見出し画像

We are Buddies 群馬 立ち上げSTORY ~企業コラボ INTERVIEW:野口智樹(学校法人 未来学園)~

We are Buddies (WAB)は、子どもと大人ボランティア(大人バディ)が2人組のバディとなり、直接会って一緒に遊んだりしゃべったりしながら、フラットな、そして細く長い信頼関係を築くオランダ発のプログラムです。

たくさんの人、企業さんにサポートいただきながらこの活動を進めているわけですが、その中でもとても濃い連携関係にある、学校法人 未来学園 の理事長であり、大人バディとしても参加している野口智樹さんにインタビューをしました。

どんなコラボレーションなのか

当時、東京のみで活動していましたが、2021年春に、群馬で専門学校を営むチーム未来学園との出会いがあり、WAB 群馬が立ち上がりました。

昨年実施した説明会のチラシ

連携の仕方として、まずは資金サポートをおこなっていただいています。We are Buddies が、活動すればするほど組織として疲弊してしまうという負のサイクルに陥らず、経済的にもサステナブルな活動でいられる理由の一つが、未来学園さんの存在です。
もっとも、それだけでは「寄付」と称するほうが自然だと思いますが、敢えて「コラボレーション」や「連携」という言葉を使っているのには、もちろん理由があります。
 
未来学園さんでは複数の専門学校を運営されていますが、福祉・医療に関することを学んでいる学生さんが多い中で、We are Buddies のメンバーが、学生さん向けに授業をさせてもらっています

前橋医療福祉専門学校の教室の一つ。こんな素敵な空間で登壇させていただき、感動でした。

不定期ではありますが、年に数回、代表・コーディネーター・東京の大人バディ一同で学校にお邪魔し、活動紹介をしつつ、WAB文化を体感できる対話のワークショップをやったりします。

職員の方や教員の方に向けて活動紹介をする機会も、いただきました。
その中で、「大人バディをやりたい!」と手を挙げてくれた方に、バディをやっていただく機会もとても多く、未来学園の中にもWABコミュニティができているような気がします。

野口智樹さんという人

左:愛梨、真ん中:野口さん、右:綾夏さん

あたたかく、
実直で、謙虚で、
それでいてユーモアがあって、
ピュアで、
大きな愛で包んでくれる人なんです。
智樹さんの存在があったから、We are Buddies がここまで元気にやってこれていると思っています
今回は、智樹さんのお人柄も感じてもらえるようなインタビュー記事にしたいと思います。

大人バディの経験による、自主性の芽生え

WABの拠点でもあるれもんハウスの、わちゃわちゃな中でのインタビュー…!

加藤愛梨(以下、愛梨):2021年9月に未来学園の学生さんに初めて授業をしましたね。なつかしい。あの時に出会い、今も大人バディをやっている学生の方も何名もいると思いますが、智樹さんから見て、学生さんの様子に何か変化はありますか?

野口智樹(以下、智樹):控えめで優しい性格の学生が多い印象なのですが、この活動にかかわった学生たちは、だんだん自信がついてきたり周りとコミュニケーションが活発になっていっているように見えます。今の時代、家族や学校以外の大人とかかわる機会ってあまりないと思うんですよ。でもこれってすごい大事で、専門学校って専門の教育しかしてないんで、大学生みたいに色んな経験ができる場が少ないんですよね。だからこそ、人間的に成長できる場が限られていると思うんです。
資格取得のためにたくさんの単位をとる必要がある中で、自由な時間が少なくなってしまうということもあると思います。

愛梨:学生さんたちがWABにかかわることで具体的にどのような変化を感じましたか?

智樹:どちらかというと、控えめで優しい学生が多い印象を持っていたので、WABにかかわりはじめたときは、学生たちが「自らやっていく」ことで成長してくれたら嬉しいなと思っていました。
実際WABにかかわっている学生を見ていると、WABの活動をサポートしたり会議で意見を言ったり積極的になったと感じますね。この活動がなかったら1年生、2年生でここまで主体的に取り組めるようにはなっていなかったかもしれません。本人たちにとっても良い機会になっているのではないかと思います。

学生の方向けの授業の合間の、ランチ!

愛梨:学生さんだけでなく、未来学園の教員・職員の方も大人バディとしてかかわってくださっていますが、みなさんには何か変化などはありましたか?

智樹:教員・職員に関しても同じことで、WABの活動に参加することによって、仕事のモチベーションも上向きになってきたように感じています。WABの活動って、活動以外のところでかなりいい影響が出てくるのではないかと思います。学生だとか教員だとかに限らず、WABを通して、やりたかったことを実現していくということがそれぞれ「自分への自信」につながっているように感じています。

愛梨:智樹さんから見たWEBの活動に参加する良さというのはどのようなところでしょうか?

