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山の上のパン屋に人が集まるわけ。書いてから5年後に、本になりました。

こんにちは!株式会社わざわざの代表の平田はる香です。4/28に初の著作「山の上のパン屋に人が集まるわけ」が出版されます。

下のnoteを書いたのが5年前です。初noteでしたが、多くの人に読まれることになり、わざわざの経営に注目が集まるきっかけとなりました。

その後、7社ほどの出版社から本を出しませんか?とオファーを受けましたが、生来のあまのじゃくの私はその全てをお断りするという暴挙に出ます。5年後、同じタイトルの本が出版されるとは思わずに。

そして、2023年4月28日発売、Amazon予約がスタートしました!

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本が生まれるまでの紆余曲折

冒頭でも書いたように私はあまのじゃくです。多くの人がロードサイドや駅前に出店すれば、誰も来ない山の上に店を出し、店に客が殺到すれば来ないでくださいと言い、本を書いてくれと言われればは断り、人が求める反対反対へと駒を進めたくなる人間です。

何故?と問われれば、それは殆どの人の言うことが信じられないのです。人が言ってることが本当かわからない、体感をもたなければ確信が持てないのです。だから商品の官能テストや耐久テストをして、体感してからのよいものしか売らないということをやっています。本作りについてもそうでした。いろんな方が出したいと言ってくださいましたが、なかなかうまくいきませんでした。まっすぐ問うと皆んな目を逸らすのです。

そうこうするうちに、サイボウズさんと親交を深めていくことになりました。きっかけはこのトークイベントに誘われたことです。

2019年に当時副社長の山田さんとの対談に誘われたのですが、控え室で2,3時間話し込んでしまいました。殆どのことをウォームアップ的に山田さんと話してしまったので、イベント本番は和気藹々な感じでゆるゆるでしたが、すごく雰囲気のよい会社で驚きました。バリバリのIT会社だとは思えなかったです。

その1年後にまたお仕事をいただきました。今度は働き方についてのコラムの執筆です。

こんなアッパーな投稿を使ってくれるサイボウズがどんどん好きになっていきました。この時にイラストを描いてくださったイラストレーターの芦野さんのテイストがとても好きで、コーポレートサイトのイラストもお願いすることになりました。

そして、本を一緒に作りませんか?というお話につながっていきました。長い年月をかけてのコミュニケーションがあり、信頼関係が生まれていったのです。

では、本に何を書いて、何を伝えたい?

それが、「なかった」んです。
怒られると思いますけど。笑

だけど「10万部は売りたいです」と言いました。
ますます怒られそうですけど。笑

私が5年前に山の上のパン屋に人が集まるわけを書いた時は、原動力として伝えたい思いというのが根幹にあったと思います。それは時を経て段々と変化していきました。個人から会社への気持ちの変化が一番大きかったと思います。いつの間にか、わざわざという事業を通じて社会に訴えたいという気持ちが強くなって、店舗の運営という形で表したり会社のCIで表したり、個人の言葉よりも会社全体の行動で表したいと考えるようになっていきました。そして、個人のフィルターを通しての伝えたいことが減っていったのです。

あれほどまでに毎日書いていた文章も段々と書かなくなり、会社で働いてくれるメンバーに対して伝えることに注力したり、会社の代表として登壇して言葉を伝えるようになったり、表現の方法=伝える方法が変化していきました。そうなると個人名で本を書いて伝えたいことがわからない。

出版のオファーをいただいたのはそのあたりの時期です。編集担当のライツ社の大塚さんに「平田さんが書かないのもありですか?」と聞かれて、二つ返事でそれもありですか!と頷いたのです。

だけど漠然と10万部は売りたい。「わざわざの働きかた」という本を自費出版で2017年に出していて9000部を完売させている経験と、noteの代表の加藤さんの言葉が胸にありました。

「平田さん、100万部の本が売れると社会が少し変わるんだよ」そして、10万部売れると本の存在を知っている人が割といる状況になることも教えてもらいました。100万部は無理かもしれないけど、10万部は目標にしたい。本を流通に載せる形で出版するなら、KPIは10万部だと思ってました。

