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20231129ふかいメルマガ27回 SDGsは正しいことなのか?

おはようございます!

ところでSDGsについて、先週はその成立のプロセスを中心にお話ししました。
今回はSDGsに対する問題意識や批判、そして私の考えをお話しします。
またまた長文なので小見出しつけました。
●拡がるSDGsへの問題意識
●0か100ではない「少し」が大事
●ガソリンもプラスチックも本当に悪者?
●人間の知識なんてどうでもいい5000円!?

の4つです。

●拡がるSDGsへの問題意識

先週、schooという社会人向けオンライン学習の収録がありました。

渋谷のスタジオでの収録は、グリーンバックの前でスリッパ履きという、そこだけ見るとかなり間抜けな絵した。
収録の様子

30分1コマを、3コマ収録しました。
タイトルは「SDGsはビジネスで目指す!」。
12月中に有料プログラムとして公開される予定です。

今回のSchooでの収録は、YRK&のコンサルタントが持ち回りで書いているコラムがあるのですが、私が書いた「SDGsが生み出す強い営業力」というコラムを読んでくだったSchooのディレクターが、
わざわざ連絡をくださって実現したものです。

Oさんは、「契約企業からのSDGs関連講座の要望が多いのですが、
一般的なSDGsの話しではなく、どうやったらビジネスにつなげられるかというテーマに絞りたいそう思っていろいろ検索したら、深井先生(と呼ぶのでそのまま載せますm(__)m)のコラムを見つけて、これだ!と思いました」と、うれしくて調子に乗ってしまいそうなことを言ってくれるわけです。

でも、こういう問題意識を持っている人は多く、
前回紹介したテレビ局のSさんも同じでした。
経済産業省のOさん、
言い方は失礼ですがキャリア官僚でも同じ問題意識、
つまりSDGsはビジネスで取り組むべき、という考えをお持ちで、
10月にセミナーを主催してくださり150人の方が参加され話しをしました。
さらに12月16日には経済産業省主催のワークショップでファシリテーターをさせてもらいます。

一般社団法人ソーシャルプロダクツ普及推進協会(APSP)やYRK&に声をかけてくださる方は、「SDGsで地球上のあらゆる社会問題を解決しよう」ということに問題意識をお持ちです。

●0か100ではない「少し」が大事

最近、「SDGsの不都合な真実」(宝島社)に代表されるように
SDGsや脱炭素に対しての批判の声が強まっています。
私は、こうした反SDGsも、脱炭素・脱プラを掲げたSDGs推進も、
0か100かの主張に偏っているように思っています。


私のAPSPでの立場は、ソーシャルプロダクツを普及させることが目的で、
YRK&では、SDGsをうまくビジネスに活かしませんかと、各社に提案しています。
これからの時代は、自分の会社が儲かれば良いという考えでは成り立ちません。
社会を良くする具体的な機能を付加価値にしていかないと、
生活者に選ばれませんし、そもそも社会が健全であっての会社です。
持続可能な社会を実現するための会社であり、商品・サービスでないと存続できないです。
これはSDGsに関係なく、企業が取り組むべきことです。


そんな中で国連が生み出したSDGsの発想は実にユニークでした。
どの国も実体は自分の国ファースト、
しかも民主国家ほど方針に一貫性が無く、
自由に使えるカネがない。
であれば、一番カネを持っているのは誰?
カネに左右されるのは誰?
と考えた末に、投資家と投資家に最も影響される企業に目をつけた
ということです。
かなり私の推測が入っていますが、大きく外れていないと思います。
なぜならSDGsの前からPRI、ESGという流れをつくったのも国連だからです。
そして、日本の金融機関・各企業の動きを見ると、
まんまとその流れに乗っています。

ESGのGはGovernance、企業統治です。
これは、「悪いことするなよ!」というメッセージだけでなく、
「社長が代わるたびに、とか、業績が悪くなったから、とかで、
方針をころころ変えるなよ!」というメッセージでもあります。

よくできたシクミです。
国際社会では無力だ無意味だと言われている国連が、
これはよく考えたと思います。(上から目線ですが・・・)

ただCOP26 でも日本の国会議論でも、脱炭素・脱プラの流れ。
例えば、自動車をすべてEV車へ、なんていう流れは、
超疑問に思っています。

私は、企業・商品・サービスは、社会性も付加価値としていかないと、生き残れないと考えています。
ただし、社会性「も」であって、前提になるのはモノの機能やサービスの質といった「品質」です。
社会性は付加価値だから、0か100ではなく、「少し」でもあったほうがいい、というレベルなんです。
その「少し」を価値と生活者が感じれば売れるし、無価値だと思えば消え去る。
それが市場原理です。

例えば、2019年のソーシャルプロダクツ賞を受賞した、ゼブラのサラサというバリバリのプラスチックボールペン。
柄の部分に赤い羽根がデザインされていて、商品の売上の一部が子供たちの学習支援に赤い羽根募金に寄付されます。
たったこれだけのことで、このプラスチックボールペンは売れています。

●ガソリンもプラスチックも本当に悪者?

