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楽しい未来のために、ポケットを作ろう~Buddy's Voice Vol.4~

2020年3月に立ち上がったWe are Buddiesプロジェクト。
このプロジェクトでは、子どもと大人ボランティアがバディとなり、オンライン・オフラインで、遊んだり、話したりしながら、細く長い関係性を築いていく。バディとなった二人は、月に2~3回オンライン、月に1~2回オフラインで、 時間を過ごす。対象年齢は、5~18歳。保護者の方だけが子育てを頑張るのではなく、多くの大人が関わり、登場人物みんなが力を抜いて、優しい気持ちになれる社会を目指すべく、立ち上がった。
このプロジェクトには、大人ボランティアの存在が必要不可欠だ。今年度にボランティア(バディ)として参加しているメンバーたちは、このプロジェクトの土台づくりにも積極的に関わっている。

バックグラウンドも得意分野も異なるバディたちが、なぜWe are Buddiesに参画し、どんな経験をし、これを通して何を実現しようとしているのか。バディたちにインタビューを重ねながら、発起人の意図とは別のところにある、バディにとって、子どもにとって、社会にとってのこのプロジェクトの意義を探求していく。そんなバディたちの生の声を "Buddy's Voice" にて届けていく。

第3回となる今回は、Buddy's Interview Vol.3 にてインタビューを受けた兒玉奈々さんが、インタビューワー・ライティングを担当してくれた。

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インタビューを受けてくれたのは、2020年に新潟へ移住し、空き家活用や本の制作を行う富永みさきさん。発起人の加藤愛梨さんの誘いをきっかけに、We are buddiesの活動に共感して参加。同じく新潟で暮らす小学校5年生の女の子(Eちゃん)とバディを組み活動をしている。

人のほんとの姿を見せてもらった

兒玉奈々(以下、奈々):今日はよろしくお願いします。みさきさんとお話するのを楽しみにしていました〜。小学5年生の子とバディを組んでいるんですよね?

富永みさき(以下、みさき):よろしくお願いします。そうですね。小学5年生で、絵を描くのが好きな子です。あと...わんちゃんを飼って可愛がってますね。

奈々:最初はどんな感じでしたか?

みさき:Eちゃんは「バディって何だろう?」と思っていたようでした。大人って初対面でもフレンドリーに頑張るけれど、彼女は自然体でそこまで頑張らない感じ。「ふーん」みたいな(笑)。 その姿を見て、人ってそんな時もあるよな、これが自然だよなと思った。大人って社交性を身につけると、ご機嫌じゃない時の自分とか、人と会いたくない自分とかを無視してしまうけど、彼女はそういうことをせず、心の反応に素直なんだと思いました。でも、表には出さないけれど、すごくやさしいんです。プチエピソードをこの後お話しますね(笑)。

奈々:え、プチエピソード聞きたい〜!

みさき:Eちゃんは大人に迷惑をかけないように振る舞うスマートな子でもあって。大人の様子をすごく見ていて、相手に余裕があるときでないと要求をしてこないんです。

奈々:気遣いができるんですね。迷惑なんて、バリバリかけていいのにって思っちゃいますね(笑)。他にもエピソードがあるんですか?

みさき:実は、映画に誘って断られたことがあるんだけど、その次に会ったときに、「この後、映画行かない?」って言ってくれたんです。覚えててくれたんだなと思って。やさしさを感じました。

奈々:可愛い。いい話ですね。これからはどんな風に関わって行きたいですか?

みさき:実は今は、他のバディの人たちみたいに定期的に会うとかができていなくって。お互いのタイミングがうまく合わなくて、本人との連絡もちょっと途絶えちゃってるんです。でも、私はもっと長い目でこの関係性の変化を眺めている部分があるので、彼女と私の長い人生という道のりの中で、ワンシーズンに一度遊ぶみたいに、継続して関わっていけたらなあと。北陸は寒いし今年は豪雪なので、まずは冬を越して、春が来たら会いたいですね。

奈々:カフェが完成したら、遊びに来てもらうのも良いかもしれないですね!

みさき:それいいですね!

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バディはポケットを作ること

奈々:みさきさんは、どうしてバディプロジェクトをやろうと思ったのですか?

みさき:わたしは「ポケットがあった方がいいんじゃない?」と思っているんですね。何か困ったことがあったら頼れるポケット。服に余分なポケットが付いていたら、たくさんのものを「どこにしまおう?」ってなった時便利だろうし。もしかしたら、今は子どもの中でニーズが顕在化していなくて、余分なポケットをわざわざつけなくてもって思うかもしれないけど、「いや、とりあえずポケットつけとこうよ!」ってスタンスで関われたらと思います。

奈々:たしかにポケットって、あると安心する。

みさき:その善意のようなものをはねのけたい時期があるかもしれないけど、それでも「あったらいいな」って存在になりたいですね。そういえば、最近ユング心理学を思い出して。子どもとの関わりについて「NOの声もメッセージとして受け取る」と書いてあるんですね。「NO」と言えるのは、それができる関係性があるからなんです。それに、本人の心の成長にも必要なもの。だから、「NO」の時期があったとしても、受け入れたいと思ってます。

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奈々:関係性って、お互いに影響し合って何かを生み出すことだけではないんですね。受け入れること、それも一つの関係性か〜。ポケットがあった方がいいと思ったきっかけは何ですか?

みさき:中学生の頃に家出したとき、行く先がなくて嫌だったからですね。近くに親戚がいなかったし、友達の家に行くのも違うと思って。

奈々:おお、家出ですか。

みさき:はい。知っている子が家出したくなったときに、来れる場所でありたいです。今の家は田舎で広いので、お布団があれば、何人でも泊まれますよ(笑)。

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親子のいい言い訳

奈々:バディプロジェクトは社会にどんな変化をもたらすと思いますか?

みさき:わたしは、世界が楽しくなればそれでいいと思うんですよね。そのための手段はいっぱいあって、バディプロジェクトはその一つだと思う。特に、大人にとって。与えることと受け取ることって一緒だよねとよく言うけれど、ここは大人が与えることで受け取ることができる場所

奈々:そうですね。参加されるお子さんや保護者の方にとっては、どういう意味があると考えていますか?

みさき:親子の間の余白を作れることかな。Eちゃんと関わる中で、バディはいい言い訳だと思ったんです。

奈々:おお、言い訳とは?

みさき:たとえば、わたしという第三者と会った後に、きっと親子の間で「あの人こうだったね!」とか話しますよね。子と親はたまに敵対しちゃうけど、第三者が入ってくるときはきっといいタッグを組む。外部を感じることで、内部は強くなるんです。

奈々:なるほど〜!面白いですね。

みさき:そして、今はまだ外部の存在ですが、親子の内側に入ったときに何が起こるのか気になってます

奈々:分かったら教えてください!最後に、伝えたいことはありますか?

みさき:バディプロジェクトが当たり前のことになったらいいですね。少子高齢化していく中で、保護者だけでなく、みんなで子どもを可愛がった方が楽しい国になると思うんです。

奈々:このプロジェクトが当たり前になった世界。素敵ですね。今日は興味深いお話を聞かせていただきありがとうございました!

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(編集後記)
みさきさんのお話を聞いていると、一つの出来事からこんなにたくさんのことが読み取れるのだなと感動を覚えます。We are buddiesが始まって、もうすぐ1年。それぞれのバディズに生まれたエピソードも聞きたくなりました。それでは、次回もお楽しみに!


INTERVIEW & TEXT :兒玉奈々
EDITING:加藤愛梨

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