見出し画像

ハワイアン航空、10月からのアマゾン向け貨物サービスの準備着々と

本2023年10月から世界最大のEC小売業者アマゾン向け航空貨物サービスを開始するハワイアン航空(HAL)は、7月初めに同サービスに就航予定のエアバスA330-300改造型貨物機10機のうち最初の1機を、拠点とするホノルル空港で受領した。同社は今後2〜3ヵ月ほどかけてパイロットや地上整備要員、貨物ハンドラーたちを同貨物機の標準的な運用手順に習熟させていく予定だ。

アマゾンは、シアトルに本拠を置くアルタエアからエアバスA330-300F型を10機リースしており、このフリートを向こう10年間の契約に基づいてハワイアン航空に運航委託することになっている。
機体は、シンガポールに本拠を置くSTエンジニアリングとエアバスとの合弁会社であるエルベ・フルークツァクヴェルケ社(EFW)によって旅客機から貨物機に換装されているところ。アマゾンとしては、これら新規リース10機によって、別のリース会社から供給されている老朽化したB767Fを代替していく予定。
改造型A330-300Fの最大ペイロードは62トン、最大航続距離は約6780キロとされている。

今回、HALが運航委託された改造A330フレイター10機のうちの1号機は、最初の発注者である香港航空が経営難で受領できなかった機材で、新造から未就航のままわずか5年未満で貨物機に換装されたもの。アマゾンのPrime Airロゴを身にまとって、7月上旬にホノルルに到着した。
アルタエアとEFWは23年末までに2機目の改造貨物機を引き渡し、残りの8機については2024年中に納入される。これらのA330Fフリートは当初、アマゾンエアの米国ハブであるシンシナティ・ノーザンケンタッキー国際空港に拠点を置き、米本土の航空ネットワーク内で荷物を運び、翌日および翌々日配送に対する顧客の期待に応えるとしている。

ハワイアン航空のアマゾンからの運航委託機も同じ機体デザインになる

このアマゾン向け貨物サービスに備えて、HALはA330Fのためのパイロットを約160人追加採用した。このため同社は現在、19年末よりも約25%も多いパイロットを抱えており、訓練中のパイロット数の増加と、パイロットの給与を4年間で33%引き上げる新たな労働契約により、第3四半期の労務費用は4.5ポイント上昇するもよう。

HALも他社同様、長引く貨物需要の低迷により旅客機ベリーで運ぶ貨物の第2四半期収入が前年同期と比べて30%近く減少したと述べた。
旅客を含めた全体として、同社は2%の収益増加によって第2四半期の損失を3500万ドル縮小し1230万ドルに抑えた。米国本土からの搭乗率が90%を超えており、本年5月以降は日本からの旅行客も大幅に増加しているため需要は高く、収益は今後改善していくはずだ。
ただ、HALのスポークスマンによると、アマゾン向け貨物機の収益がHAL決算に好効果をもたらすのは来24年になるため、旅客部門とは別に貨物機運航会社のためのインフラやシステムを確立する経費が、今期時点では収益の足かせにならざるを得ないとも認めている。

2023年8月9日掲載

※ジャパンプレスの発行するメールマガジン登録(無料)をすることで、最新の航空貨物ニュースを受け取ることができます。
ご登録はこちらから


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?