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東へ向かう

先方の取引先から聞かれた

君は自分の事を真面目だと思うか?

「思いません。」

そう答えると続けざまに聞かれた

私は嘘を吐く人間と契約を結びたくは無い。
君は嘘を吐くか?

「吐きますね。今も予定時刻通りに来てネクタイを締めて姿勢を正して丁寧に言葉を交わしてあたかも真面目な好青年を装ってはいますがこれがまず嘘ですので。」

嘘を吐くと認める事で自分が正直物である事をアピールした。

そもそも「嘘を吐かない人と仕事がしたくない。」この言葉も嘘だろ。

そんな事を考えているといつの間にか終わっていた。契約を結んでもらえた。喜ぶべきなんだろう。

だけど、、心の底からため息が出た。

「あぁ〜、つまんねぇ。」

嘘を吐くか。yesかnoどちらで答えてもパラドックスの様な物が生じてしまうこの質問が来た時に少し高揚した。

なのにね、、、。

目線や声のトーンで圧をかけながら質問して来ておいて結局それかよ。

結局俺の嘘信じ込んでるだろ。気付けよ!
生粋の嘘吐きである事を証明したのに。

そこまでわかった上で気に入って貰いたかったよ。どうせなら。

威圧感と頭の良さそうな質問で大きく見せといて結局俺の知ってる範囲内に収まんなよ。

俺が見せた本当の様な嘘の俺をそのまま信じて何やってんだよ。どっちが嘘を見抜いて嘘を信じ込ませるかの駆け引きを簡単なほんの数回のラリーで終わらせんなよ。

年齢とか積み上げたキャリア、経験があるだろうに。退屈だな、。

こう言う意味でのおもろいやつってほんま少ないよな。

でもこの人俺より年収高いねん絶対。

結論


俺の負け。

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