コンサルタントのアイデア考案術
みなさんこんにちは。
マーケティングディレクター兼データサイエンティストのtohari.です。
前回、広告会社や制作会社の皆様向けにアイデアブレスト会議を想定した「コンサルタントの会議ファシリテーション術」についてご紹介してきました。今回はその続編とも言える、「コンサルタントのアイデア考案術」についてお伝えしたいと思います。
コンサルタントって基本的には左脳系の人の職業なので、アイデアを出すといった右脳系の仕事は得意でない人も多いと思いますが、それでもマーケティングに関するコンサルタントであれば、そこは常に求められますし、逃げることはできません。ですが、そんな左脳系の人でもやり方を学んでしまえば、たくさんアイデアが出せるようになるので、今回は筆者がよく使うやり方をご紹介できたらと思います。
幅広い着想力や面白いアイデアを出すスキルもマーケティングコンサルタントの重要なスキルですので、ぜひ参考にしていただければと思います。
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創造性テストにチャレンジ!
まず、アイデア発想のやり方の前に、ご自身の今の創造性がどのレベルにあるのか、ちょっとしたテストで測定してみましょう。
この問題を解いてみてください。
時間は3分です。3分経ったらやめて下を読み続けてくださいね。
それではスタートしてください!
<3分経過>
はい終了です。
さて、あなたは何個アイデアが思いつきましたか?
測定結果はこちら。
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0-2 Too Bad
3-4 No Good
5-6 Average
7-10 Good
11- Excellent!
皆さんの今の創造性はどのレベルですか?
筆者ではこのような創造性テストをいくつもの企業様に実施してきていますが、そこから判断して、大体5-6個くらいが平均です。
広告会社や制作会社の場合、実はこの数値がぐんと高くなるのですが(さすが慣れてます)、それでも10個以上出せる人はごくわずかです。一般の企業勤務の方の場合、3-4個程度の人もかなりいらっしゃいます。
次にこの問題の解答例をお見せします。
この解答例はこれまで筆者が行ってきたテスト結果を足し合わせたようなものですので、概ね皆さんのアイデアもこの中に入るのではないでしょうか?
そして実は数の多さと同じくらい大切なのが、アイデアの種類の広さです。解答例では17個のアイデアが13種類に分類されますが、いくらたくさんアイデアの個数を出せたからといって、たとえば1種類のアイデアだけしかないと、かなり偏った発想力しかない、ということになります。
この問題を解いてみて、ちょっと落ち込んだ人もいるかもしれませんが、でも全然問題ありません。
この記事を最後まで読んで実践してもらえれば、数も種類も一気に増やすことができると思います。
アイデア発想のタイプ
アイデア発想には、3つのタイプがあります。
コンサルタントはいわゆる「2」のタイプですね。
筆者のやり方も「2」的なものですので、そこはご了承くださいませ。
「1」はクリエイタータイプです。なかなか再現性が難しそうですね。
そして、最もダメなのが「3」ですね。思考停止する人、結構多いのではないかと思います。
でも、アイデア出しはその方法を知ることで誰でもできるようになります。論理思考系でアイデア出しが苦手な人、そもそも考えることが苦手な人、それぞれ今のレベルがあると思いますが、少なくとも今より確実に多くのアイデアが出せるようになりますので、ぜひご紹介するやり方を試してください。1歩スキルアップした自分に出会えると思います。
アイデア考案のポイント
アイデア考案のポイントは大きく2つあります。
この2つは関連しているのですが、とにかくアイデアを出す際は「量にこだわる」ということです。質は量が支えてくれます。そして量を出すには「発散」と「収束」の作業を明確に分けるのがポイントです。
一般的なブレント会議ですと、アイデア出しながらすぐそのアイデアの良し悪しの話が出てきますよね?実はそれって一番ダメなやり方です。質を意識してアイデアを出そうとするとアイデアが出なくなります。そうすると、アイデアから次のアイデアが生まれづらくなります。一見ダメなアイデアでも、たとえば別のアイデアと組み合わさることでとても面白いアイデアに化けることもあるのです。ですので、発散と同時に評価を行うのではなく、発想と収束の時間をわけ、どんなアイデアでもいったん受け入れる形をとることをぜひぜひお勧めします。
コンサルタントのアイデア考案術
① 個人発想技法
それでは次に、個人でアイデアを出す際の発想方法についてご紹介していきます。
たったのこの4ステップなのですが、これだけでアイデアが十分出せるようになります。
そしてそれは誰にでもできるものです。
実例を見ながら、お伝えしていきます。
例として「人口を増やすには?」という内容で考えてみたいと思います。
もしよかったら皆さんも一緒にやってみてください。
まずは1回目の考案作業からです。
<1回目考案作業の終了>
筆者の1回目考案作業で得られたアイデアは10個です。
次にこのアイデアを分類してみました。
大きく4つに分類できました。
各分類の数をみるとばらつきがあります。
筆者の場合、<出生率を上げる>系にアイデアに思考が偏っているのがわかりますね。
