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これも環境支援活動? リサイクル廃棄物運ぶアラスカ航空

リサイクル廃棄物の輸送といえば、運賃負担力の低い貨物として通常はトラックかバージ、船舶に頼る。ところが、米国ワシントン州シータック市に本拠を置くアラスカ航空は、なんとリサイクル物資を定期航空輸送するプロジェクトを最近、開始した。

このプロジェクトでは、同社の貨物専用機B737-700Fを用いて春から秋の間、アラスカ州北西部の町ノームから直線距離で900km以上離れた同州最大都市アンカレッジまで、年間最大5万ポンド(約22.7トン)を定期輸送するというもの。

このリサイクル向け廃棄物は、具体的には使用済み消費財から電子機器廃棄物などスワード半島ベーリング海峡沿いの沿岸16のコミュニティから収集されたもので、同航空と提携している地元の非営利法人カウェラックの従業員によってパレット化されている。

バラストとして利用される廃棄物のパレット(写真:アラスカ航空)

アラスカ航空がこのリサイクル向け廃棄物を同社のフレイターで運ぶのは、これらを“バラスト”として利用できるため。アンカレッジから同地域に向けて食品や生活消費財などを運んできたフレイターは、これら地域から出る貨物がないため戻る時には胴内がカラになる。そこで普通は飛行バランスを保つためのバラスト水を積み込むのだが、今回、アラスカ航空はこのバラスト水の代わりにリサイクル廃棄物を積んで帰ることを考えたわけである。

同時にこれらベーリング海沿いの農村地域の清掃活動を支援することになり、地元の貴重な水資源の節約にもつながる。これまでノームで手当てしていたバラスト水は年間6000ガロン(約2万2700リットル)にものぼり、アンカレッジ空港到着後はこの水をただ廃棄するだけだったため、その節約も地域に貢献するとしている。

アラスカ航空では、旅客機分野でも、機内サービスに使用するプラスチック用品などの廃棄物発生上位5品目の削減や代替品導入を2025年までに完了するプロジェクトを推進中で、アラスカ航空全体として環境問題への積極対応に取り組んでいるところだ。
今回のリサイクル廃棄物の運び出しについても、ノーム発だけでなく対象を別の地域にも拡大していく意向を示している。

2023年6月12日掲載


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