航空貨物は最初のEU加盟国に到着する4時間前まで、フライト時間が4時間未満の短距離航空貨物については、航空機の出発時刻までと規定されている。

基本的にEU全加盟国がICS2の各段階の導入開始日と同時にシステムを導入することが求められているが、加盟国によっては事業者に対して、移行期間内での逐次の利用開始を認めており、第2段階についての移行期間は10月2日までとしている。

第2段導入に伴い、航空各社は顧客に対し事前情報提供の徹底を呼びかけている。

ICS2は今後、2024年3月1日に海運、道路輸送、鉄道輸送などを追加対象とする第3段階の導入を予定している。なお、第3段階が始まる24年3月1日から200日間の移行期間後、ICS2は段階的に廃止される。

2023年3月1日掲載

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