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労災のおはなし② ~ 通勤災害について

今回は前回に引き続き労災についての書かせていただたいと思います。

前回は仕事をしている最中や、仕事に付随した行動をしている際にケガをした場合、どう言った要件で”労災”と認められるか、との話をしてきました。

今回は通勤途中にケガをした場合、いわゆる「通勤災害」に関することとその注意点を話してみたいと思います。

1.通勤災害の定義

まずはこの通勤災害の「定義」ですが、
「労働者の通勤による負傷、疾病、障害または死亡」を言います。

またその「認定」に当たっては、
「通勤に伴う危険が具体化したことを言う」となってます。

少し面倒な言い回しなので具体的に見ていきましょう。

例えば「通勤の途中で車にはねられた」となれば通勤災害ですが、
「通勤の途中で友達と私恨によるケンカをしてケガをした」となると、
そのケガは直接、通勤に起因していませんので、通勤災害には該当しない、
と言うことになります。

このように通勤途中のできごとであっても通勤災害、つまり労災として認められないケースもある、と言うことをまずはご理解下さい。

2.通勤の範囲

次にこの通勤の範囲ですが、例えば家から会社まで通常通るであろう通勤ルート上での移動は”通勤”となりますが、一方で例えば
「会社帰りに自宅とは全く方向の違う駅や街まで友達と飲みに行って、その帰り道」などはいくら自宅へ向かう道中であっても通常の移動経路から逸脱していますし、その逸脱自体に就業との関連性が全くありませんので、ここで言う”通勤”には当たらないことになります。

ここで面白のは、この「逸脱行為」が
日常生活上必要な行為であって、厚生労働省で定めるもの
である場合にはまた少し違ってきます。

例えば、
「独身の労働者が会社帰りに、食事をするために食堂に立ち寄った」と言うような場合、食事中は”通勤”とは認められませんが、その前後、食堂に向かっている途中や食事後に再び帰路についた場合の道中などは、
「日常生活上必要な行為をしたための中断」として”通勤”と認められます。

この「日常生活上必要な行為」には他にも以下のような場合が当てはまります。

・理髪店、美容院に立ち寄る行為
・病院、診療所において診察、または治療を行う行為
・選挙権の行使その他これに準ずる行為
・要介護状態にある配偶者や子、父母、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹
 の介護をする行為

なども該当するようです。

3.まとめ

労災のうち「通勤災害」について簡単に事例も挙げて紹介しました。

他に細かい要件なども沢山ありますし、「業務災害」同様に判断が微妙なケースも多いですが、いずれにしても「家と会社間での災害」であっても、対象になるケースとそうでないケースがある、と言うことを認識していただければと思います。

もちろん「労災の対象にならないから全く私的な寄り道はしない」などと言うワケには行きませんが、そう言った時には「万が一の場合でも労災対象にならない(かもしれない)」と言うことを頭の片隅にでも置いておいて下さい。

以上、今回は労災のうち「通勤災害」について書かせていただきました。


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