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ウェブ制作勉強中だけど「会社のホームページ作って」と言われたら

うぇびん

先日Twitterで「ウェブ制作を勉強中だが、勤め先で業務外、無報酬で会社のホームページを作ってほしいと言われた」というツイートを見かけました。
「タダで or 安く作って」系はウェブ制作に限らずよくある問題です。

私は、頼まれているあなた頼んできた上司との関係がわからないので、完全な回答を出すことができません。最善の手をどう考えるべきか、その道筋を書いていきます。

基本的に断る

先ほどのツイートに対して「勉強になるから引き受ければいいのでは」とリプしている人がいましたが、それはだめです。
回答を保留し、最終的に断る流れを基本としてください。もちろん「絶対イヤです!」などというと最高にまずいですから、なぜサイトを作りたいのかの背景をできるだけ聞いて、交渉するということです。

業務外・無報酬でと言っている時点で、あなたか、ウェブ制作のどちらかを軽く見ています。前者なら論外、後者なら丸投げでは済まないということを伝えなければなりません。それでも強要してくるのならパワハラになります。遠慮なく労働基準監督署に行きましょう。

勤め先で勉強中と言ってはいけない

そもそもですが、なぜ上司は、あなたがウェブ制作を勉強していることを知っているのでしょうか。もしも転職を見据えて勉強しているのであれば、簡単に言わない方がよいです。

社内によくわからないスキルを持つ人がいて、そのスキルが会社にとって需要のあるもので、その人が自分より立場が弱ければ、ダメ元で頼むのは当然の流れです。ウェブ制作のSNSアカウントは、いつものとは別にしてくださいね。

「適当に作ってくれればいいから!」がダメな理由

上司は当然ウェブ制作を軽く見ているわけですから、「適当に作ってくれればいいから!」と言ってきます。技術的には勉強中のあなたでも作れるかもしれません。ですが、以下の技術とは別のことをウェブ制作では考慮しなくてはなりません。

  • サーバー情報など、機密情報の管理

  • 現在のサイトがある場合、掲載内容を使い回せるか、破棄するかの精査

  • 検索結果に掲載されるであろう情報の精査

  • 社員、商品等の権利を含む素材の扱い

  • 写真素材が必要な場合の購入

  • 公開後に情報が変わった場合の更新体制

  • CMSやノーコードツールを使った場合のアカウント管理

無報酬、もしくは格安でやることではありません。また、一人の社員が勝手にやることでもありません。これらを通常の業務をしながらやれというのなら、むしろ正規の料金より高いほうがいいくらいです。

あなたがいなくなったら?

そして、最も考慮しなければならないのは、あなたが退職したあとに引き継げる人を見つけられるかです。転職を見据えてウェブ制作を勉強していなかったとしても、病気、結婚などのライフステージの変化は突然やってきます。会社が買収され、体制が変わって会社との関係が悪くなることもあります。リーマンショックの頃によく聞きました。

私は長年、中小企業のウェブサイトのリニューアルをお手伝いしてきました。その中で、退職した社員が誰にも引き継がず放置したウェブサイトの撤去を何度も行ってきました。撤去できるならまだよいですが、レンタルブログなどでアカウントがわからず、撤去すらできないというケースもありました。どうか、そのような無責任な事態だけは避けるようお願いします。

そんなこんなで、場合によっては転職を考えているのにサイトの管理があるせいで辞められなくなります。悪い方向で考えると、引き止めることが上司の狙いかもしれません…

ホームページ作りたい、の背景

実は、頼んでくる上司もしくは社長は「思いつきで」サイトを作ってほしいわけではないことが多いです。作ってほしい理由によって、どのように交渉すべきかも変わってくるはずなので列記します。

私の経験と伝聞からの文章なので「かもしれません」がめちゃくちゃ多いことはご容赦ください。

同業他社の成功

業界団体の集まりや、業界紙などでウェブサイトの活用で成功した例を見た、うちもやろう!となったのかもしれません。だとすると丸投げにしてはいけないことはわかってくれるはずです。

成功例の詳細も調べたいところです。マーケティングのプロ集団に依頼したのかもしれませんし、広告とランディングページの合わせ技の成果であって、サイト作成が原因ではないかもしれません。

業界団体・ポータルサイトへの登録

業界団体やポータルサイトによっては、登録の際の情報としてウェブサイトのURL掲載を求めるところもあります。その場合「作ればいいから!」というのは上司が本気で言っているということになってきます。その場合は、ペライチ(ノーコードツールのことではなく1ページのサイト)で最低限の会社情報に留める落とし所もあります。タウン誌にQRコードを載せたい!というレベルならTwitterやInstagramをはじめてもらえば済むことです。

助成金

自治体によっては、ウェブサイトの制作等のIT事業の経費を補助してくれる「補助金」「助成金」を申請できることがあります。
だいたいは制作費の半額までのようで、具体的な書類の作成も必要となります。なので「外部に委託したことにして社内でただで作らせて助成金を総取り…」なんてことを上司が考えているわけではありません(おそらく)。

通常の半額で済むというのがサイト作り、またはリニューアルのきっかけになったと考えられますが、その分、どのようなウェブサイトを作れば申請が通るかを、あなたに共有してもらわないと会社に損害が出ます。

あのサービス使ってみたい

最近はCMSやノーコードツールの広告が、YouTubeやテレビで流れることもあります。それを見て「社内で更新できるサイト!」と夢が広がったのかもしれません。
ですが、新しいツール、特殊なツールほど社内での共有、引き継ぎが難しいです。WordPressのようなシェアが多いツールでさえ、誰でも簡単にできるものではありません。

これは2005年頃のブログブームでもあったことです。私も当時はかけだしだったので、勤め先のウェブサイトにMovable Typeを導入してみたかったのですが、社長の回答は慎重でした。私がいなくなったときにどうするかというのを考えておられたのかなと思います。

それでも引き受ける場合

交渉の結果、それでも引き受けることになった場合、以下の条件をきちんと提示してください。数年後にモメます。

  • 社長自身、社長の家族などの、退職しない人物を総責任者とすること

  • 担当者を自分だけでなく、最低一人追加してもらうこと

  • 自分を個人事業主として正規の取引をすること
    (できれば開業届を出す)

  • 写しでもいいので、業務委託基本契約書を交わすこと

  • 見積書、請求書をきちんと出すこと

  • すべてのファイルをDropboxやMicrosoft 365等で共有すること

  • 充分な納期を設けること(業務外になるので)

本当に勉強になることとは

「勉強になるから引き受ければいいのでは」というリプがあったと冒頭に書きました。残念ながら、期待しているほどウェブ制作としては勉強にならないでしょう。上司や会社にやる気がないなら尚更です。ただサイトを作るだけなら個人でガチの業務サイトを運営し続ける方がずっと勉強になります。

勉強になることがあるとすれば、やはり一連の交渉や打ち合わせ、契約書類の作成だろうと思います。これは、正式に依頼されなければ経験できないものだからです。悪い言い方ですが、あなたが会社を利用してやるくらいのつもりで責任を持ったうえで望んでください。

今回はここまで。
このブログが、皆さんに必要なくなることを願っています。

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