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ホントに肉は骨まわりが美味いのか?


 皆さん、こんにちは。骨まで愛して欲しいとは思えない、木賃もくちんふくよし(芸名)です。
 はい。

 骨まで 骨まで
 骨まで愛して欲しいのよ♪


 と言う昭和歌謡がありますが、骨まで愛されるぐらいなら、ワタクシは自分に利益を運んでくれさえすれば、愛なんて上っ面だけで充分だと思ってる派です。
 まぁ、この「骨まで愛して」ってのは比喩でしょうし、骨の髄までしゃぶるように、骨の髄まで愛するなんて愛情の深さかも知れません。怖い。あるいは、死んで骨になっても、なんて意味にも取れますね。

 そう。本日の話題は骨。ボーンです。ホネホネロックです。古いですね。

 ワタクシ、好物のひとつに「骨せんべい」があったりするぐらいには骨好きなんですが。ええ。
 うなぎの骨なんかを、スナック感覚でボリボリ食えるぐらいにまで揚げた骨せんべいと酒の組み合わせは至高の組み合わせのひとつだと思います。

 ところで皆さん、聞いた事ありませんか?



 『肉は骨まわりが美味い』



 って。えっ? ない? (´・Д・)」 ありますよね? 少なくともワタクシはありますが。ええ。

 まあ、よく言われる言葉ではあるんですが、実際コレってどうなの? って言う話を化学的に考えていきたいと思います。


毛(鱗) ‖ 皮 ‖ 脂 ‖ 肉│骨│肉 ‖ 脂 ‖ 皮 ‖ 毛(鱗)


 皮と肉と骨の構造は、わかりやすく言えばこんな構造になってます。
 で。人間が美味いと感じるのは、概ね脂です。「美味い」という漢字は「旨い」とも書きます。旨味の塊が脂。ここに異論を挟む人は少ないでしょう。

 そりゃ脂身が苦手な人もいますし、サシが入ったピンク色の肉よりも、赤身の方が好きって人もいる。ワタクシはどちらも好きですが。
 しかし、赤身が好きって人でも、安い牛腿肉をパサパサになるまで焼いた方が好き! って人は非常に少ない。
 赤身肉をガシガシと噛み締めるのが好きな人も、まるで旨味のない赤身を好む人は少ないのだ。
 突き詰めると結局は、肉の弾力や、しっとり感、旨味などを求めているケースがほとんどになる。

 つまり、好みの比率や方向性が違うだけで、旨味がない肉やモサモサの肉、パサパサの肉が好きって人は相当なレアケースだと言えるだろう。
 調理法や焼き加減などで差異はあるものの、手っ取り早く、弾力、しっとり感、ジューシーさ、旨味を求めるならば、


 (´・Д・)」 結局は脂なのである。


 で。脂ってのは通常、皮膚の直下にあり、骨に近付くほど少なくなる。部位にもよるが、基本は上記の図のようになる訳だ。
 つまり、脂って意味で言うなら、


 骨に近付くほど旨味が減るのである。


 つまり、骨まわりが美味いってのは嘘だと言う事になる。、、、果たして本当にそうだろうか?
 結論から言ってしまうが、答えはNOである。

 骨からは別の旨味が出ているのだ。その旨味の正体こそが、


 髄液なのである。


 血液の素となる髄液は骨の中を通っている訳だが、この髄液こそが旨味の塊。これを加熱する事によって、旨味が肉に染み出すのである。おあつらえ向きに、スポンジ構造の骨の小さな穴から、旨味が肉へと移るって訳だ。つまり、やっぱり、


 「骨まわりの肉は美味い」


 で正解なのである。
 また、骨まわりの肉は筋繊維が細かく強靭であるため、加熱による縮みが少なく、保湿性が強い。つまりパサつかず、ジューシー。
 ワタクシは科学的な分野での専門家ではないので、調べた限りの話になるが、そーゆー事なのである。
 色んな情報を調べた限り「骨まわりは脂がないよ説」と「骨まわりは脂があるよ説」の両方があり、どちらが正しいのかは不明だが、仮説は2つ。

 1.髄液を脂と見なしている。

 成分的に皮下脂肪と髄液は違うが、コラーゲン的な意味では、まあ同類なのかも知れない。これはイマイチはっきりしない。

 2.骨膜を脂と見做している。

 ポークリブなどが顕著だが、骨まわりには骨膜と呼ばれる膜がある。上記図で言うと「肉│骨│肉」の「│」部分だ。この部分がやはりコラーゲン的に同類なのかも知れない。これもイマイチよくわかってない。


 まあ、要するに、骨まわり肉自身に脂がないとしても、髄液か骨膜、あるいはその両方が旨味担当である事は間違いない。
 実際、骨髄を使った料理や、骨髄を食べる料理は沢山ある。
 また、豚や子羊の骨膜はプリッとしていて美味い。少なくともワタクシは好物である。

 それに、こんな御託をつらつらと並べなくても、人は、骨付き肉が目の前にあったら、


 (´°Д°)」 かぶりつきたい!!


 と思ってしまうモノなのである。


 皆大好き「まんが肉」が
 最たる例だと言えるだろう。


 ワイルドに、下品に、手や口が汚れても、骨付肉にはそうさせてしまう肉欲の魔力が備わっているのだ。



 てな訳で、そろそろ本日のオチ。

 以前、とあるダイニングバーで飲んでたら、隣のテーブルにいた若いカップルの男の方がドヤ顔で



 ( ̄▽ ̄)b  肉は骨まわりが美味いんだよ!



 って言いながら、


 骨付ソーセージを
 食ってる光景に
 出くわしまして。



 (´°3°).:∵ ブフォッ


 ってなるのを必死に堪えてた。


 ※ 念のための注釈 … ソーセージは加工品なので、骨付ソーセージはあくまで、食べやすさの為の持ち手として骨が差し込まれているだけである。基本的には、骨膜も剥がされている。



 いや、男の方がギャグで言った可能性は捨て切れないんですが、女の方が、


 (*´∇`*) ええ〜 そうなん!?


 とか素な感じで返してて、男も「んなワケないやろ!!」ってなツッコミが最後までなかったので、両方とも素だと思われる。

 まあ、髄液が染み出している可能性は捨て切れないし、骨に齧り付くワイルドさで美味しさアップしているのは間違いない。うむ。間違いない。


 ※ この記事はすべて無料で読めますが、骨まで愛さなくっても、投げ銭(¥100)してくれるだけでええんやで?
 なお、この先には「骨付ソーセージは普通のソーセージより美味いのかどうか」について真面目に書いてます。

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(´・Д・)」 文字を書いて生きていく事が、子供の頃からの夢でした。 コロナの影響で自分の店を失う事になり、妙な形で、今更になって文字を飯の種の足しにするとは思いませんでしたが、応援よろしくお願いします。