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米国の5月下旬連休の国内航空旅客、コロナ前を上回る数に

米国での夏の旅行シーズンの始まりを告げる最初の連休が、5月29日のメモリアルデー(戦没者追悼記念日)にまつわる連休(最短3連休)である。現地報道によると、ことし2023年の同3連休に80マイル(約130キロ)以上の旅行に出る米国人は昨22年より7%多い4230万人にのぼるとされており、コロナ前の2019年よりわずか1.2%少ない程度にまで回復したとしている。
夏期の旅行がすでに生活習慣になっている米国では、国の現下の経済的懸念にもかかわらず、消費者は依然として旅行にお金を費やす意欲があることを示した形。

米国の空港内にも人波が戻ってきた(シカゴ・オヘア空港内)

さらに、上記旅行者のうちの航空旅客だけを比較してみると、19年より今年の方が増えていることが分かったとしている。航空業界団体エアラインズ・フォー・アメリカ(A4A)によれば、このメモリアルデー連休に航空旅行を計画している人の数は昨年に比べて11%増加し、コロナ前19年と比べても5.4%増加していると観測している。
つまり、メモリアルデー連休の航空旅客としては過去最高の数に達したと言い換えることができるわけだ。

実際、ユナイテッド航空はその連休はここ10年間で最も混雑するだろうとして、5月25日から30日までの間に290万人の乗客を輸送すると予想、デルタ航空は同期間の乗客数は280万人で、昨年より17%増加すると述べた。アメリカン航空はこの間、2万6000便を運航する予定で、290万人以上の顧客を乗せると予想している。LCCのフロンティア航空もこの間の座席数をコロナ前より35%増やすとした。いずれも、回復どころかコロナ前を上回る航空旅客数を想定しているわけである。

この急回復ぶりに対応すべく、A4Aによると全米航空会社は昨22年中にすでに5万人の新規従業員を雇用したとしており、航空会社の雇用が2001年10月以来の最高水準にあると述べた。一方、戦々恐々としているのは連邦航空局(FAA)や運輸保安庁(TSA)で、すでにTSAは先週金曜日(5月26日)に1日としては最多となる260万人を検査し、混雑もピークに達したとしている。
FAAも現地報道によれば、ニューヨーク地域の主要施設で航空管制官が不足しているため、航空会社に対して北東部での便数を減らし、運航能力の変化を最小限に抑えるために大型の航空機を使用するよう要請した。同局はまた、東海岸沿いに169のルートを追加し、これにより渋滞が緩和され、天候が脅威となった場合に管制官に選択肢が増えることを期待している。

航空大国・米国での国内マーケットはどうやら完全回復状態のようだ。残る国際線の需要もコロナ前の水準まであと3%程度足りないだけで、これも時間の問題だろう。

2023年5月29日掲載


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