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もう少ししたら笑いで元を取りに行こうか

一年半程前に別れた彼女がいた

彼女と付き合ってから半年程経った頃
彼女は一人暮らしを始め、転職活動をしていた。環境の変化に適応するのが凄く大変だったと思う。仕事も覚えてかなきゃならない。生活費のやりくりも。そんな中で彼女の父親が病気に罹り入院した。

大変そうだった。余裕が無かった。僕が負担になると感じた。だから少しでも楽になれば、余裕が出来ればと思い、お金を渡した。
お金を渡す時に「俺は負担にはなりたくない、今は大変だろうから余裕が出来た時にあらためて考えてほしい。その時に一緒に居たいと思ったら教えてね。」そう言ってお金を手渡して帰ったがそれ以降連絡が来る事は無かった。


わかってた、本当はわかってた。

僕が大切な人とお金を天秤にかけたがらないこと。僕が信じようとすること。意地でも僕がカッコつける事。ギュウギュウに押しつぶされそうな気持ちの中でも一点を貫いて僕が最終的に取る選択。

君は全部わかってただろう。
君が僕の事をわかっているのもわかってた。

でも意地でも曲げたくなかった。

君が僕に頼る必要なんて無い事もわかっていた

嘘だとわかっていても騙される自分を信じた

この先にどんな結末が待っているのかもわかっていたよ

お金なんて、だからね。

これで良いと納得していた。
君が少しでも楽になればと思った。
人との関係をお金に左右させたくなかった。

だから折り合いをつけた。

返してもらうつもりも無かった、問い詰めるつもりも無かった

だから僕もそれ以降連絡をしなかった

だけど魔が刺した。

かれこれ1年半経ったけれど一切連絡を取っていないのは結果としてお金に関係性を左右されているんじゃないか。

多分きっと、僕は連絡をしなかったんじゃなくて怖くて塞ぎ込んでいただけ。人を信じようと出来なくなってしまうかもしれない。

そんな自分と結果を認めたく無くて電話をかけてしまった。


最近どうしてる?お父さん良くなった?
俺か〜、まぁなんだかんだ元気かな
職場や一人暮らしにはもう慣れた?
それなら良かった

そんな何気ない会話を終えてあっさりと電話を切った


今まで見た事が無かった彼女の笑顔を見た。


こうなるのか、。

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