【実録】会社の上司をパワハラで訴える

なかなかこういった体験談は無いと思うので書いてみることにしました。ちなみに執筆時点で会社には証拠を突き付けたうえで経緯を説明しています。結果としてどうなるかは現状わかりませんが、そういったリアタイ感も含めてお伝えできればと思っています。

目標:パワハラ上司(部長クラス)を懲戒処分にしてもらう。
前提:日記等でちゃんと記録をつけている。Slackみたいなコミュニケーションツールにパワハラの痕跡が残っている。

まず、私のいる会社ですが、総勢300人程度です。SESとかやってて上場を目指しており、人事部とかは独立してちゃんとある、中規模の会社です。小規模の会社になると自分で加入する労組とか、自分で見つけた弁護士に話をする必要があるので少しハードルは上がると思います。

きっかけ


SESでの業務にくたびれた自分は退職することにしました。退職日を某月末日として、基本的には有給休暇、足りない分については出社したい旨を伝えたところ大トラブル発生。退職が決まっている人は出社しても任せる仕事がないので欠勤しろとのこと。(欠勤の指示に法的根拠は無し)
当然突っぱねたのですが所属の上司と平行線の押し問答になったので時間の無駄と思い人事部に相談しました。すると相談の2時間後には押し問答した上司から全面降伏の連絡が来ました。自分の要求は当然なんですが、今まで身を粉にして働いたにも関わらず数日分の出勤をケチって違法な要求を突き付けてくる上司に腹が立ったので、去り際にいっちょ訴えてやるかと思った次第です。もちろんこれまでに積み重なった諸々があったことは言うまでもありませんが。

パワハラ窓口に訴えてから人事部に届くまで


自分の所属する会社はパワハラの相談は外部委託しているのでそこにフリーダイヤルでかけました。
PRRRRR......
相手「はい、ハラスメント相談窓口です。」
自分「おはようございます。株式会社○○の○○です。会社の上司に度重なるパワハラを受けていたので会社に訴えたいのですがどうしたらいいですか?」
相手「そうなると、こちらでは訴えがあったことを御社の人事部に連絡することになります。」
自分「そうですか、ではもう一度確認ですが株式会社○○の○○です。会社の上司である○○からハラスメントを受けていたので、この件を会社として何らかの対処をして欲しいです。」
相手「承知しました。この内容を御社の人事部にエスカレーションします。明日の朝一で報告届くのでお待ちください。」
自分「承知しました。エスカレーションよろしくお願いします。」
GACHA....

実際にはもう少し確認のやり取りがあったのですが、以上がやり取りの主な部分です。相談窓口といっても相談相手になってガス抜きするのがメインでパワハラの実務は会社がやるようです。なので本気で訴えるとなったらあまり意味のない窓口でした。ガス抜きで引き下がっちゃう人もいるだろうな~。とりあえず今の自分は鬼なので鬼の心で事務的に会社にエスカレーション行くようにしました。一応念のために言っておくと、それなりの規模の会社であればこのような訴えがあった時点で訴えられた側にはボチボチのダメージがあるらしいです。自分の部署内の問題を他部署に波及させた管理責任とでもいうものかな。翌日の夕方には人事部長から連絡が来ました。

自分「お疲れ様です。ハラスメント相談窓口の方から相談内容が来ているかと思います。今後の流れはどうなりますか?」
人事部長「窓口からの報告は確認しています。会社が契約している弁護士とのヒアリングになります。」
自分「承知しました。自分として不安なのは、このやり取りが訴えた相手に見えてしまうことなので、会議予定を予定表に入れる際は非公開でお願いします。」
人事部長「訴えた側のプライバシー保護のため、訴えられた側に話が行く際には事前に報告するのでご安心ください。弁護士含めたMTGは後程日程調整のメールを送ります。」
GACHA....

だいぶスピーディ。気になるのは弁護士の立ち位置として管理職側の味方になりはしないかというところ、こっちが先手取るとは言え、法律の専門家に対して証拠集めとかどの行為がハラスメントになるとか主張するのはしんどそう。MTGは1週間後だったので資料作成に取り掛かりました。

資料作成


まず、正式な書面っぽくワード形式で作ることにしました。資料構成は以下の通りです。

①メインの紙。1ページ半くらい
②パワハラの日時とされたことの内容
③上司がパワハラ人材であることを示す論拠
④②の証拠
⑤③の証拠

最初は①~③がごっちゃになってたのですが、思いのたけを含めて書き込むと10ページ以上の大作ができて読みにくそうだったので分離させました。伝えたいことはシンプルに、をモットーにしました。書いてる最中に思い出して怒りの感情がフツフツとわいてくるので結構しんどかったです。

①の内容
ここにすべてぶち込みたい気持ちはありますが、そこはぐっとこらえます。メインの内容はAs-IS、To-Be形式で「今までこうだった」「こうあるべき」を端的に伝えることと、あとは序文、どんな分類のパワハラだったか、資料の構成、ヘッダー(タイトル・作成日付・署名)、フッター(更新内容)くらいです。

