見出し画像

20240617ふかいメルマガ156回 関心領域

おはようございます。


池袋から本社2階にサテライトオフィス移転

6月10日(月)から、池袋のサテライトオフィスが
本社のある東銀座白鶴ビルの2階移転して、
新たにスタートしています。

昨日16日(日)にセキュリティドアを取り付ける工事を行い、
東銀座サテライトオフィスはほぼ完成です。

実はこのオフィスには、
ウェーブも参画しているYRK&の
売技ナビサポートチームも同居しています。

売技ナビサポートチームも、
今週中に隣のYRK&オフィスから完全に移ってきます。

そういうことも含めて、
この新しいオフィスはとても意味があるので、
あらためてこのメルマガでご紹介したいと思います。

上越の酒で背中を押される?

ところで、今日のメルマガのタイトルでピンときたら、
その人はかなりの映画好きだと思います。
「関心領域」は、
今話題の映画のタイトルだからです。

「上越の酒を飲む会」で、
映画が好きで、公開されている映画を
片っ端から見ているというウェーブのYさんに
「この映画は、映画館で見るべき映画ですよ」と
背中を押されて見に行ってきました。
見に行ってからもう時間が経っているのですが、
その余韻というか後味が、なかなか色褪せないので、
ちょっとだけ触れたいと思います。

きっかけは、「関心領域」という映画の話を聞いたことです。
観たほうがいいよ、と勧められたわけではなく、
「観た人がどんな感想を持つのか興味がある」という
言い方がひっかかりました。

サブタイトルにもなっている
「アウシュビッツ収容所の横で幸せに暮らす家族がいた」
というフレーズにも興味をそそられました。

名作なのか、駄作なのか

アウシュビッツ強制収容所と言えば、第二次世界大戦で、
ナチスドイツによってユダヤ人だという理由だけで、
拘束され財産を奪われ、
労働力にならない女性・老人・子ども・障がい者は、
ガス室で殺され焼却される、
そのためだけの施設として有名です。
ここで虐殺されたユダヤ人は100万人と言われています。
そのアウシュビッツ強制収容所の所長一家の
日常生活だけに焦点を当てた映画
だと言うのです。

「関心領域」というタイトルは、
原題「THE ZONE OF INTEREST」の直訳です。
もともとナチスが、アウシュビッツ強制収容所周辺半径40キロを
「THE ZONE OF INTEREST」と呼んでいたそうですが、
そのこと以上の意味を含んでいる
ことは、
サブタイトルを読んだだけでピンときます。

「どんなホラー映画よりも恐ろしい映画」
「今世紀最も重要な映画」などの映画評
に、
映画.comなどのレビューを読んでも高評価。
興行ランキングも高く、
メディアでも「この手の作品にしては異例の興行成績」
と記事にされるほど。

一方で、
「これが映画なのか?」
「ひたすら退屈なシーンを見せられた」
「エンドロールで耐え切れず席を立った」
「難解で意味が分からない」

恨み節で酷評する人がいることもわかっていました。

そんな中で背中を押してくれたのが、
「上越の酒の会」でのYさんの
「映画館で見るべき映画ですよ」という一言でした。

6月8日(土)に妻と観に行ってきました。
アウシュビッツ強制収容所の塀の横にある
プールがあって花がたくさん咲いている大きな庭のある邸宅で暮らす
所長と妻、3人の子供、家政婦たちの日常

ひたすら淡々と、事件も起こらず、絵になるシーンもない、
ふつうの家族の日常生活。

なんですけど、うん?どういう意味????
というシーンがあったり、
ふつうの家族や日常生活では違和感のあるシーンが、
ちょいちょい挟まっていて、
なにかに気づかされる場合と、
???のまま終わる場合とが混ざりあって、
1時間45分で終わる、そんな感じです。

この映画の「凄み」はアカデミー賞も受賞した「音」と映画館という「暗闇の空間」にある

観終わって残るんです。
後味が。
余韻が。
悪いわけでは無い後味。
観た人と話したくなる映画です。
もっと各シーンの意味を調べたくなる映画です。

無関心領域を意識する

観終わった後にネットで調べると、
YouTubeにもブログにも、
解説が次から次へと出てくるんですね。

それで新たな気づきがあったり、
恐ろしくなったり、
観た後から上塗りしていくような映画でした。

「関心領域」というタイトルと、
あらすじを知った段階から、
この映画の持つ意味はわかっていました。

人間は、
悲惨なこと、
非道なこと、
法に触れる悪事、
それらが自分のすぐ近くで起こっていても、
見ないふり、
聞こえないふり、
知らないふりをして
まったくの無関心を貫けるということ。
逆に言えば、
関心のあること以外、
情報を遮断することができるということ。

ウクライナやガザ地区の問題を挙げるまでもなく、
日常の身の回り、
会社や家庭や、
そんな身近なところで、
アウシュビッツ収容所の横で暮らす家族と同じことを
あんたはしてしていないのか?
そのことを直接的にぶつけてくる映画でした。

この映画の監督・脚本ジョナサン・グレイザー氏が、
ユダヤ系イギリス人だということも、

映画のストーリーのその裏にある意味を想像してしまいます。

グレイザー監督が、
アカデミー賞を受賞した時のスピーチで、
「過去において誰が何をしたかではなく、
むしろ私たちが今何をしているかに
目を向けようという意図でこの映画を作った」

と語りましたが、
まさに、自分の「関心領域」
その外側に広大に広がっているはずの
「無関心領域」
について
考えさせられました。

エンタメ系の映画ではないので、
誰にでもお勧めはしません。
また何かを期待して観る映画ではないと思います。
映画を観終わって食事をしながら、
この映画についてあれこれ話している時に
「これは映画館で観ないとわからない映画だと思う」
と妻も言いました。
「映画館で観るべき映画」の意味。
かみしめるようにじわっときます。

まだ上映しています。

観終わってからも余韻が続く

今週もよろしくお願いします。
深井賢一


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?