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うぇいの哲学

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哲学みがある記事のまとめ
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2020年4月の記事一覧

Ayase「幽霊東京」から哲学的に思考する

人は自分と向き合い続けることはできない、と僕は思っています。なぜなら、自分について深く考えれば考えるほど「自分」という存在がいかに不確かで不安定であるかが自覚されてしまうからです。 人は、自分の存在の重さ(Last)に耐えられない。 重さに耐えられない人間は、そこから逃避します。どのような仕方で? 一言でいえば、気晴らしです。不定形で掴めない存在から逃れるように、忘れられるように、何か別な物事で置き換えるということ。 僕は、哲学的な思索に耐えられなくなったら、散歩に出か

マルティン・ハイデガーって誰? 「存在の意味への問い」をめぐって

本記事では、ドイツ哲学者マルティン・ハイデガー(1889-1976)について紹介します。 そもそも、なぜ日本で哲学を学ぶのにあたって西洋のエラソーなおじさんの本を読まないといけないのでしょう? 僕は哲学を、「自分で考えるために学ぶもの」だと考えています。したがって、自分に関心のある問題について考え抜いた人物の著作を読めばそれでいいんじゃないかなぁと思うんですよね。自分の思考の質を上げるための材料として、「古典」を読むという態度です。  僕は「なんで生きないといけないの? 

國分功一郎『暇と退屈の倫理学』要約 YouTube動画原稿①

本記事では、YouTubeの原稿を公開します。 「暇」と「退屈」とどのように向き合うか?どーも、うぇいです。突然ですが、みなさん、暇な時間はどのように過ごしていますか? 例えば、YouTube、Twitter、インスタなどでしょうか。もしかしたらこの動画も、暇つぶしのために見ている人もいるかもしれません。 そもそも「暇」とは、何なのでしょうか。また、僕たちはなぜ「退屈」するのでしょうか? 今回は、國分功一郎さんが書いた『暇と退屈の倫理学』を要約することで、「暇」と「退屈

自分がおじいちゃんになった時、孫世代に「おじいちゃんたちの時代ってみんなバカだったんだね」と言われそうなことなんだろう、と考える

今日の記事は、いつもみたいに僕の思想を発信するのではなくて、ちょっと妄想してみようと思います。 いまから数十年後、自分の孫と話しているとしましょう。その時に、「おじいちゃんの時代って大変だったんだね」とか、「おじいちゃんの時代ってみんなバカだったんだね」と言われそうなこと、何かあると思いますか? 僕は、たくさんあると思います。例えば、サラリーマンの労働時間がずっと8×5=40時間(以上)より短くならないとか、年上のほうが絶対的に偉いとか、努力すればなんとかなるとか、そうい

「もう誰も信じられない!」「どんな言葉も信じられない!」と病まないための技術

「あんないい人がこんなひどいことするなんて、もう誰も信じられない😭」、こんな思いを抱く人が少なからずいるように思われます。他者を信じては裏切られ、信じては裏切られということが繰り返されると、他人を信用できなくなってしまう。このように他者に裏切られ続けた人々は、人間嫌い(ミサントローポス)になってしまっているのです。 それでは、この人間嫌いの原因とは何なのでしょうか。 このことについて、古代ギリシアの哲学者プラトンの著作である『パイドン』で描かれるソクラテスおじさんに教えて

脳の仕組みを知ろう! 神経細胞(ニューロン)を解説する

1. 脳について知ってますか?本記事では、脳を組織している神経細胞(ニューロン)について解説していきたいと思います。 私たちが心や意識と呼ぶものと脳に深い関係があることは常識でしょう。けれど、脳がどのような仕組みなのかということはあまり知られていません。よく、テレビや書店では「脳にいい〇〇」みたいなフレーズを見かけますが、ほんとでしょうか。 僕たちパンピー(一般人)は、脳が大事というのは知っているけど、脳の仕組みについてはほとんど知りません。 大学で学ばない限り、学校で

神経細胞と自己組織化 どうやって神経細胞は結びついてるの?

1. 神経細胞の結びつきは変わるどーも、うぇいです。いつもはなるべく1記事完結で読めるように書いているのですが、本記事の内容は脳科学の知識を前提とします。ですから、ぜひ前回の記事を見てから本記事を読んでもらえばと思います。 本記事の目的は、前回の脳神経科学的知見をもとに、神経細胞がどのように結びついているかを説明することです。さらに、今回の内容を踏まえて次回の記事を書こうと思います。 さて、本記事の構成は以下のようになります。第2章では、神経細胞は自己組織化という現象に

人工知能と人間の知能は何が違うのか? コネクショニズムの検討

1. 人間の脳の活動はシミュレート可能か?どーも、うぇいです。前の2つの記事では、人間の脳が神経細胞(ニューロン)のネットワークとして機能していることを見ました。そのネットワークは、自己組織化という現象によって、言い換えれば神経細胞が自発的に結び合わさることによって、構成されています。脳には可塑性という性質があり、その結合の強さは、変化していきます。つまり、脳は変化するのです。 さて、本記事では今までの知識を前提に、哲学的な問題を考えることにしましょう。考えたいのは、もし仮