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「歴史に残す」3度の妊娠出産を乗り越え、子供の頃から目指した新聞記者として活躍〜北條香子さんインタビュー〜

今回は3人の女の子のママであり、東京新聞で記者をしている北條香子さんです。

■プロフィール
お名前:北條 香子さん(30代)
職業:東京新聞 政治部 記者
お子さんの年齢・性別:長女7歳(小学1年生)、次女4歳、三女2歳

ー ハードな仕事でキャリアがスタート、1人目妊娠まで ー

入「北條さんは、新卒から同じ新聞社でお仕事をされてますね。入社からこれまでの経歴、妊娠や出産、復帰についてを教えてください。」

北條香子さん(以下、北)「はい。あまり知られていないのですが、東京新聞は中日新聞東京本社が発行しているので、私は中日新聞社の社員ということになります。2005年入社で、最初は浜松市にある中日新聞東海本社の整理部に配属されました。整理部とは記者が書いた記事に見出しをつけたり編集する部署ですが、最初はそこに一年いました。
 記者としての取材は2006年8月に福井からスタートします。仕事に追われ大変でした。警察と教育の担当。事件事故があると現場に行く。休みが取れず、県外に出るのは原則禁止。食材を買いに行く暇もないので、家の冷蔵庫は常に空っぽ。カップ麺を食べようと、お湯を注いだ瞬間に呼び出されて、現場に出て行く、、、なんてこともありました(遠い目)」

入「ハードワーク、、、!キャリアのスタートがハードすぎて心折れてしまいそうですが、今に至るストーリーに興味が湧きますね。」

北「もともと記者になりたくてなったので、大変だとはわかっていましたが、想像以上でしたね。私の実家は横浜ですが、県外に出れなかったのでなかなか帰れず、それも辛かったです。
 当時お付き合いしている彼(ご主人)がいましたが、福井配属から1年と少し経った2007年11月に結婚しました。夫は横浜に住んでいたので、結婚したことで横浜方面へ異動になったら良いなという淡い期待もありました。中日新聞発行エリアの地方を転々と回る仕事もいいのですが、横浜に近いところに戻りたいという気持ちも強かったです。」

入「配属先の希望を出したということでしょうか?」

北「はい。そうですね。2008年8月にありがたいことに東京本社管内の川崎支局麻生通信部に異動になりました。夫との同居もようやくスタートしました。」

入「結婚から9ヶ月、ようやくの同居!良かったですね。しばらくは仕事に邁進という感じでしょうか。」

北「はい、子供が欲しい気持ちはありましたが、自分のキャリアを考えたときに、結婚したのが入社して3年目だったので、子供は仕事の実績を作った上での方がいいかなと思っていましたし、仕事もどんどん面白くなっていった時期でした。
 麻生通信部には2年いて、川崎市北部の街ネタや警察の取材していました。2010年から川崎支局で川崎市政の担当となりました。その後、2011年8月に東京本社の経済部に異動となりました。
 しかし異動してすぐに妊娠が分かりました。欲しいとは思っていましたが、異動したてだったので戸惑いました。」

入「そうですね。それは上司や同僚に報告しにくそうです・・・。」

北「はい。異動したばかりで申し訳ないと思いました。でも結婚5年目を迎える頃で、子供がほしい気持ちは強くなっていたのでうれしかったです。経済部での経験が重ねられないことは辛かったですが。」

入「そうだったんですね。女性にとって妊娠出産などでキャリアをどこで中断するかは、思い通りに選べることの方が少ないですよね。自分でどう捉えるかが大事ですね。」

北「はい。それから2012年4月に出産し、2013年4月に復帰しました。当時経済部には子供のいる上司が少なく、商社を担当する貿易記者クラブに籍を置くことになりました。東京新聞としてはメインの記事にはなりにくい業界でしたが、上司は、担当の業界に縛られず、自分でどんどん情報をキャッチして書きたい記事を書いていいよと言ってくれました。ですが、貿易クラブを足場にしているとネタを拾うところから難しく、全然原稿を出せない日々もあって、自分のことを給料泥棒だと思っていました。」

ー ママ記者となって、ママであることが仕事に活かせるように ー

入「復帰直後に前と違う部署で仕事を再スタートするだけでも大変だったと思いますが、思うように仕事ができないと精神的にもキツかったかと思います。ここからどう二人目に繋がるのでしょう。」

北「復帰から1年経って、2014年8月に配置換えがあり、妊娠前と同じ流通記者クラブに移りました。当時は飲食業界の異物混入事件などを扱っていました。一人で手が回らないところは、後輩の男性記者がサポートしてくれて、ママ記者となっても仕事ができるようになってきました。が、ここで二人目の妊娠が分かります。」

