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人類絶滅をデザインする

2021/10/06 7:49

内山田康の原子力の人類学を読んでいて苦しい。
原料たるウランを採掘/環境破壊し、発電に利用/環境破壊し、ゴミとしてのプルトニウムを最終処理/環境破壊する。
核利用/環境破壊の全ての段階で、さらに人/コミュニティ/信頼をどんどん破壊していく。
自らの住むべき土地もコミュニティも分断され、全てが核関連ビジネスに取り込まれ、異議申し立てが言えなくなる現実、
それを知れば知るほど、人類不信になる。

そんなとき、パオラ・アントネッリ、の言葉を見つけた。

「人類の絶滅は避けられないと思います」ーーMoMAキュレーターのパオラ・アントネッリ、地球をの修復を目指すデザインを語る。

笑っちゃうくらい、深遠な問いである。
僕はノートで痛快だとか、よく書くが、ブレイクスルーな言葉に出会うと笑ってしまう。
記事はこうまとめられる。

人類の絶滅は避けられないと思います。もはや、絶滅するかしないかではなく、どのように絶滅するかが問題です。
<中略>
「Broken Nature」の展覧会カタログでも述べたように、わたしたちは、人類が絶滅したあとに地球を支配するであろう「次の優れた種」が人間にほんの少しでも敬意を抱くように未来を形づくる必要があります。賢くはないにしても、少なくとも威厳があり、思いやりがある存在として尊敬を得るために。

世紀末ロマン主義小説といえば、人類絶滅だ。
人類絶滅と言えば“猿の惑星”という金字塔がすぐに思いつく。
しかし、こと人類の滅び方をデザインしたSFといえば、なんだろう。

まずはアシモフの“銀河帝国の興亡”シリーズか。
文明が滅びることを予期した心理歴史学者ハリ・セルダンは、三万年の暗黒時代を短縮するためにファウンデーションという秘密結社をつくる。
欧州中世暗黒時代とルネサンスをイメージした、ファウンデーションと500年銀河文明の叙事詩ってお話し、ららら科学の子の必読書である。
いまAppleTVプラスのオリジナルシリーズで公開中らしい。

人類の大いなる遺産であるファウンデーションを、けっ飛ばす名作がある。
宮崎駿の“風の谷のナウシカ”だ。
マンガ最終刊の墓所とナウシカの対決は、ファウンデーション計画の失敗に終わる。
アントネッリがいう

「次の優れた種」が人間にほんの少しでも敬意を抱くように未来を形づくる

ことに失敗する物語りがナウシカだ。
この悲劇をなんとかしたいと想い、宮崎駿はもののけ姫を作ったように保坂は思う。
ナウシカ=サン:もののけ姫を救うため、ペジテのアスベル=アシタカはパワーアップする。
しかしアシタカもサンも、尊敬される最後のタタリガミ=滅び行く旧人類として描かれている。

だよなぁ、猩々やおっことぬし様みたいになっちゃいかんよな。
と思いながら、原子力の人類学を読み進めるのであった。

おしまい。
ああああ、まとめられた。
ワークショップ効いてるなぁ。

2021/10/06 9:33

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