見出し画像

タイヤ交換…2023シーズンイン

スパイクタイヤから夏タイヤへの交換。
それは、シーズンインの合図。

今年はタイヤ交換後、夜通し走ってそのまま約100km先の倶知安まで行ってきたのだけれど、この話をすると「冬で体力落ちてないの?」という質問を投げかけられる。
実際、落ちている。普段キツくないはずの上りで息があがりかけたり、平坦でスピードが出なかったり。
遠出ができない分、冬は明らかに体力は落ちる。

でも、乗れてしまう。
タイヤ交換をしたその日だけは、麻薬のような感覚に包まれるから。

そんな麻薬の虜になったのは、昨年の春。
夜中(たしか23:00頃)にタイヤ交換をして、帰路に着こうとした一歩目の漕ぎ出しの感覚。
冬の悪路、ギア軽くしても重たいペダル、スパイクタイヤのザリザリした乗り心地。
それが当たり前になるくらい冬に自転車に乗ったからこそ味わえる唯一無二の感覚、感動。
ぜんぶ下り坂かと思うほどスムーズに回せるペダル、なんなら飛んでるぜコレと思ってしまうほど。
年に一度、タイヤ交換をした日にしか味わえない貴重なものだ。
この麻薬のおかげで冬のブランクなんて感じずに走ることができる。
昨年は、そのまま24:00に札幌を出て、小樽を過ぎ、余市で朝日を拝んで赤井川を経由して毛無峠から札幌へと帰還した。
麻薬効果だけで150km乗れてしまったのだ。

タイヤ交換の日は、そんな特別な一日。

ということで。
しっかりとタイヤ交換の翌日に休みを取った今年。
どこに行こうか、いつも通り前日まで未定。
天気予報を見るとわりと近郊は晴れている様子で、どこにでも行ける。
せっかくならまだ行ってないところを目指したい。
通ってない道を通りたい。
越えてない峠を越えてみたい。
各地のリアルタイムカメラで路面状況を確認すると、標高低めの峠なら路肩も雪が無くて走れそうだった。
そんな理由で倶知安を目指すことに。

3/13 16:30
仕事を終えて、サムズへ。
サライさんにタイヤ交換をしてもらう。
わやSOMAの場合、タイヤ交換どころか、フォークごと交換。
色々な理由で「今冬は自転車に乗らない」予定だったところ、アイバさんがフォークを譲ってくれたおかげで乗ることができた。
乗る理由と勇気をもらえたあったかい冬だった。

また来冬

3/14 0:00
タイヤ交換後、一時帰宅し出発準備。
もう春来てるからと、いつもの裏起毛ズボンじゃなくユニクロのスキニーに履き替える。この選択を3時間後、後悔することになる。
1:00出発予定だったが、早く乗りたくて武者震いが止まらず、ちょうど日付が変わった0:00に出発。
サドルに跨り、イヤホンを装着。
好きなラジオを流して、stravaを起動。
ハンドルを握り、ペダルを踏む。
この、一歩目の感覚。
これを最大限味わいたくて冬も乗り倒してると言っても過言じゃない。
ペダル一踏みで100mくらい進んでるみたいな感覚の中、線路沿いに小樽を目指す。

3/14 2:00
途中、山といっぷくで記念撮影。

次は開いてる時間に行きます

3/14 2:30
小樽市に入ったあたりでチラチラ雪が降り始める。
ナミさんから「気をつけて〜〜」とのメッセージ。

3/13 3:00
おなじみの張碓峠。
完全に雪。ただの冬。
天気予報晴れだったのに…とこぼすと同時に思い出す。
去年よりタイヤ交換1ヶ月も早いんだと。
春はまだ先、ユニクロのスキニーひとつでは寒いにも程がある。
さすがに気が早過ぎた感が否めなかった。

ザクザク路面

3/14 4:00
寒い。寒過ぎて腿から下の感覚がない。
止まったら凍えるので止まらない。
寒さと大粒の雪を凌げるトンネルがありがたい。
トンネルが嬉しいのは真夏日だけかと思ってた。
この季節に走るからこその気付きだ。
(真夏日に嬉しいトンネル、と言っても2000m以内の話だ。それ以上のトンネルは真夏であっても寒い。)
朝里のローソンで豚汁を食べながら脚を溶かす。