智樹:未来学園は医療系の学校ということもあり、学生も先生も社会貢献に対する関心は高いのですが、ボランティア活動に対してハードルの高さを感じている人も多くいます。その中でWABの活動は、自然な形で子どもとかかわることができるのが、とても良いと思っています。純粋に楽しんで参加している学生も多いんじゃないでしょうか。

群馬の初代大人バディの三人!
左:ちりさん(学生)真ん中:みかさん(教員)右:ともきさん(理事長)

学生が、様々な「人生の選択肢」と出会うこと

愛梨:れもんハウスにも何度も遊びに来てくれて、東京の大人バディたちとも交流がある智樹さんですが、今後やってみたいことはありますか?

智樹:群馬の学生も色んな経験ができるので、今後は東京のWABとコラボして行けたらいいなと思っています。東京の大人バディには社会人の方が多くて、スタートの時点からWABへの想いが強い人もたくさんいると思うんです。そして、面白くて人間的に魅力的な方々ばかりですよね。学生たちがいろいろな志や価値観を持っている大人と接する機会がつくれたらと思っています。
 
学生のうちにWABの活動を経験して、社会人になったらいいんじゃないかなと思っています。未来学園は医療系の学校ですが、もしかしたら、ここでの出会いで進路も変わっちゃうかもしれないなとも思ったり(笑)。でも自分でやりたいこと見つけたなら、それでいいと思うんですよね。
 
愛梨:自分でやりたいことを見つけられるって誇らしいことですよね。

群馬での、最初の説明会の様子!2021年秋!

智樹:最近はイメージで学校に入学して、「やっぱり違ったな」となる学生が多い傾向があるなと感じていて、そこをどうにかしたいという思いもあります。なるべく進路選択をする高校生のうちにある程度、進学先がどんな学校か知った状態で入学できたらいいのかなと。そういう機会も必要なんじゃないかなって思っています。
 
やっぱり色んな経験をすることで選択肢が広がると思うと、経験を積む機会をつくることが教育かなと思います。
 
愛梨:そうですね。機会を与えることは大切ですよね。
 
智樹:WABの活動は学校としても既に十分いい影響が出ていると思います。
 
愛梨:いい影響って、学生さんや先生の内面的な成長とか、楽しく生きられるようになるとかですか?
 
智樹:そうですね。人として内面的に成長できたり、自分に自信がついて日々を楽しく生きられることって卒業まで頑張るための糧になっていると思います

WABとの連携による相乗効果

愛梨:大人バディを経験することが人間としての成長につながることは間違いないですね。それ以外にも、コラボレーションをしてよかったなぁと思うことはありますか?
 
智樹:学校として、WABとコラボレーションをしていることを世の中の多くの人に知ってもらえてきていること、それ自体が、学校にとっても大きなことのように思います
WABの活動に参加している子の親御さんが、色々なつながりの中で、未来学園のことを話してくれることもあります。
 
未来学園がWABとコラボレーションをしていることを知って、うちの学校への進学を選択肢として認識するということも今後増えるんじゃなかなと思います。たとえば、WABに関わる人の中で、障害のある方のサポートをしたいと思っている人がいたとして、資格取りたいとなったら未来学園に来てくれるかもしれないですし。WABのおかげで未来学園の認知度は上がってると思います。

前橋医療福祉専門学校の、キャンパスの真ん中にある大きな階段!とってもかっこいいキャンパスなんです。

愛梨:WABと未来学園をセットで認識してもらえることで、それぞれが大事にしていることがより伝わりやすくなったのは、ひとつの相乗効果と言えると思います。WABの活動紹介をする際も未来学園さんとのコラボレーションのお話をよくしますが、その話の中ではじめてWABの本質的な価値にたどり着いてくださることも多いです。
 
智樹:群馬ではない場所でのイベントなどでも名前を出していただいて、嬉しいです。ありがたいですね。広報誌に載せたりするよりも、愛梨さんたちが、WABに参加する保護者の方やイベントで未来学園の名前を出していただく方が、効果が全然大きいように思いますね。たぶん聞いている方の印象に残るのだと思います。未来学園の名前が広がっていくことが、単純に、嬉しいです。
 
愛梨:WABとのコラボレーションを通じて、ほかにもいいことはありましたか?
 
智樹:皆さんと知り合えたということですね。学生たちがWABにかかわる方々のような大人と知り合える機会ってなかなかないと思うんです。それがWABに参加したから出会えた。
僕は学校に行く価値は最終的には出会いだと思うんです。どういう人とつながれるかっていうのが大事だなと思っていて。そういう機会があるのっていいなあって思っています。愛梨さんが未来学園の授業で学生たちとかかわってくれるのは大きいです。大人バディやってる方々も素晴らしい方ばかりですし。
 
愛梨:未来学園の学生さんも素晴らしい心を持った方ばかりですよね。大人バディをやっている人は8割以上が社会人なので、WABコミュニティの中で様々な人と出会い、人生の選択肢なんて無限にあるんだ、ということを知って、自分の足で未来を切り開いて行けるといいな、と思います。

熱弁が共感を呼び、コラボレーションがスタート

愛梨:未来学園としてWABの活動を支援しようと思った時、智樹さんはどんなプロセスを踏んで、社内のみなさんを巻き込んでいったのでしょうか?

