ボリューム[自作ショートショート㉜]
「自分は薄っぺらい人間だが」が口癖の男だった。その前置きの後には決まって、傷一つない宝石のような言葉が出てきた。彼は雄弁だった。雄弁に似合わぬ枕詞は死ぬまで外れなかった。彼は厚みのある人生を送れたのだろうか。
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第三十ニ作目。
高校の時英語の長文問題で、self-defendeceという概念を知りました。世の中はこれが溢れています。この作品には2人の人物がいますが、薄さ厚さを考えている時点で彼らはナンセンスかもしれません。
ではまた。
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