入「仕事が順調になってきての妊娠、この時の気持ちはどうでしたか?」

北「一人目の時ほどは戸惑いませんでした。ですが、妊娠中に体調が万全でない中、仕事、保育園のお迎え、夕食、、、という生活が毎日続くのが体力的に厳しかったです。夫のサポートをお願いしました。」

入「どんなサポートですか。」

北「毎日7時ごろに帰ってきてもらって子供の食事のお世話や寝かしつけをお願いしました。夫はSEで、裁量労働制、在宅勤務もしやすいので、7時ごろに帰ってきてもらうのは今も続けています。」

入「それはありがたいですね。」

北「それでなんとか妊娠を乗り越えました。2015年4月に出産し、2016年4月末に復帰しました。復帰直後は同じ経済部の流通担当に戻ったのですが、数ヶ月後に政治部に異動になりました。」

入「政治部って激務なイメージがありますが、大丈夫なんでしょうか?」

北「そのイメージはありますよね。ですが意外とママ記者もいるんです。23人いる部署の中で、育休中が2人、ママ記者は3名、育休をとった男性記者も2名いるんです。」

入「それは心強いですね。」

北「私は政治って難しいなと思っていましたが、上司からは「政治と暮らしは直結してるので、その切り口で記事を書いて欲しい。」と言われ新たな視点を得ました。政治部の暮らし班となり、先輩のママ記者と共に液体ミルク解禁への動きについて取材を重ねていました。政府が液体ミルクの解禁を検討しているという情報は入手していたものの、他社に先行して書かれてしまいましたが、母である私は当事者という思いで向き合っていました。
 そのうち他社の記者から液体ミルクは東京新聞のネタという認識をしてもらえて嬉しかったです。都知事の小池百合子さんにも単独インタビューさせてもらいました。」

入「うわ、すごいです!ママであることを仕事に活かして、活躍されてるって最高ですね。これから妊娠出産を迎える方も希望が持てますね!」

北「ありがとうございます。アメリカで市販されている液体ミルクを取材先に提供してもらい、当時1歳半だった次女に飲んでもらったことも。当事者意識で仕事ができてよかったです。ただ液体ミルクを扱っている途中で3人目を妊娠しました。2017年の2月に妊娠がわかって、2017年の8月に産休に入りました。」

入「ついにここで3人目!また良いところでキャリアが中断されますね。」

北「3人欲しいって思ってたので、しょうがないですね、笑。思い入れのあった液体ミルクに関しては、同期のママ記者に引き継いでもらいました。今回は長めの産休・育休で1年9ヶ月取らせてもらいました。復帰は2019年の5月でした。
 復帰後は政治部の遊軍記者となりました。今は「2020年 核廃絶の『期限』」という連載や「空気は、読まない。」というインタビュー企画、憲法関連の話題などを扱っています。」

入「そうなんですね。よくぞ3回の妊娠・出産を乗り越えて、戻ってきてくれました!ここからのご活躍が楽しみです!」

ー 3人目にして時短、悩みはテクノロジーで解決 ー

入「さて、ここからは子育てのことにフォーカスして聞かせてください。残業や出張もあるお仕事だと思いますが、北條さんがいない間はどのような体制にされてますか。」

北「長女は、民間の預け先や横浜市の放課後キッズクラブなどを利用して最長で7時まで預かってもらえます。次女と三女は同じ保育園に通っています。私が仕事や出張で遅くなりそうな時は、夫にお願いしています。というか育児に関しては、7:3で夫に頑張ってもらっています。ぜんそく持ちの次女と三女の通院も夫が積極的に連れて行ってくれます。私の実家も近いので、仕事が忙しいときは実家に子供の世話をお願いすることもありますが、両親とも趣味で忙しいので、なるべく夫婦で解決するようにしています」

入「夫婦で協力しあってますね。」

北「はい。また実は3人目にして、初めて時短勤務をし始めました。定時より1時間早く4時に退社します。」

入「え!これまで時短じゃなかったんですね?!仕事もどんどん活躍されてこれからますますパワフルにお仕事されそうと思ってましたが、なぜまた?」

北「もともと3人子供が欲しかったし、仕事も続けたかったです。一人目や二人目の時は、時短勤務にすると次子の保育園の入所選考で不利になると聞いて、次の子が同じ園に通うためならと時短にせずに頑張りました。今はもう次の子は考えていませんし、長女が小学生になったことも大きいです。利用している民間の預け先は車で家まで送ってくれるのですが、5時過ぎに帰ってきてしまうので、長時間一人で留守番させることもできないし、、、と時短を選択しました。」