3/14 4:30
寒過ぎてコンビニ休憩取りまくりながらもようやく小樽運河へ。
温度計は0.1°、相変わらず雪も降っている。
小樽駅前のセブンでまたもや味噌汁休憩を取りつつ、余市を目指す。
去年塩谷丸山BIKE to HIKEをかました時に通った道を抜けて、大好きなフルーツ街道に出ようと思ったが、せっかくなら寄りたいところがあったので、そのまま海沿いに5号線を突き進む。

いつもの場所

3/14 5:50
夜が明ける。
世界さんのMONK CAMP SITEへ。
山といっぷく同様、不在と知りながらの訪問。
かわいいバスの前で記念撮影。
早く春秋用のシュラフ買わなきゃなと思い出す。

麦茶は半分凍っている


3/14 6:30
日が昇る。
視界が開けて、吸い込む空気の味も変わる。
身体全体が溶けてきて、幾分動きやすくなってくる。
塩谷を越えたらあっという間に余市。
いつもの撮影スポットへ。
ここまでは去年のタイヤ交換ライドとほぼ同じ道を通っている。
そんなわけだから考えつくことも同じ。
「余市って朝ごはん食べられるところ無いよなあ」
ご存知の方、教えてください。

自転車もおしりもびしゃびしゃ

3/14 8:00
仁木町を通り過ぎる。
きのこ王国はまだ開店してない。
昨夜、リアルタイムカメラで雪がないことを確認した稲穂峠に差し掛かる。
距離感に笑っちゃう青看が好きでついつい写真を撮ってしまう。

意外と車通りは多い

3/14 9:00
稲穂峠頂上。
1合目、2合目…と小さい看板がある峠。
夢中で乗ってたので5合目以降は見かけなかった。
いずれにしても、どんな規模感の峠でもこういう看板があるのは嬉しい。

いつのまにか越えてた

3/14 9:30
共和町をかすめる。
いつもかすめてばっかりなので何か目的を持って再訪したい。
高速いわない号もあるし。

2年ぶりかな

3/14 10:30
国富の分岐を左へ。
「ワイス」初めて見る地名。
温泉とニセコへ抜ける道が気になった。
内陸へ進めば進むほど雪の双璧。よくある景色だけど、冬遠出しなかった分、全てが新鮮に感じる。

路肩ちょっとガタガタ

念のため持ってきていた冬用手袋大活躍。
無かったら指が痛くて断念していたと思う。
たしかおととし買ってそんなに使う機会を作れなかったが、今冬はおつりがくるほど使えた気がする。

目的地は目前。
珍しくちょっとキツイ。
稲穂峠よりワイスのあたり、倶知安峠の方がキツかった。体感的に。
無理せず一度自転車を下りる。
ふと見るとどろっどろのSOMAチャン。舗装路走るだけではなかなかここまでならないけど、これもこの季節ならではだろうか。

よく見ると靴もどろどろ

そんなこんなで初めての倶知安にイン!
初めての道、初めての街は何するでもなくただ行くだけでわくわくする。
なんなら行く前の妄想からわくわくしてる。
だいたいどこも期待値を超えていってくれる素敵な市町村ばかり。

雪が大粒

3/14 11:00
まこっさんに会いにSTRIDE LABへ。
去年洞爺でお会いした時に「お店行きまーす」って話してたのを思い出す。
ただでさえ行きたいところだったけど、いろんな出会いがあって行きたい理由ばっかり増えていって。
休みも、脚も、いくらあっても足りない。

入口分かんなかった
背中、後頭部まで泥ハネ

この、いつも着てるmont-bellのシャカシャカオレンジだが、シーズンインに合わせてクリーニングに出して、バリガード加工も施してもらっていた。
それのおかげで、この後特に洗ったりしていないが毎日着ているうちにいつの間にか泥はすっかり落ちていた。
値段も1000円台でそこまで高くないので毎年やっても良いなと思う。
まだまだ着ていたいお気に入りの一着だ。