次に、各分類ごとでアイデアの深掘りをしてみます。それぞれ5分程度考えてみてください(5分*4カテゴリー=20分)。
例示として、<出生率を上げる>と<死亡率を下げる>の2つに関してご覧いただきます。
<出生率を上げる>グループの場合、新たに3つのアイデアが追加できました。
次の<死亡率を下げる>グループでは、4つのアイデアの追加ができました。
同じように、<外から連れてくる><領土拡大>についてもやってみます。
そして最後に分類の過不足について考えてみます。
筆者では新たに1つの分類、1つのアイデアを追加できました。
最後にこれまで出てきた全てのアイデアをまとめてみますと、20個ほどのアイデアが出ています。この間約30分です。
一般的なブレスト会議で複数人で2時間話し合ったとしても、会議の最後に20個アイデアが出ている状態(しかもきちんと分類できている状態)ができるのはあまりないのではないと思います。
それを1人で30分で行えているので、それなりの高い生産性にはなっていると思います。
もし会議前に参加者全員がこの作業を行い、各自が会議にアイデアを持ち寄ることができれば、アイデアのダブりを除いたとしても100個単位のアイデアが最初から集まった状態で会議がスタートできるはずです。非常に効率的ですよね。
この発想方法(思考方法)のポイントは、「モノゴトを分解してカテゴリーごとに個別に考える」です。
コンサルタントの様々な作業で使えるテクニック(思考方法)ですので、ぜひ覚えておいてください。
② 集団発想技法
続いて複数人が集めって行う集団発想技法をご紹介します。
まず「アイデア発想の5原則」は必ず押さえてください。
5原則を守った上で集団発想技法にはいくつか有効なやり方がありますが、最も一般的なのが「ブレインストーミング(ブレスト)」です。皆さんも一度は体験したことがあるかと思いますが、5原則をきちんと守ったブレストを経験したことのある人は意外と少ないかもしれません。
ブレストは比較的慣れ親しんだやり方ではありますが、図で示したように問題点もありますので、その辺を補った方法として4つほどご紹介します。
この4つはどれもそれなりに有効性が高いので、これだけ押さえておけば十分かと思います。
ちなみに内容はネットで調べれば色々出てきますので、今回の記事ではそのうちの1つ「ノミナル・グループ・プロセス」だけ簡単にご紹介します。
ノミナル・グループ・プロセスは、ブレストの弱点である「個人意見のチーム意見化を防ぐ」とても合理的な集団発想技法です。
簡単に説明しますと、会議時間を以下の2つに分けて、作業を行います。
個人による発想時間
集団での個人アイデアの共有・討議時間
時間によって作業を区切っていきますので、タイムキーパーの役目は誰かに負っていただく必要がありますが、与えられた時間の中で非常に多くのアイデアを出すことができます。
筆者もよく使いますし、特にワークショップの際には必ず用いるといっても良いかもしれません。
やり方はとても簡単なのですが、アイデアのカテゴリー分けについていくつか注意点があります。
カテゴリー分けは、個人アイデアの発表の際に、アイデア1つ言うたびにテーブルの真ん中にそのアイデアが書かれたポストイットを出していく。
新しいポストイットが加わるごとに、都度テーブルの上で分類していく。
アイデアの粒度は人やアイデアによってバラバラであるため、具体的すぎるアイデアは抽象的なアイデアに統合する、また抽象的すぎるアイデアは具体化して分割する。
このような形で発表とアイデア分類を同時に行っていきます。
ちなみにですが、このやり方を使うとどのくらいのアイデアが出るのか、実際に試してみたいですよね?
そんな方に例題をご用意しました。
テーマ
「ボウリングのスコアを上げるには?」
です。
解答例はこちらです。
複数人が必要ですが、ぶっつけ本番ですとなかなかやりづらいと思いますので、一度機会を作って試してみてください。
まとめ
「コンサルタントのアイデア考案術」、いかがでしたでしょうか?
個人発想技法、集団発想技法とそれぞれありますが、ポイントは「アイデア出しは質より量にこだわる」ことと、そのために「発散」と「収束」の時間を分けることです。これ絶対です。
個人発想技法は集団発想技法の中でも使えるので、まずは個人発想技法から試してみてください。
繰り返しになりますが、個人発想技法のやり方は以下の通りです。
テーマに対しフラットにアイデア出しを行う(5分程度)
出てきたアイデアを分類し、各分類に名前をつける
各分類で分けて2回目のアイデア出しを行う(5分程度×アイデアの分類数)
分類全体を見渡して、分類に過不足はないかチェックし、不足があれば追加する(アイデアも含め)
難しい作業はなく、アイデア出しが苦手な人でも誰でもできます。
集団発想技法では、「アイデア発想の5原則」は意識してください。
それといきなりぶっつけ本番で試したことのないやり方をやるのはハードルが高いですので、どれか興味のあるもので良いので、複数人でお試しでやってみることをお勧めします。
個人的にはノミナル・グループ・プロセスがブレストにも似た部分があってやりやすいですし、有効性も高いのでお勧めです。
今回は以上となります。
アイデア出しが苦手な人でも必ずできますので、実行あるのみです!
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