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ウェブ制作でモメないための文章術:組み立て編

私は子どもの頃から動揺しやすく、持病もあり、とっさに適切な発言ができないことがありました。そのせいで人生に関わる失敗を何度かしています。
ウェブ制作の仕事は基本的に、メッセンジャーやプロジェクト管理ツールでの、文章のやり取りになります。文章だと考えてから返事をしたり、編集ができます。この仕事のおかげで社会復帰して、治療を受ける余裕もできました。

ブログの方向性を変えたくないので前置きはこの辺にしますが、そんなこんなで、仕事の文章を書くときは慎重にしています。文章の書き方ひとつで関係性が大きく変わったり、長いお付き合いのきっかけができたりします。

ウェブ制作で私が心がけている「文章術」について、比較的わかりやすい文章の組み立てのことからご紹介していきます。

この文章術は、10年ほど前にフリーランス女性向けのウェブマガジンに寄稿した「メール術」が一部含まれます。今では少し古くなりましたが、よろしければこちらもご覧ください。

※Rhythmoonは更新を終了しています

組み立てひとつで違う例

組み立てを考慮していない文章と、考慮している文章を例として出します。更新作業で頻繁に起きる
「依頼された箇所以外で自分が知らない更新がされており、内容に不備があるが、ついでに直すか」
という確認です。
まったく同じ内容ですが、伝わりやすさ、印象がまるで違うはずです。

サイト修正したんですが、会社概要の名古屋支店の住所が更新されていて、それがフッタとか採用情報とかアクセスとかと違っているんですが、これ私はやってないんですが、直しますか?

ドコカノ商事さんのサイトの修正完了しましたが、ちょっと気になるところがあり、お手すきの際に下記確認いただけますか?

会社概要の、名古屋支店の住所を更新されたと思います。
(会社概要のURL)
ですが住所はサイト内の以下の箇所にもあり、内容が違っているようです。
・フッタ
・採用情報の名古屋支店
・アクセス
こちら、会社概要の方が正でしょうか?であれば、今回の作業料金内で一緒に直しますがどうしましょうか?

ウェブ制作の文章の組み立て方

一応お断りしておきますが、世の中には「最初の文章の方が簡潔で温かみがあって好き」という人がいます。また、自分の預かり知らない間違いにはタッチしないという業務方針の人もいます。

あなたもそう思うのであれば以下の文章は読まずに帰っていただいて構いません。ただし、ウェブ制作の確認事項はこんな簡単な確認ばかりではないです。

結論から書く

最初の文章は、依頼された修正を完了していることをきちんと書いていません。また、クライアントはあなたにだけ依頼しているとは限りません。何の案件であるか、完了したかを最初に書きます。

なお、プロジェクト管理ツールの連絡であれば案件名はわかっているので書かなくてよいです。臨機応変。

重要度を書く

住所が違う件は、クライアントも気付いていないわけですから緊急の問題ではありません。今は忙しいかもしれません。
以下は急いでないからあとで返事くださいと書けば、クライアントは取り急ぎ、作業完了を把握するだけで済みます。そのまま返事が来なくても、この文章が「言質」になります。

適切に空白行を入れる

二番目の文章は、急ぎ伝えたいことが終わったところで空白行を入れています。話の区切りでは空白行は必ず入れてください。読み間違いを大幅に防ぐことができます。

プロジェクト管理ツールであれば、違うスレッドを作るという手もありますが、同時に2件投稿すると片方を見逃されがちです。
その場合は
「ちょっと気になるところがあり、お手すきの際に下記確認いただけますか?」を
「気になることがあるので別スレにします」
と書き換えて暗に別スレの存在を伝えたりします。

だらだらと文節を続けない

私もやりがちですが(ダウト!)、「ですが」「ですけど」で文節をだらだらとつなぐのはトラブルのもとです。話が見えなくなります。
頭に思いついたものをそのまま書き出すとこうなりがちなので、声に出して読み返すとよいです。

3つ以上の同じ意味を持つ文言は箇条書きにする

例文では、名古屋支店の住所はサイト内の4箇所にあるようです。
同じ意味で「とか」や「、」でつないで、漏れずに伝わるのは2、3個が限度です。それ以上は箇条書きにすべきです。

確認が必要なものはURLやスクリーンショットを記載する

クライアントが、ドコカノ商事のサイトの「会社概要」をすぐに開けられるとは限りません。
今はモバイル通信も高速なので、時間があるならURLやスクリーンショットで示してあげると、なお確実で親切です。

責めるような言い方をしない

私もビジネス文法の用語はよくわからないので、うまい表現ができないのですが、最初の文章は「私はやってないんですけど」とクライアントか商事の更新担当者さんを非があって責めるような言い回しをしてしまっています。

二番目の文章は「〜ようです」「正でしょうか?」と慎重に確認しています。けっこうありがちなのが、新しい更新の方が実は間違いというパターンだからです。

選択肢を与える

二番目の文章は「間違いだった場合はこちらで直すか」を、選んでもらっています。ほぼ「うわーご指摘ありがとうございます!助かります!宜しくお願いいたします!」と返事がきますが。

また、指摘するサイトの間違いが広範囲に渡る場合は、こちらでもできるか、その場合は再見積もりをするかも、選んでいただくことがあります。

まとめ

長年ウェブ業界にいる人でも、最初の文章のような書き方をする方は多いです。多忙かつ指示を出す立場の方、口頭の打ち合わせが多い方にこの傾向があります。

ですが、このブログの対象としているこれからウェブ業界で働く人は、そうではないですよね。指示を受けて報告する立場にあります。少し時間をかけても、伝わりやすい、そして万一のときは自分を守る盾となる文章の組み立てを心がけてください。

この記事を私のクライアントが読んだらどう思うかと、肝が冷えますが…またいずれ、ウェブ制作ならではの技術的なやり取りの文章術なども書いていきたいと思います。

今回はここまで。
このブログが、皆さんに必要なくなることを願っています。

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