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【ソフトテニス】天皇杯にまつわるエトセトラ2023

11月17日〜19日に行われる第78回全日本選手権男子(天皇杯)。毎年SNSで流れてくる速報や、YouTubeの配信を見てあれやこれやと気になることをまとめたりしていましたが、今年は現地に観戦に行く予定であまりそういうのが出来なさそうなので、事前にざっくりとまとめておこうかなと思います。
主に日本連盟ホームページの大会記録や、全日本選手権ホームページ、ソフトテニスマガジンポータルの成績/データなどを参考にしています。



①船水上松ペアの連覇記録

2018年から2020年~2021年の中止を挟んで大会3連覇中の船水上松ペア。天皇杯の歴史で過去に3連覇を達成したのは、今井三宅ペア(1950年~1952年)・上田坂本ペア(1963年~1965年)・木口横江ペア(1983年~1985年)・中堀高川ペア(1995年~1997年)と船水上松ペア含めて5ペアいるが、天皇杯4連覇を達成すれば史上初の快挙。船水上松ペアは前人未到の記録を成し遂げられるか。

ちなみに今年も優勝すれば、船水颯選手は5回目、上松選手は4回目の天皇杯優勝となるが、過去最多優勝は中堀高川ペアの9回。次点は今井芳夫選手の6回、その次が木口横江ペアの5回となっている。船水上松ペアはその記録に近づくことができるか注目。



②岡山理大附高校OBの決勝戦連続進出

岡山理大附高校出身選手の天皇杯決勝戦進出は2010年から11大会連続で続いている。

2022年:上松選手(優勝)
2019年:上松選手(優勝)
2018年:上松選手(優勝)
2017年:長江選手(準優勝)
2016年:長江選手(準優勝)
2015年:小林選手(優勝)
2014年:長江選手(優勝)・柴田選手(準優勝)
2013年:小林選手(準優勝)
2012年:小林選手(優勝)
2011年:小林選手(優勝)
2010年:小林選手(準優勝)

今年は上松選手が絶好調で国内男子ダブルスでは負け無しでアジア競技大会でも3冠を達成しており無双状態。長江選手も全日本社会人準優勝など今年も結果を残しており、今回も岡山理大附高校OBの決勝戦進出の可能性は高いと思われる。

ちなみに東北高校OB選手は5大会連続決勝戦進出中。
2022年:船水颯選手(優勝)
2019年:船水颯選手(優勝)
2018年:船水颯選手(優勝)・鈴木選手(準優勝)
2017年:丸中選手(準優勝)
2016年:船水颯選手(優勝)

船水上松ペアが勝ち進む限り岡山理大附には追い付けないが、こちらもいつまで続くのか楽しみである。



③早稲田大学現役・OB選手の決勝戦連続進出

ここ10数年で圧倒的結果を残している早稲田大学現役・OB選手。決勝戦には9大会連続で進出している。

2022年:船水上松ペア(優勝)
2019年:船水上松(上松選手は現役生)ペア(優勝)・安藤安藤ペア(準優勝)
2018年:船水上松ペア(現役・優勝)・中本選手(準優勝)
2017年:長江選手(準優勝)
2016年:船水星野ペア(現役・優勝)・長江選手(準優勝)
2015年:中本選手(準優勝)
2014年:長江選手(優勝)
2013年:桂高月ペア(現役・優勝)
2012年:中本選手(準優勝)

連覇中の船水上松ペアや、日本代表の内本内田ペア、長江選手、中本選手、安藤兄弟など実績のある選手が今年も多く参戦し、現役生もナショナルチームに入る選手がいるなど、今年も決勝戦進出の可能性は高そう。



④元全中個人戦優勝者の決勝戦連続進出

全中個人戦で優勝を経験している選手は、10大会連続で決勝戦進出している。

2022年:上松選手(優勝)
2019年:上松選手(優勝)
2018年:上松選手(優勝)・中本選手(準優勝)
2017年:水澤選手(優勝)
2016年:星野選手(優勝)・水澤選手(準優勝)
2015年:中本選手(準優勝)
2014年:水澤選手(優勝)
2013年:高月選手(優勝)
2012年:中本選手(準優勝)
2011年:松口選手(準優勝)

連覇中の上松選手の存在は大きいが、それ以前にも多くの選手が決勝戦まで進んでいる。今年も上松選手や、中本選手、林田高月ペアなど実際のある選手が多いため、この記録の継続にも期待がかかる。



