メタバースプラットフォームの行方
コロナ禍で生まれた新たなチャンス
およそ15年前、「セカンドライフ」でメタバースを用いたビジネスを広告代理店が仕掛けたが、当時の大衆のITリテラシーレベルの低さと、標準的なPCのSPECの低さでは実用的なものにはならず、大失敗に終わった。
https://jp.techcrunch.com/2017/04/04/cluster-will-launch-in-may/
しかし、2020年、コロナ禍が世界を覆い、メタバースに再びスポットライトが当たっている。スマートフォンの普及で、大衆のITリテラシーは大幅に上がり、PCも、もう進化しなくてもいいんじゃないかと思えるくらい進化したことも、メタバースの普及を後押ししている。
今、この分野でトップを走っているのは、Fortniteだ。
プラットフォームとしてのFortnite
先日、米津玄師がFortnite上でイベントを行った。
内容は、正直なところ、あえてFortniteでやる意味は無いもので、ビジネスの趣が強い感は否めなかったが、それでも、行ったという事実は、日本においてFortniteがゲームを超えるプラットフォームであることを示すには十分なエビデンスとなった。
攻勢をかけるFortnite
サバイバル系TPSとして確固たる地位を築き、メタバースプラットフォームとしても存在感を示し始めたFortniteだが、それに水を差すかのように、先日、iOS、Androidから締め出された。理由は、ゲーム上の課金アイテムにすらApple、Googleに「税金」を取られることを良しとせず、無課税で課金できる仕組みを作ったためだ。
https://www.watch.impress.co.jp/docs/series/nishida/1270951.html
今のところ、Fortnite側が屈する様子は無い。むしろ、上記の記事にもあるように、有名なAppleの「1984」のパロディ映像を作成し、対立姿勢を鮮明にしている。
1984 from Apple
https://ja.wikipedia.org/wiki/1984_(%E5%BA%83%E5%91%8A)
このCMで「帝国」とみなされた当時の絶対王者、IBMは、その後、ハードウェア分野からは撤退しており、Fortnite陣営は、Apple, Gooleに対して、「次はお前らだ」とケンカを売っている。
あるべきはどうぶつの森
Fortnite vs Apple, Googleの行方は楽しみではある。
一方で、Fortniteがメタバースのプラットフォームとして相応しいのか、と問われると、疑問が残る。銃で撃ちあうことを基本とするゲームが、大衆のプラットフォームになる、というのは、あるべき姿ではない。
今、メタバースとして最もふさわしいゲームは、どうぶつの森だ。今回追加されたクリエイト機能で、政治に利用されてしまったり、「友達厳選」という名のいじめが横行したりなど、いくつか引っかかる要素はあるものの、少なくとも銃で撃ちあうゲームよりは、ずっと平和な世界だ。
ところが、任天堂には、全く自分たちの作ったゲームをメタバースのプラットフォームにする気は余り無いようだ。任天堂の信念として、自分たちの作るゲームは、あくまで子供向けに作っていて、Fortniteのような課金要素を追加することで、子供間で、親の教育信念の差だったり、貧富の差だったりが、明確になってしまうのを良しとしてないからだ。実態としては、様々な事情でSwitchを買ってもらえない子供がいる以上、それは生まれているのだが、今の在り方をギリギリOKと判断しているのだろう。
「イカ研究員」が「宮ポン」を超える世界へ
それでも任天堂は、ちょっとづつ変わり始めている。ゼルダ、Splatoon2、ポケモンでDLCで追加コンテンツを提供したり、スマホにアプリを提供するなど、上述した姿勢を少しづつ崩し始めている。
まだ、表には出てきてないが、任天堂も次世代機の開発は進めているだろう。そのときには、コロナ禍で変わったゲーム、メタバースの価値観を反映した最高のプラットフォームを用意してくれるだろう。
何しろ、今の任天堂には、もう二度と現れることはないだろうと思われていた、マリオの生みの親、宮本茂の後継者がいるのだから。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%8E%E4%B8%8A%E6%81%92
任天堂がゲーム屋からプラットフォーム屋に変わるうえで鍵を握るのは、間違いなく野上の作るソフトだろう。Splatoonにプロ制度を認め(これは法律まで変えないといけないのだが)、どうぶつの森に課金アイテムやサードパーティアイテム、イベントが認められるだけで、世界は変わるだろうが、それを超える世界を期待したい。
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