②の内容
ここが一番重要なところになります。一応前提でも書いてますが、日記があったのでその写真と、コミュニケーションツールをテキストでコピペしたものを証拠にしました。最強の証拠は録音ですが、録音は今回の証拠には一切使っていません。
記述で気を付けたのは「この時相手はこう思ったのでこうしたはず」みたいな憶測は入れないことです。とりあえず自分が心理的ダメージを受けた行為が事実として認定されれば勝機はあると踏んだので、まずは日記とコミュニケーションツールの証拠で日時を特定したうえで「恫喝された」「罵声を浴びた」「人格や能力を否定される言動を受けた」といった記述にしました。そこに至る経緯であるとか業務的に叱責が正当でなかった理由とかはそもそも証拠がないので書きませんでした。自分が訴えてる上司もその場のノリでやってるであろうことは見え透いていたのでそれに対する証拠を反証として出せるかといえば無理であろうとの状況判断です。
もちろん冒頭の退職日に関するトラブルも盛り込んでおきました。

③の内容
最初は②と混ぜていたのですが、分離した分になります。上司ですが、「自分のコミュニケーションで怒ったり威圧的に見えるのは演技でやってるんだぜ~」的な投稿がコミュニケーションツールにされていたので拝借しました。情緒的に問題があるだけなら故意ではないのですが、意図的にやっていたと自分で罪を重くしてくれるような墓穴行為かなと思った次第です。
他にもSESの業務時間中に長時間の通話してきたり、自分が連れてきた保険営業員にセミナーやらせたりと地味な行為についてもパワハラや法令違反の素地ありということで書いておきました。

④⑤の内容
ここについては純粋にキャプチャとテキストのコピペになります。切り抜く範囲は恣意的に選択しましたが、選択した範囲の内部については改変しないようにしました。重要なポイントについては自分でマーカー引いたりオブジェクトで印をつけたりしてわかりやすくしました。
自分の利益になるような証言をしてくれた個人名については黒マーカーで見えないように配慮しました。その人からしたら勝手に過去のやり取り掘り起こされてしまっているので逆恨みされたら困るでしょうし。
※マーカー外せば見えます。

以上が資料の内容になります。ライフログが趣味なので日記については写真撮るだけでよかったのですが、コミュニケーションツールのキャプチャは古くなると見えなくなる可能性があるのでこのあたりは注意が必要です。自分の場合もモバイルでないと見えない投稿とかあったので大変でした。被害者が証拠を揃えないといけないハードルの高さ何とかしてほしいですね。というよりも身体的な暴力とかであれば一発ですが、そもそもそんな場合は会社じゃなくてもポリースメン通報すれば済むことなので会社に訴える意味がないです。言動とかコミュニケーションについては単発の罵声とか人格否定だけでは会社は動いてくれません。継続性であるとか差別的な接し方であるとか複合的な要素を絡めておきましょう。ワンショットで倒す気概が必要です。空振りして訴えた相手が調子に乗ったら嫌ですし。

第一回説明MTG


というわけで頑張ってセコセコ作った資料を脇にかかえMTGへ挑みました。結局MTG開始時間の30分前に作成資料をメール展開したのですが、対応してくれた人事部長および担当弁護士の方に感謝です。
弁護士の方から確認されたのは

・日記とあるが業務日誌ではないのか?
→情報漏洩の可能性もあるので業務のことは日記には書かない。あくまでも起きたことと簡単な感想を書いている。
・書いてある位置≒起こった時間か?
→スペースの問題もあるので朝昼晩の3分割ぐらいで考えてほしい
・どんなやり取りの場だったか?その時の位置関係や声の大きさは?
→資料に書いてない部分を補足で説明。

パワハラの実例として書いたのが8個だったので資料の概要説明を含めて1時間を超えるくらいのMTGになりました。自分は退職も決まっていたのである程度腹を括った状態なのでサラッと説明できましたが、心が弱った状態だとこういった話し合いはできないと思います。一人でやる場合はまず証拠集めをしっかりやっておいて、しっかり休んで心を落ち着けた状態で訴えることをお勧めします。それが無理であれば代理人を立てましょう。

振り返り


自己評価としては、会社にはまあまあちゃんと準備して伝えられたような気がします。MTGの終わり際に何か追加で確認したいことがあれば連絡しますと先方から言われましたが、MTGから1週間たって音沙汰なしなので資料はそれなりにちゃんと作れたのかなと思います。思ったことは訴える側にものすごく手間と心理的負担がかかるのですべての会社経営者は上司からのパワハラに厳しい姿勢で臨み、そもそもそんなことが起こらないようにしてもらえたらと思います。結果が出たらこちらに追加で報告したいと思います。

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