⑤元インターハイ個人戦優勝者の決勝戦連続進出

インターハイ個人戦優勝を経験している選手は、9大会連続決勝戦進出中である。

2022年:上松選手(優勝)・丸山選手(準優勝)
2019年:上松選手(優勝)・安藤圭祐選手(準優勝)
2018年:上松選手(優勝)
2017年:村上選手(優勝)
2016年:星野選手(優勝)
2015年:村上選手(準優勝)
2014年:柴田選手(準優勝)
2013年:桂高月ペア(優勝)
2012年:村上選手(準優勝)

世代を代表する選手となるインハイ個人戦王者はやはりその後大学生や社会人にやっても結果を残し続けており、特別な存在とも言える。連覇中の上松選手以外にも、去年の準優勝の丸山選手や、日本代表の内本選手、実績のある安藤選手など、今年もインハイ王者の行方から目が離せない。



⑥元インカレ個人戦優勝者の決勝戦連続進出

インカレ個人戦優勝者の決勝戦進出は、全中やインハイに比べると長くは無いが、現在3大会連続で決勝戦進出中。

2022年:船水颯選手(優勝)・丸山選手(準優勝)
2019年:船水颯選手(優勝)・安藤安藤ペア(準優勝)
2018年:船水颯選手(優勝)・中本選手(準優勝)

準優勝選手もインカレ個人戦優勝者が来ており、複数人が決勝戦に進出しているのが特徴。
また、2017年は途切れたものの、2016年~2014年の3年間も決勝戦に進出している。

2016年:船水颯選手(優勝)
2015年:中本選手(準優勝)
2014年:増田柴田ペア(準優勝)

これが3年周期のジンクスになるのであれば今年はインカレ個人戦優勝したことのある選手は決勝戦まで上がれないということになりそうだが、途切れずに継続できるか。



⑦高校生歴代最高順位

過去の天皇杯での高校生の最高順位はベスト4で、4ペアが達成している。

2017年:上岡広岡ペア(上宮)
2015年:内本丸山ペア(上宮)
2006年:鹿島井口ペア(都城泉ヶ丘・尽誠学園)
2005年:寒河江森田ペア(東北)

また、2005年以降は毎年高校生ペアがベスト16以上に進出している。

各年の高校生ペア最高順位
2022年:ベスト16 野口菊山ペア(高田商業)・坂口野本ペア(尽誠学園)・宮本黒坂ペア(尽誠学園)
2019年:ベスト8 山本池口ペア(高田商業)
2018年:ベスト16 北野鈴木ペア(東北)
2017年:ベスト4 上岡広岡ペア(上宮)
2016年:ベスト8 本倉上松ペア(岡山理大附)
2015年:ベスト4 内本丸山ペア(上宮)
2014年:ベスト8 丸岡宮田ペア(尽誠学園)
2013年:ベスト8 村田星野ペア(高田商業)
2012年:ベスト16 塩田三木ペア(高田商業)
2011年:ベスト16 船水九島ペア(東北)・渡邊選手(宮崎南)・玉置選手(三重)
2010年:ベスト16 丸中鈴木ペア(東北)・船水九島ペア(東北)
2009年:ベスト8 林田巽ペア(高田商業)
2008年:ベスト16 品川石川ペア(三重)
2007年:ベスト16 石井中本ペア(音戸)・滿屋後藤ペア(三重)
2006年:ベスト4 鹿島井口ペア(都城泉ヶ丘・尽誠学園)
2005年:ベスト4 寒河江森田ペア(東北)

年々NTT西日本やプロ選手など、社会人選手の強さや層の厚さが増している気がするが、今年も高校生ペアがベスト16以上に進み、今度こそ史上初の決勝戦進出を掴めるか。

去年ベスト16入りで高校最強の坂口野本ペア(尽誠学園)、去年の東日本選手権で準優勝の浅見初鹿ペア(東北)、インハイやJOC杯などで上記2ペアを倒している田中保住ペア(高田商業)などが今年の高校生の注目ペアだが、快挙にどこまで近づけるか注目。



⑧大学生の優勝

過去に大学生が天皇杯優勝を果たした年は9回あり、14人がチャンピオンとなっている。

2019年:上松選手(早稲田大学)
2018年:船水上松ペア(早稲田大学)
2016年:船水星野ペア(早稲田大学)
2013年:桂高月ペア(早稲田大学)
2008年:鹿島塩嵜ペア(早稲田大学)
1978年:若梅薮崎ペア(中京大学)
1976年:木之村大木ペア(青山学院大学・専修大学)
1975年:沖田大木ペア(専修大学)
1958年:黒田横溝ペア(法政大学)


