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「笑って寂しい四。」

僕は胃袋に水を満たして
夜を泳ぐ魚になった
時折吐き出す言葉の泡に
ずっとずっと遠くを想う

置いていくのが耐えられず
地下室の硝子瓶に詰め込みたいと
願ってしまうこの僕の心は
愛ではなくて恋だったんだね

人を殺した心地して
街を我が物顔で歩いてみる
灯りが照らす少年の
握ったナイフが震えてる

四肢切断された淋しい少女の
歯をただ磨く後ろの僕は
その唾液に含まれる毒薬を
舐めて死にたいと願って止まない

ビルの屋上は夏を知らず
電車のホームは冬を待つ
そんなところで泣いてる僕は
季節の予感が故障している

静謐に詩を望む人の
周りを騒がすサイレンに
なりたい僕は言葉さえ
警告灯のメロディになる

雨が降る夜に想うこと
たくさんあるけど一つだけ
人は不幸に生かされて
幸福によって死んでいく

猫がワオンと吠える時
世界のすべてがおかしくなった
黄緑色の空の年老いた赤ん坊が
風船のようにパアンと割れる

嘘吐きはそれが矛盾して
彼方で言葉の檻に入る
呟いたセリフは泡になり
今日もお月様まで飛んでいく

親の仇で腰振る男
喘ぎ声で嘘吐く女
こうしてセックスする為の
愛を奪った奴らは誰だ

神様になった少女は
その淫靡な言葉により
たくさんの命を救い給い
しかし誰も愛しはしない

春は幻と唄うギターの
その恋心を見つけたくて
CD漁りに躍起となってる
哀しく迫害された白い鳥よ

神話になった人生に
価値を見いだせず苦悶する
もっともっと間違った
美しさなどがあるだろうに

鬼の子の生涯を
語る人はもういない
だから僕などが詩を書いて
非人の愛を想起させるのだ

あの娘は讃美歌が好き
電子オルガンが彼女を唄う
だけども神様はその娘を許さず
今日も何処かで誰か死ぬ

全ては逆恨みで出来ている
なのであなたが寝息を立てるのも
僕にはカウントダウンにしか聞こえず
探る掌の震えも止まらないのだ

心を纏足して
私は美しさを誤認する
そうして書いた言葉が
役立たずの心に響く

僕の夢に絵具を塗ったのは誰だ
言葉を心を想うとおりにしようなんて
せめて、せめて白は止めてくれ
そんなシンプルな優しさに飾らないで

いつ死んでも良いように
ひまわりの種を一つ服用する
僕が冷たくなったら
陽だまりがそっと咲くように

花が咲くのが素晴らしいなら
僕はとっくに死んでおくべきだ
コンクリートの街中で叫ぶ
「クチクサとは他人草の一種」

君の心が張り裂けてしまえば
僕はその返り血で生き永らえる
例えそれがこの愛の
終着駅に引かれないレールの上でも

顔の位置は形や表情を
タス噛めるために掌を宛てがう
探り当てた穴に潜ると
血の味がする痛みを発症する

花々の美しさを未だ知らず
月や太陽には体が焼かれるだけ
しかし貴方の肉体の神々しさに
膝をつくほど気丈なこの魂

腕を切るのに意味合いが
含まれすぎて苦しいな
自然の摂理のように血を流し
運命のように痕を残して

和やかな夢が僕を惨めにし
優しき人に殺される
そして人生の素晴らしさ!
僕は素直に地獄へ落ちます

勇気をむき出しにした唄よりも
正義を讃えた物語よりも
貴方の卑屈で悲惨な恨み言を
詩人たらしめるこの世界よ

群青の夜に落っこちた命が
外燈の亡霊に変わり童話となる
それを連れてく死神のキャストに
僕が選ばれるのを待っている

ニワトリは毎日卵を産んで
無精卵の恋を育みます
僕の大好きな親子丼は
報われぬ恋の憧憬です

僕には魔法が支えます
御地機に落ちた石にでも
街を騒がす拡声器にも
なれるのだから、なれるのだから

神様は影を追いかけて
その肋骨のうずきを嘆いてる
自分によく似たその魂に
永遠の片想いをするために

吸血鬼は十字架に恋をした
その躰を灰に還すまでの恋
これが身が焦がれると言う事だと
シニカルに笑うのは実に彼らしいね