10万部売れるということは、10万人の人が何かを知りたいと思ってその本を手に取るということ。そんな本を作ってみたいし、小売をやってる身としては売りたいと思いました。私は作り手であり小売業者なのです。作って売るということに並々ならぬ関心があります。

書いてもらいたいライターさんはいるか?と聞かれた時に、真っ先にあげたのが経営者の孤独でインタビューしていただいた土門蘭さんです。土門さんならば、私が潜在的に伝えたいことを聞き出して書いてくれるに違いないと思いました。

10時間のインタビューと試行錯誤

本のテーマを決める前に、編集チームに長野に来ていただき集合してMTG。お店や会社を案内してキックオフです。

2021/6/25にみんなで長野で打ち合わせ
店舗見学が終わってから、本の方向性について話し合う

それからzoomMTGで何度も話をするも、私の思考と行動が幅広く多岐に渡るため、テーマも決まらないまま、インタビューが始まりました。幼少期の体験からわざわざ開業前の話。どのような考え方でその行動をしたのか?細かく細かくヒアリングが行われていきました。およそ10時間に渡るインタビューを土門さんが書き起こしてくださり、ここから内容の精査、テーマ設定、誰に当てるか?などが細かく話し合われていきました。

内容とテーマがどんどん、変わっていきました。話しているのは私。だけど書くのは土門さん。編集は大塚さんとあかしさん。書き方と抽出する部分とでどんどん内容が変わります。当初のテーマは「お金」でした。お金の使い方と考え方が私は少し変わってる。だけど、なんかちょっと違う。ギラギラした本にはしたくない。そして、段々と軸が定まっていくような会話が出てきます。

平田さんって、ふつうをふつうにしないよね
平田さんって、違和感を飲み込まないよね
平田さんって、正面から向き合うよね
平田さんって、平田さんって、、

自分の話したふつうのことは、みんなのふつうではない?
だから皆んなが面白がって取り上げてくれるの?

私は私のことがよくわかってないのかもしれない。
もしかしたらちょっと変わってるのかもしれない。

段々と自分のことを客観的に見られるようになっていきました。
私が思っていた私は、私ではなかったのかもしれない。
そんな風に感じていった体験でした。

2022/12/17には、いよいよ装丁家の吉岡さん・藤原印刷さんと一緒に、最終打ち合わせ。

人が思う、私が私

私って一体なんなんでしょうね?
自分のことを皆さんはどう思ってますか?
自分だけの私だと思っていますか?

私は最近、自分の思う自分を捨てつつあります。他人が私のことをこういうんだからそうなんだろうと思いつつある。自我というものがなくなりつつあるんです。

言葉を発し、書き綴っても、人はそう受け取らない。受け取りたいように受け取り、解釈したいようにする。それが人。ならば、他人から見れば、私は私の思うような私ではないということになるわけです。他の人から見た私が本当の私であろうと。人の数だけ私がいるのです。

かくして、本は出来上がり出版されます。紛れもなく私の本ですが、私が思う私ではない私が書かれてます。いや、いい意味で。自分だったらこういう風には書かないし、そういう風に思われたくない自分が沢山書いてある。だけど、皆んなが読みたい私がそこには書かれてるのではないかと思うのです。もしかしたら10万人の人が共感したり、ときめいたり、勇気や元気をもらえるような本になっているかもしれないと思うんです。

私は、私のことをより深く知ってもらいたいとは思ってないのです。私は、私というフィルターを通して、皆さんの人生に力が湧いてくるような気持ちになってもらいたいだけなんだなぁと、本作りを通して感じていきました。

それはわざわざという店も同じです。何かを伝えたいということでなく、わざわざという店を通して、皆さんの人生が健康的で豊かになることを願ってるだけなのです。主義主張がどんどんなくなってます。そんなタイミングで本を出すのも面白いなぁと思います。

皆さんのご予約をお待ちしております!!

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