2000年代以降の大学生の優勝は全て早稲田大学の選手となっている。今年の早稲田大学の現役生はナショナルチームの選手が3人(矢野選手・荒木選手・端山選手)いて、それぞれが多くの大会で活躍しているため、天皇杯でも優勝を狙える可能性は充分ある。
他の大学では、去年の天皇杯で船水上松ペアからマッチポイントを奪うまで追い詰めた米川池口ペア(明治大学)や、下級生ペアながらインカレダブルスを制した片岡黒坂ペア(日本体育大学)、去年は高校生ながらベスト16入りしたナショナルチームの菊山選手(法政大学)など、全日本でも頂点を奪えるかもしれない実力者が多い。大学生の勢いのあるプレーで下剋上果たせるか。


⑨全日本社会人チャンピオンの天皇杯

ここ10大会の全日本社会人優勝者が、その年の天皇杯でどのような結果を残したかをまとめました。

2022年:内本内田ペア→ベスト4
2019年:船水中本ペア→優勝(船水選手)/ベスト32(中本選手)
2018年:丸中長江ペア→ベスト16
2017年:丸中長江ペア→準優勝
2016年:船水九島ペア→ベスト16
2015年:村上中本ペア→準優勝
2014年:篠原小林ペア→ベスト8
2013年:村上中本ペア→ベスト8
2012年:稲積森田ペア→ベスト8
2011年:松口山口ペア→準優勝


全日本社会人優勝選手が同一年の天皇杯で優勝するパターンはここ10大会では2019年の船水颯人選手のみで、ペアでの優勝となると2002年の浅川小峯ペアまで遡ることになる。
今年の全日本社会人は船水上松ペアが優勝したが、ジンクスを打ち破って優勝できるか。


⑩インカレダブルスチャンピオンの天皇杯

ここ10大会のインカレダブルス優勝者が、その年の天皇杯でどのような結果を残したかをまとめました。

2022年:水木荒木ペア→3回戦敗退
2019年:長尾松本ペア→ベスト16
2018年:安藤内田ペア→ベスト8
2017年:本倉丸山ペア→ベスト8
2016年:船水吉川ペア→優勝(船水選手)/初戦敗退(吉川選手)
2015年:安藤安藤ペア→ベスト8
2014年:船水九島ペア→ベスト32
2013年:高橋内山ペア→3回戦敗退
2012年:増田峯松ペア→ベスト8
2011年:増田柴田ペア→3回戦敗退

ただでさえ少ない大学生での天皇杯優勝だが、過去の大学生チャンピオンでインカレダブルスを制覇した年に天皇杯も獲ったのは1958年の黒田横溝ペアと、2016年の船水選手のみで、他の大学生チャンピオンは意外にもその年のインカレダブルスは優勝を逃している。
また、インカレチャンピオンでも早期に敗退することもあるが、ここ10大会で半分はベスト8以上に進んでいる。今年は片岡黒坂ペアがインカレを制したが、ベスト8以上の結果を残せるか注目。


⑪インターハイ個人戦チャンピオンの天皇杯

ここ10大会のインターハイ個人戦優勝者が、その年の天皇杯でどのような結果を残したかをまとめました。

2022年:野口菊山ペア→ベスト16
2019年:白川石川ペア→3回戦敗退
2018年:下原林ペア→3回戦敗退
2017年:阪本林ペア→3回戦敗退
2016年:本倉上松ペア→ベスト8
2015年:内本丸山ペア→ベスト4
2014年:丸岡宮田ペア→ベスト8
2013年:村田星野ペア→ベスト8
2012年:玉置安藤ペア→3回戦敗退
2011年:船水九島ペア→ベスト16

ここ10大会で6ペアがその年の高校生で1番の結果を残していて、インハイチャンピオンの強さを見せている。しかし4ペアは3回戦敗退で天皇杯のレベルの高さももの語っている。今年は坂口野本ペアがインハイチャンピオンとして臨むが、去年はベスト16という好成績を残しているだけにそれを超える結果に期待がかかる。


色々と気になることをまとめてみて、ここまで読んでくださった方はわかると思いますが、船水上松ペアがヤバい。前人未到の天皇杯4連覇も、全中・インハイ・インカレの元チャンピオンの決勝戦進出も、全日本社会人優勝ペアの負のジンクスも、船水上松ペアにのしかかっている。プレッシャーを跳ね除けて今年も勝ち進んで諸々の記録を継続させるのか、それとも別の選手が記録継続を引き継ぐのか、はたまたどれにも絡んでいない選手が記録をストップして新たな歴史を作るのか。ただ試合の結果を見るだけではく、こういうポイントにも注目して結果を追うと更に楽しくなると思います。何か他にもこういうところも注目だよということや、まとめた情報に誤りがありましたらコメント等頂けると嬉しいです。

今のところまだ完売のお知らせは無いようなので、時間に余裕のある方は是非現地で見て、記録の行方にも注目して楽しみましょう!