亡霊の主成分は
願いに後悔
不安に祈り
「其処に恋など足してはどうか」

異臭を放つ幸せに
僕は薬で到達したよ
真っ赤に染まる脳味噌に走る
小さな稲妻捕まえたなら

痛みはないままに
ただ不安に首を締められて
死の面影が見えるあたりで
僕は其処に立っている事に気づく

ヒーローなんていないのです
ただヒロインが泣いているだけ
人気者はここに詐称を秘めて
孤独な人は叶わぬ夢を見てるだけ

遠くで輝く小さな星に
僕の死の予感は加速する
本当は燃え尽く残滓の光に
淋しく泣いてる知らない星よ

堪らなくて嘘をつき
人を騙した様相に
一つも罪悪感じぬような
不幸な心を願って止まない

死んだ人を歌うmp3を
iPodに落とし込んだ後に
僕は路上で踊って笑い
誰かに羽交い締めにされているよ

mp3になった貴方を
jpgになった貴方を
aviになった貴方を
僕はそれでも愛していて

精液の匂いや味には
媚薬のその力が宿っていると
笑いながら話す彼の姿に
死神の影を見つけます

もしも生まれ変われたら
僕は不良に成り果てて
ガムみたいな情愛を
路地裏に吐き捨てたいと思う

臨戦態勢の少女
その余裕の笑みが鏡に映る
そして現身を砕いた後に
指先から流れる血を少しだけ舐める

目が見えない事情にて
耳を貸さない彼らには
一生解るはずがない
僕のこの地平線の不幸など

報復するべき事象には
そこそこの愛が宿ります
だから欲望による暴力によって
それを月明かりの下に隠し通すのだ

甘いものが欲しくなる夜に
貴方の唇をねだってみるが
幾重に幾重に血を流している死体には
僕の願望を叶えるエーテルは存在しない

胎内にいる彼女の頭蓋を
ガリリとかじって飛び出た脳漿の
生贄としての効力により
この白線をはみ出したら死ぬと嘯く

人身事故と僕の堆肥を描いた
あの物語の名前は何だったか
忘れたふりして一人で泣いた
あの詩編の名前は何だったか

一過性の感動などに
僕の心が掻き乱されるのならば
偽りの人生を歩む人の
後ろを追いかけて死んでやる

殺意のどん底にいるのは
不幸を着飾った人の瞳の影
光を当てたらそれを最後に
ナイフに映る醜い私

嫌いなことが懐かしく
僕の胸をくすぐるこの頃は
死んだ僕も同じだと
気づくまでの暇潰し

僕は貴方の鏡です
貴方は僕の月夜です
こんなにも肌沿う僕らはまるで
神様の禁じた小説みたい

Videoの行方
擦り切れた愛の在処
AV女優の哲学
僕の時代遅れな感傷

涙は全てを顕現し
収束していく液体だ
だから成分は特別で
月の海と同じ味がする

貴方は僕を古臭い映画みたいだと
僕が生きていく為のかけがえのない理由
黒猫は闇夜に溶けてもなお鳴くのだ
夢にまで見た共鳴する幸福

無くても別に困らないもの
その為に僕は生かされていた
誰でもいつかは書けるもの
その為に僕は死んでいくのだ

夜が来るたび
独りになって
羊は死んで
夢に還るの

お洒落な詐病を着飾って
効かない薬を頬張って
見えない幻覚追いかけて
生きるのを止めた風に乗る

罪の種を胃の中に放り込み
その成長を待ち続けている
僕が立派な悪人になったら
その後ろで指をさす人が必要だ

恋に寸劇は必要だ
愛に悲劇は必要だ
夢に活劇は必要だ
劇薬放り込んだ僕の結論

逆立ちの少女のスカートは
一糸乱れぬ半重力
そうかここは夢なんだなと
気づいた瞬間少女が笑う

愛していると囁いた
その賞味期限は過ぎました
冷蔵庫に入れっぱなしの
貴方の涙もそろそろ使わねば

iPhoneを枕の下に敷けば
貴方の夢も見えるのかしら
愛の続きも伝えられるかしら
(そっと死んでく小鳥の鳴き声)

人間は空を飛べない
そう唱えながら屋上へ
此処なら何もかも赦される
信じ疑わぬその純潔を

愛詩ています
まだ詩らぬ貴方を
詩んじて生きるよ
詩すら厭わず

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