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雪月花黙示録 【恩田陸】

恩田陸さんといえば、ミステリとファンタジー色が強い作家さんとして有名ですね。

この「雪月花黙示録」は装丁の美しさに一目ぼれしました。

箱型のカバーはピンクが目立つ極彩色にいろどられた、とても目を惹く派手な装い。それにも関わらず、書籍本体は灰色を基調とした、とても地味なつくりになっています。

ページを開き、見返すと、またも極彩色の世界。そこから本編にたどり着くまでの数ページでだけでも素晴らしいので、書店でぜひ一度手にとってみてください。

さて、ここからいよいよ内容のお話です。この作品は上記した帯説明文を読んでいただくとわかりますが、

THE エンターテイメント

そんなお話です。

舞台となる「ミヤコ」という街の存在も。
主人公たちの一族も。
各章のタイトルも。

すべてがファンタジーでエンターテインメント!

ミヤコは古き良き日本を追求したような、武士の時代の空気感を覚えるのに、その外の日本では絵に描いたような未来都市が広がっていて。

主人公たちは高校生ながらも、ミヤコを統治する武士としての「実力者」でもあり。

夏鏡黄金泡雨(なつかがみしゃんぱんしゃわー)という章タイトルがあったり。

まるで「アニメ映画」のような本です。

書籍の装丁からはじまり、擬音の多様による鮮明な情景描写、話の展開、ラストシーン・・・。これらのすべてが本という媒体を使いながらも、映像を意識したつくりとなっています。とくにラストシーンは圧巻。巷で「ラストに驚愕!」といわれる映画よりも、さらに驚愕します。笑

懐古と革新がテーマのひとつであるものの、あまりに深読みしすぎるとこの世界観が楽しめないかも?

純文学よりも、ライトノベル好きな人向けな作品でした。


私は高校生の蘇芳。いとこの紫風が当選確実の生徒会選挙を控えたある日、選挙への妨害行為が相次いだ。また派手好きで金持ちの道博の仕業かと思ったら、「伝道者」を名乗る者が出現。私たちの住む悠久のミヤコを何者かが狙っている!―――――――――本書カバー帯より。

【著者プロフィール】

恩田陸(おんだりく)

1964年、宮城県生まれ。91年、第3回日本ファンタジーノベル大賞の最終候補作となった『六番目の小夜子』でデビュー。2005年『夜のピクニック』で第26回吉川英治文学新人賞、第2回本屋大賞、06年『ユージニア』で第59回日本推理作家協会賞長編及び短編集部門、07年『中庭の出来事』で第20回山本周五郎章をそれぞれ受賞。


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