お腹が空き過ぎていたので話もそこそこにいったんランチタイム。
気になるカレー屋さんは臨時休業だったので、ROCOへ。ピカタ美味しい。ビールも沁みる。

ランチから戻って、STRIDE横のPyramをうろうろする。
ナッツやドライフルーツって、今まであまり好んで食べてこなかったけど、昨今味覚の変化を自覚していたためチャレンジ。
すぐ食べてみたら、美味しい!
苦手のレーズンすらも気にせず食べられる。
カレーカシューに入ってた白いペラペラのやつ(ココナッツ?)と小粒レーズンが特にお気に入り。
量り売りで好きなものを好きなだけ買えるのがありがたい。
ひまわりの種を多めにお願いしたら「渋いね」と言われる。

レーズン苦手克服
わやミックス

バスまで時間があったので、自転車屋さんに行ってみた。
水野自転車店さん。
札幌から来たこと、この後輪行で帰ることを伝えると「洗車するかい?」という申し出。
たしかに洗車したくなるくらいどろどろだ。
申し訳なさを感じつつもありがたくお願いする。

かわいい建物

3/14 16:00
ニセコ発の高速バスを待つ。
輪行も慣れたもんだ。
昨夜、プロがビタッとはめてくれた直後は、さすがにホイールを外すのもなんだか勿体無さを感じるなと思いつつ、迷いなく袋にしまい込む。

だいたい10分かかんないくらいでこれ

バスに乗り約2時間半ほどで札幌へ。

わや夜逃げライドについて。
「夜走るの危ない」とか「怖くないの?」とかよく言われるので、この機会に書いておきたい。
はっきり言って怖くない。怖かったらやってない。
夜道は確かに危険なのかもしれないが、わたしからしたら夜中のすすきのの方が充分危険だと思う。
夜の田舎道より、夜中のすすきので変なものに遭遇する確率の方が高い。動物より人間の方が怖い。山で会う鹿や熊より、街にいる知らないおじさんの方が10000000000倍嫌い。
あと「出来れば早い時間に目的地に着いていたい」と思っていて、調べた結果着きたい時間帯のバスが無いと「じゃあ、自走で行くか」となっているにすぎない。
「○○に行くならAM6:00に出よう」とか思う人は多いはずだ。いまやっていることは、ただその延長線にあるものだと思っている。
単純に逆算して夜中に出発しているだけのことだが、もちろん何も考えていないわけではなく、日が明ける前の時間帯、山や森に囲まれた道は通らないようにしている。
実際、昨年函館まで16時間で行った時も、定山渓を過ぎて中山峠に差し掛かる時に夜が明けるように考えてAM2:30に出発している。
まして、夜中に走っているのは何度も走って知っている道だけだ。しかも相変わらず舗装路。感覚的には車と変わらない。
あとは現在普通の会社員なので休みが限られている。最大限現地で楽しむためには睡眠時間を削るしか無いのだ。
と言うと、「体力あるね」と聞こえて来そうだが、そんなことはない。しっかり眠いし、疲れてる。
ただ、自分がやりたいことをやるには、行きたいところに行くにはどうしたらいいか考えた結果、こうなっているだけだ。
出来ることなら一日10時間寝たい。でもやりたいことが多すぎてそんな時間はない。
夜中なんて寒ければ景色も見えない。見慣れた道こそそれがまた新鮮で楽しくて、せっかくならと「わや夜逃げライド」と銘打ってやるようになった。

そんな夜逃げライドから無事幕開けた今シーズン。
夜中に大雪で凍えながら走るという、例年より気合の入ったスタートだ。
しかし、シーズンを4〜10月から、3〜11月に伸ばすことに成功した。
今年も、もっともっと色んなところに行って、色んなものを見に行こう。
別に誰にお願いされてるわけでもない。
ただ自分が行きたいから行くだけ。
会いたいから会いに行くだけ。
もはや誰かのためという要素はなくて、誰かの何かにもならなくて良い。
自分が納得したいだけの自分勝手な旅。

SOMA1年目、輪行に抵抗がなくなる。
SOMA2年目、夜通し走ることの旨みを覚える。
そして3年目、悪天候には動じなくなる。
好きなことに夢中になっていたら、キャパシティが少しずつ増えていた。
暗闇も嵐も受け入れられるって、それって言い換えると愛なんじゃないかと思う。
自転車は、自分自身の足で立って、人に、モノに、場所に、空間に、天候にすら愛が溢れてしまう最高の乗り物。
孤独を愛して、自由を実感させてくれる相棒。

そんな相棒を連れて、今日も輪行旅をする。
(函館行き 特急北斗4号に乗って)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?