入「小学一年生になると自分で帰宅もできますし、お子さんの中には親より早く帰る子もいますよね。時短ということで対策を取られたんですね。」

北「はい。ただそれでも、娘が先に自宅に着いてしまうこともあります。そこで娘が一人になってしまうという悩みをテクノロジーで解決しようと思い、自宅に色々導入したものがあります。
 小学校入学前に自宅を購入したこともあり、玄関の鍵は車のようにキーレスエントリーにしました。子供が玄関前でランドセルから鍵を出し入れしなくても開けられます。
 さらにスマホのアプリと連動するBOCCOというロボットを導入したのですが、BOCCOのドアセンサーを玄関ドアとリビングドアにつけ、開いたらスマホに通知が来るようにしました。5時台にリビングのドアが開いたら「おかえり!手洗いとうがいは済んだかな?」とBOCCOが語りかけてくれるように設定しています。
 リビングにはポチカメというモニターカメラを置いてスマホのアプリで様子が見えるようにしました。また暗い家に帰るより明るい家に帰った方がいいと思い、IoTロボットのSwitchbotを家の照明スイッチに取り付け、タイマーで電気をつけられるようにしました。これで、留守番中に娘の様子がいつもと違うことがあっても、後から娘にフォローを入れてやることができました。」

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入「すごいです!テクノロジーを駆使してますね!お子さんもお母さんも安心ですね。またすごくお子さんの気持ちを考えてますね。見習わなきゃと思います。
子育てで心がけてることや大事にしていることをぜひ教えてください。」

北「はい。3人それぞれの個性を尊重するよう心がけてます。興味のあることはなんでもやらせてあげたいと思ってます。なので土日は習い事です。平日は、ピアノ、体操、バレエ。土日は、プール、スケート。習い事での学びが将来、何かにつながるかもと思ってやってます。共働きだからこそ、思いっきり好きな習い事をさせてあげられてます。
 そして家族の時間は限られてるから、旅行と外出は頻繁にしています。先日フィリピンにも行ってきて、娘は外国の人とコミュニケーションをとることを楽しんでました。」

入「いいですね〜!お子さんの経験への投資を大事にされてるんですね。」

ー 得意を活かして社会問題へアプローチ、「歴史に残す」を使命に働く ー

入「3回もキャリアを中断し、復帰後は大変なことも多かったと思いますが、よく続けてこられましたね。」

北「はい。女性で記者を選んだ時点で、妊娠出産で仕事を辞める人は少ないと思います。
 私は小学校高学年か中学1年生の頃から新聞記者になりたいと考えていました。小学校ではクラスで新聞係をやることが多く、中高では新聞部だったのですが、仲間と紙面を作ることが楽しかったし、新聞に載ったことを喜んでもらえるのがうれしかったです。
 また、小学生の頃から差別や偏見などの社会問題をなくしたいと思っていましたが、政治家は向いていないと思って。作文で賞をいただくことも多かったし、国語は得意だと自負していたので、文章で世の中に訴えていけたらと考えました。
 ただ、実際に記者になってからは「新聞記者の仕事は書くことより聞くこと」だと思っています。記者の仕事は、取材相手から正確で深い情報を教えてもらったり、読者の心を動かす言葉を引き出したりすることが大事。いくら文章がうまくても、記事にする内容が浅かったら意味がありません」

入「自分の得意なことで、社会問題にアプローチしていく道が新聞記者だったんですね。子供の頃の思いを大切にされて初志貫徹してるってすごいと思います。仕事に子育てに、日々大変なことも多いと思いますが、それでもやっぱり仕事を頑張れている理由ってなんでしょうか。」

北「私が仕事をしていることで、娘達には将来自分も仕事を続けることに意義を見出して欲しいと思っています。私の仕事、新聞は形に残るので、歴史を未来に残すことができます。お母さんの仕事を後で振り返ってもらうことができます。国会でも取り上げられている桜を見る会の問題は、東京新聞の特別報道部の記事が発端なのですが、一連の報道に私も携わっていたことをいつか娘に伝えられると思います。
 また、もともと戦争、平和に関心を持っていました。最近は核廃絶の企画に携わり、広島の方にインタビューをさせてもらいました。被爆した方達も当時15歳だった方はもう90歳です。当時の話がもう少ししたら聞けなくなってしまいます。「歴史に残す」のが使命だと思っています。」

入「歴史に残す、かっこいいですね。これからもぜひご活躍ください。今日はお話を聞かせていただいてありがとうございました!」

 子供の頃からのなりたい職業を叶え、3回のキャリアの中断も乗り越えてきた北條さん。これからますますのご活躍を応援したいですね。
 留守番をするかもしれないお子さんのための対策もすごかったですね。小学一年生を持つ母には共通する悩みだと思います。参考にしていただけると嬉しいです。

東京新聞では、下記の育児に関するサイトも運営されてます。悩みやお子さんの年齢ごとの検索もできるのでぜひご覧ください!

東京新聞の子育て育児に関するサイト
「東京すくすく」
https://sukusuku.tokyo-np.co.jp

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