今プラスチックは悪者扱いです。
脱ストロー、レジ袋有料化、プラスチックパッケージから紙パッケージへ、などなど。
でもプラスチックは、安価で密閉性が高く、軽くて丈夫、衛生面でも安心。
リサイクル・アップサイクルも自在で、何度も再生できて、最後はアスファルトとして道路になる。素晴らしい素材。
要は使い方次第なんです。

ただし、日本のプラスチックのリサイクル率は、EUに比べると圧倒的に低いのが現状です。
リサイクル技術はあるのですが、活かされていません。
また最近話題の海洋プラスチック。
大量の海洋プラスチックゴミのほとんどは、途上国の廃棄物です。
日本の河川や海岸から漂流するものもありますが、それは一部の心無い人たちが捨てたモノであって、
途上国の場合は廃棄プラスチックの処理技術がないことによって起こっている問題なのです。
それにレジ袋有料化だって、省庁がつくった「省令」に基づいたもので、
国会できちんと議論された「法律」ではありません。
実際に昨年2020年の国会経済産業委員会では
「レジ袋有料化及び無料配布禁止を義務付ける省令の中止又は一時中止を求めることに関する請願」が出されています。

ある日突然、会社の商売が、法律で禁止されたとしたら、どうでしょう。
これが現実に起こりました。

EV車シフトもそうです。
昨年12月、豊田章男トヨタ社長が自工会会長の立場で、
「EV車シフトは否定しないが、EV車に供給する電力はどうするつもりなのか?
EV車シフトなら原子力発電で10基、火力発電だと20基程度増やさないといけない」と声明を出しました。

そもそも世界の二酸化炭素排出量は、1位が中国で30%を占め、2位がアメリカ15%、続いてEU・インド・ロシアと続き日本は6位ですが、たったの3%です。
その日本が、火力発電・原発を増やしてまでEV車にシフトすることは本末転倒ではないか?という指摘です。

例えば、日本のハイブリッド車、あるいは水素を使った燃料電池車(トヨタMIRAIや都バスに増えました)の方が、EV車よりも自分で発電しながら化石燃料を劇的に減らす仕組みとして環境には有効なのではないか、ということです。

脱プラの流れでは、量り売りも増えました。
私の家の近所、有明の無印良品は、マフラーの測り売りまでやっています。
また量り売りだけのスーパーマーケット「斗々屋」が京都と東京国分寺にオープンしました。

私も行きましたが、実用性よりもエンタメ性の方がまだ高い気がしました。
そして株式会社斗々屋に出資しているのは、寺岡精工という「はかり」の大手メーカーです。
寺岡精工にとっては、本業を社会性につなげる絶好の機会ということでしょう。

●人間の知識なんてどうでもいい5000円!?

いやー、すみません。
また長々と書いてしまいました・・・
最後にもう一つだけ。
異常気象についてです。
タモリさんが言っていたことが印象に残っています。
「地球の歴史は47億年。
人間が誕生して20万年。
文明的な歴史は5000年程度。
47億円持っているとするじゃないですか、
20万円なんて、はした金ですよね。
5000円なんて、どうでもいい金ですよ。
そう考えたら、人間の5000年なんてついこの間。
20万年なんて、最近ですよ」だって。わかりやすい!
つまり、人間にとっての異常は、地球の47億年の中では大きな営みの一つかもしれない、人間はそれを知らないだけ、ということなんです。
なんでもかんでも、異常だー!人類の危機だー!歴史上なかったことだー!
というのも、私はどうなのか、と思っています。

とは言ってもですよ、
自分がいる街、
勤めている会社、
住んでいる家は
きちんとしておきたい。
当然です。

YRK&には、ヤラカス舘時代からの言葉があります。
「次工程はお客様」
自分の次の工程が、後輩だろうが業者だろうが誰であっても、
「お客様」だと思って丁寧にお願いすること、という意味です。
同じように私たちの次の世代には、お客様として、
きちんと丁寧にきれいにして引き継ぎたい、
そのことは強く思います。
それを0か100で考える必要はなく、
できることから少しずつ、でいいということです。

ここまで読んでいただいて、ありがとうございます。
ほんと長々になってしまいました。
実は、まだ書き足りないことがあります。
SDGsやESG、実は日本が先進国なんだ、自信を持とう!
という話ですが、またあらためます。

深井賢一

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