航空集配サービス:成田最大級の医薬品専用施設を開設
航空集配サービスは11月10日、成田ロジスティクス支店(山武郡芝山町)に併設する新たな医薬品取り扱い専用施設“NRT-KMedical”と温度管理施設”KCOLD3”の竣工を機に内覧会を開催、荷主関係者などおよそ240名ほどが参加した。
同社はこれまで、“KCOLD1”(医薬品庫:564㎡)、“KCOLD2”(一般貨物定温庫:749㎡)の両施設で医薬品や温度管理貨物の取り扱いをしていたが、拡大する医薬品・温度管理貨物への顧客ニーズから、成田ロジスティクス支店の1階部分を増床し、新たに2施設を追加したもの。
“NRT-KMedical”は、医薬品の適正流通基準を定めたGDP(Good Distribution Practice)に準拠しており、冷蔵(2室、+2℃〜8℃)・冷凍(1室、-25℃)・定温(2室、+15℃〜25℃)で構成される。総面積1951.5㎡で、うち冷蔵庫は695.7㎡(前室含む)、定温庫は1154.1㎡(同)、冷凍庫は約101.7㎡となる。
冷蔵・定温庫には搬入時の温度変化を防ぐための前室が設けられている。また、定温庫・冷蔵庫には、搬入用のドックを整備しエアシェルターを設置することで、トラック後部を直接ドックインさせ外気に触れることなしに貨物の搬出入が可能となった。
冷凍庫は、既存の冷凍庫(23㎡)の約5倍の広さを確保し、フォークリフトでの入室が可能となったうえ、冷凍帯パッケージを出庫直前まで蔵置することが可能となった。
また、庫内各所に200Vの電源を計23基設置することで、各温度帯内でアクティブコンテナの取り扱いが可能になっている。
倉庫入り口には両サイドから平面的に送風し、外気流入や塵芥、虫などの侵入を防止するエアフェンスを設置したほか、空調設備は小型化し個数を増やすことで従来の空調よりさらに温度逸脱を防ぐ。室内各所にはエアー搬送ファンを導入し、空気を循環させ温度ムラを解消させている。
温度管理については、一貫監視モニタリングシステムを採用し、24時間・365日のモニタリングが可能で、リアルタイムで温湿度のデータ取得が可能。
米国FDA(米国食品医薬品局)が定めた電子記録・電子署名に関する規則であるPart11に対応し、安全性や信頼性を確保することを目的に政府等の公的機関で制定する基準(GxP)に準拠した文書作成が実施でき、コンプライアンス面でもサービスを強化する。
このほかの設備では、専用の非常用発電機を新設し、最大48時間継続運転できることや、既存のKCOLD1もバックアップ機能として使用することでバックアップ体制を拡充し、ハードとソフトの両面で品質の高いサービスを提供するとしている。
入退出管理システムを新たに導入し、担当者以外の施設内入退室はできない仕組みにし、開閉時の記録も取れるようセキュリティ面にも配慮した。
航空集配サービス東日本営業本部 成田ロジスティクス支店の佐藤佑樹副支店長は、「KCOLDでは定温庫を通らなければ冷蔵庫へ入ることができなかったが、新たなKMedicalには冷蔵・定温とそれぞれに前室を設けたことにより指定温度帯で一貫した取り扱いが可能となりました。また、各前室にはエアシェルターやエアフェンスを設置したことで、最もハイリスクとされる積み卸し時の外気曝露を限りなく最小限に抑えることができるようになっています。
今回、取り扱いスペースが増床したことで、梱包やコンテナの取り扱いだけではなく、緊急対応や大口の対応も可能になったので、お客さまが困った時に利用してもらえるよう、サービス体制を整えていきたい」とコメントしている。
“NRT-KMedical”では、12月から庫内の温度マッピングを開始し、順次顧客からの貨物の取り扱いをスタートするとしている。
航空集配サービスでは、近年医薬品関連貨物の取り扱いを重点的に行っており、品質管理専門部署を設置し自社で医薬品品質マネジメントシステム(QMS)を維持管理している。また、医薬品専門チームを編成し、教育訓練の実施や記録管理を行っている。
さらに、2024年度中をめどに医薬品専用車両の導入を計画しており、医薬品専用車を自社運行をすることでサービス品質のレベルを上げていく方針だ。
一方、“KCOLD3”は、冷凍・冷蔵・定温の3温度帯からなる倉庫で、化学品や生鮮などの取り扱いを行う。総面積は約1260㎡(冷蔵:約680㎡、冷凍:約100㎡、定温:490㎡)で、既存の定温庫“KCOLD2”にはなかった冷凍庫を新たに整備し、顧客ニーズに応える。
航空集配サービスでは、既存の倉庫と合わせた医薬品専用倉庫の総床面積は、成田地区最大級を誇る。徹底した品質管理のもと、最適な医薬品流通サービスを届けるという意欲十分と見た。
2023年11月30日掲載
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