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マースク・エアカーゴ、成田に独自保税倉庫を開設

世界有数の物流コングロマリットであるマースク(本社:コペンハーゲン)は、成田空港近郊に航空貨物用の保税倉庫を開設し、7月14日に開業記念式典を開催した。
式典には、マースクの小井手ゆき枝・北東アジアエアープロダクトマネージメント部日本統括部長、佐藤洋平・営業本部航空貨物ビジネス開発マネージャー、黒田啓介・北東アジアエアープロダクトマネージメント部成田空港スーパーバイザーや同社スタッフのほか、空港間陸送の第一人者・平野ロジスティクスの田中英治・代表取締役社長、高瀬英二・常務取締役、益子研一・取締役らが参加し、テープカットが行われた(下記写真)。

この保税倉庫は、平野ロジスティクスが所有する成田臨空倉庫を賃貸し、A.P. モラー・マースクグループのマースク・エアカーゴが航空貨物CFS施設として利用するもの。同社が日本で航空貨物としての拠点を開設するのは初となる。
同倉庫面積は991.74m2、うち保税エリアは661.15m2で、3トン対応のフォークリフトが常備されており、10トン対応のフォークリフトのレンタルも可能。また、通関済み貨物の蔵置にも対応する。
式典でマースクの小井手部長は、「この倉庫は、航空貨物の拠点として重要となる。この施設をスタートとし、さらなる発展をしていきたい」と述べた。

マースク・グループでは、世界最大手となる海上コンテナ輸送分野だけでなく、航空貨物、陸上輸送、ロジスティクスや倉庫・通関業など、物流におけるエンドツーエンドのサービスをすべてグループで担う総合物流化を進めているところ。
そのため、海上コンテナ定期船分野のみならず、M&Aによって倉庫業や陸上輸送、ロジスティクス分野のサービス拡充を図っているほか、航空貨物分野においてはマースクエアカーゴとして自社でフレイターを保有し、ネットワークも日々拡大して顧客ニーズに対応したサービス展開を強化している。

自社のネットワークも拡大してきている(写真:マースクHPより)

マースクの佐藤マネージャーは、総合物流企業として生まれ変わってきた中で航空貨物は重要とし、「今回の倉庫開設では荷役作業を内製化することで、当社基準の質の高いサービスが提供できる。万が一トラブルがあった場合も柔軟に対応できるなど、顧客に安心して利用してもらえる。自社のフレイター運航もそういった(独自化の)考えで進めているが、荷役業務も同様」と話した。
さらに、総合的なロジスティクスの提案を進める上で「顧客が海上/航空/陸上と意識して輸送方法を選ぶのではなく、貨物を当社に搬入後、顧客は輸送の方法などは気にせずに目的地まで輸送できるようにしていきたい。当社だからこそできるワンストップサービスを提供していく」と言う。

これから成田で航空貨物CFS施設として本格的に始動していく

同グループはコロナ禍だった2年ほど前に比べ物量・規模など3倍以上に拡大しており、今後も同様のスピード感で成長していくためにも航空貨物事業の強化を行っていくという。
小井手部長は、「日本ではまだ船社としてのイメージが強く、航空貨物のフォワーディングや通関サービスなどができると知らない荷主の方も多い。当社ですべてできるということを知ってもらえるように働きかけていきたい」と抱負を語った。

2023年8月3日掲載

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