最初の、職員・教員の方向けの説明会@前橋医療福祉専門学校@2021年6月

智樹:僕がWABのことを熱弁してたら、役員も共感してくれたんですよね。
この活動、素晴らしいじゃないですか。あと医療系の学校だから、WABの活動を理解しやすかったというのもあると思います。
まずは、上の役職の人たちにこの活動を理解してもらうことが大事だと思います。単に収益だけで考えると、短期的に見るとどうだろう?と感じる人もいるかもしれないですね。
 
愛梨:そうなんですね。智樹さんがWABの活動に熱く共感してくれて嬉しかったです。
「この人が言うことなら信じられる。やってみよう!」という気持ちにさせてくれる人だったから、未来学園の皆さんも共感してくれたんじゃないでしょうか。
 
あと、最初の方に、WABの説明会を職員の方向けに行ったと思うんですけど、それも良かったんですかね?
 
智樹:そうそう!最初の活動説明会を、職員と教員向けにしたのはよかったですね。そこでまず教員の中で大人バディ1号が誕生し、彼女が生徒に体験談を話してくれて、WABの活動が広がっていきましたね。

自分がまず大人バディになることで見えてきたこと

愛梨:最初に智樹さんとお話したとき、今の未来学園とWABのかかわりとは全然違う話をしましたよね?
 
智樹:東京に事務所をつくりたいなと考えていて、たまたま渋谷に詳しい人の話を聞きに行くみたいな話で、当時渋谷に住んで様々な活動をされていた愛梨さんを紹介いただき、会いにいきました。事務所のいい使い方とかアイデアがあったら知りたいな~みたいな感じで。
 
愛梨:それでWAB拠点兼未来学園のオフィスにしようとかいう話が出てたりしましたよね~
 
智樹:「とりあえず、すぐにオフィスを借りよう」という感じに進み始めていたのですが、僕自身はそこに違和感があって「やること決まってからオフィス借りようよ」と思っていたので、ちょっと待ってくださいと言ったんです。未来学園とWABがどういうコラボが出来るかもう少し模索したいなと思って。
 
愛梨:そうだったんですね。
 
智樹:それで、WABとこれからどうかかわっていこうかなと考えたときに、「まず自分自身が大人バディをやってみよう!」と思ったんです。あまり深く考えずに。
 
愛梨:まずやってみようと。この直感がすごいですね。
 
智樹:いやー愛梨さんの情熱がすごかったんですよ。

愛梨:バディをやってみてどうでしたか?
 
智樹:僕元々今の中高の教育に疑問が結構あって。
明確な目的がなく、曖昧な気持ちのまま進学してしまう子が本当に多くて、今の中高の教育ってそれでいいのかなって思っているんです。
偏差値教育とか、なんとなく学校に入ってなんとなく卒業していくとか、不登校になったりとか、それってどうなんだろうって。それでWABにかかわり、改めて教育について考えるきっかけになりましたね。

やっぱり、そういう教育制度をどうにかしたいなって改めて思いました。早いうちに明確な目標があれば、進学の時にモチベーションになると思うし、将来の目標も変わると思うから。
未来学園で高等専修学校の創立もどうにか実現できないかなとも思っています。「その子たちは将来どうなっていくのかな?」という単純な疑問があって。
もしかしたらすごい才能を持っていたり、やる気を持っていたりするかもしれないのにそれを見つける機会がない子もいると感じているので。目標が持てれば社会や学校に関わっていくチャンスも生まれると思うんです。生き方も変わるのではないかなって

出会いの日の、ふたり。

それと「WABの活動の先に何があるのかな?」っていうのは興味がありますね。
この活動を通して、コミュニケーション能力とか人との付き合いって広がると思うんです。
WABが人や社会とつながるきっかけをつくり、その後の段階でどうしていくか。学生さんたちに学校よりももっと広がった世界で大人がかかわるとどうなるのかも気になりますね。
 
愛梨:そうなんですね。智樹さんはWABとかかわると決めた時点で、そういう気持ちでいたんでしょうか?
 
智樹:そこまではなかったですね。スタートしたときは単純に今の子どもたちはどんなことを考えているのかな?とか考えていました。今はそんなことを漠然と考えています。
 
愛梨:ひとりの人間として、ひとりのお子さんとかかわる中で、様々なことを感じ、明るい未来のためにしなやかに動かれている智樹さんを、心の底からリスペクトしています。今日は本当にありがとうございました。

三人でごはんをたべました~

We are Buddies としては、様々なやり方で、企業さまとのコラボレーションをひろげていきたいと考えています。ご興味がある方は、info@wearebuddies.netまでいただけたら幸いです。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆
We are Buddies は、みなさまからの寄付で成り立っている活動です。ウェブサイトより、定額の場合は1,000円/月から、一度きりの場合は1,000円/回から応援いただけますので、ぜひご協力お願いします!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?