見出し画像

20220221ふかいメルマガ39回 社会性と商品性とビジネスと

おはようございます!
毎日寒い!
そんな中の先週水曜日2月16日に、
今回で9回目となるソーシャルプロダクツ・アワード2022の授賞式があり、
80の商品とサービスが受賞しました。
中でも自由テーマと年度テーマそれぞれ、大賞・優秀賞・生活者審査賞の上位3賞は、受賞者代表による10分間のプレゼンテーションが行われました。

YRK&TOKYOのオフィスがある同じ銀座5丁目の時事通信ホールで、
コロナ禍ということもあってリアルと配信のハイブリッド開催でした。
毎年、審査が大変です。
私は事務局の立場なので、審査をしているわけではありませんが・・・。

審査員は、自由テーマと年度テーマ、それぞれ毎年選んでいます。
自由テーマは、ソーシャルな領域に強い専門家、メディア関係、実業家、大学の先生などから偏らないように6人。
今回の年度テーマは、「東日本大震災からの復興につながるソーシャルプロダクツ」なので、復興に関わっている方々を選んでお願いしました。

例えば、自由部門の審査員の中には、タレントでエシカル・ペネロープ 代表の原田さとみさんや、エシカルコーディネーターのエバンズ亜莉沙さん。
年度テーマの審査員には、カンブリア宮殿に食べるリーグの代表として出演した高橋博之さんや、NHKプロフェッショナルに社会起業家として出演した渡邊智恵子さんなど、この世界の超有名人が参加してくださっています。

商品審査は、1品ずつ見て触って味見して評価していくので、2時間から3時間はかかります。
そのうえで、YRK&のオフィスに審査員全員に集まってもらって、
2時間かけて上位3賞を選ぶ審査会を行います。

このメンバーが同じ部屋に集まるだけでもすごいことなのに、
毎回真剣な議論になり、今回もかなり強い口調の激論になりました。
多くの商品の中から、1等賞と2等賞を決めるのですから、選ぶほうもたいへんです。

毎回激論になるのは社会問題を解決するという社会性と、
性能や効果、使いやすさといった商品性とのバランスです。
ソーシャルプロダクツと、わざわざプロダクツと名乗っているのは、
モノやサービス本来の品質がまず担保されていることが重要
だという意味があるからです。

東日本大震災の直後、復興商品と銘打った様々な商品やサービスが世に出ました。
しかし、その多くは「被災地がかわいそうだから」「被災地を助けるために」というコトが強く打ち出されたモノで、商品としての価値が低いものも多くありました。
また、少し売れるとあっという間に品切れになり、次はいつ入荷するのか、発売されるのかさえわからないというモノも多くありました。

こうした問題意識から、適正なソーシャルプロダクツを普及推進させることを目的に、震災の翌年2012年7月に発足したのが(一社)ソーシャルプロダクツ普及推進協会、通称APSPです。

毎年エントリーされる商品やサービスの社会性は申し分ありません。
問題は商品性です。
使いやすさ、性能や効果効能、そして表示方法について、
本当にこれらの商品が受賞にふさわしいかどうかの議論です。
さらに継続性のあるビジネス(商売)になっているかどうかも厳しく議論されます。
価格設定であったり、社会性がわかりやすく伝わるようになっているか、
時には生産量やサプライチェーンが問題視されることもあります。
審査員の真剣な議論には毎回感動するので、審査会の議論は非公開なのが残念です。
まぁ非公開だからこその激論なので、仕方ないです。

それから上位3賞のうち生活者審査賞は、
一般公募で選ばれた一般生活者の投票によって選ばれた商品
です。
それでは、数多くの中から選ばれた80のソーシャルプロダクツ賞の頂点に立った2つの素晴らしい大賞商品を紹介します。

東日本大震災の復興につながるソーシャルプロダクツ大賞は、
福島いわき市の株式会社起点、オーガニックコットンブランド「SIOME」でした。
原発事故の風評被害によって、放射線の心配が無かったとしても、
人の口に入る福島の農作物は受け入れてもらえないだろう。
それなら口に入れる必要のないオーガニックコットン「福島綿」を育てブランド化し、流通させようと立ち上げたのがブランド「SIOME」です。
だから、単なるブランドではなく、福島綿を生産する農家から、商品化して流通するまでの一連のサプライチェーンを福島でつくりあげました。
そして、一過性の復興ブランドにしたくないと、2019年にブランド名から「ふくしま」をはずし「SIOME」にしたのです。

自由部門の大賞は、株式会社ネクストの「UpcycleLino」。
このブランドは、アパレル商品をつくる過程で30%も出る裁断くずを
もう一度糸に戻し、裁断くずだけ再生したブランドです。
しかも、この会社はファストファッションのOEMメーカーということもあり、低価格化の流れで会社存続の危機に直面していました。
当然産地の機屋・染色業なども廃業・倒産が相次いでいる中で、サプライチェーン全体でこの取り組みを協業し、疲弊した産業をビジネスで活性化させるブランドになりました。

今年の2つの大賞商品は、どちらもアパレルでしたが、単なる商品性と社会性を兼ね備えたソーシャルプロダクツ以上に、問題を抱えたサプライチェーンをビジネスで元気づける仕組みも持っています。
言い方を変えればビジネスモデルをつくりあげました。
素晴らしい取り組みです。
こういう取り組みを見ると、大手企業は何やってんだ?と思うかもしれません、が、大手企業はみんなだいたいやっているんです。

先日、ビジネスでインドに駐在していた方と話したのですが、
インドではスズキをはじめトヨタもホンダも、自動車を販売するだけでなくインドの社会生活に根差した活動をしていて、それがインドでの日本車(特にスズキ)の支持につながっている。
それはインドで生活するまで全く知らなかった
ことだ」と言っていました。

善い行いを自分で言いふらすことは品性に欠けるという
日本人特有の「陰徳」の倫理観もあって、
伝えるのが苦手だったり控えたり、
大手企業ほどそういうことがあります。

前回のメルマガでも触れたように、
日本も含めて世界の社会問題を解決するコストが上がり続ける今、
その問題解決に共感したり、応援したい、一緒に参加したいと
思ってもらうことが値上げを付加価値に変えます

そんなヒントを感じることができます

ホームページをのぞいてみてください。
そして今週水曜日、2月23日からは、大丸東京店9階で展示販売会あります。
上位賞6商品・サービスをはじめ受賞した80の商品・サービスすべてを見ることができます
ので、ぜひ遊びに来てください。

明日は深夜まで売場づくり。前日はいつもたいへんです・・・^^;
今週もよろしくお願いします。

大丸東京店9階で展示販売会の様子


深井賢一

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?