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Superchunk / Wild Loneliness

 2022年リリース、通算12枚目のアルバム。本作は前作とは打って変わって、穏やかな曲が大半を占めている。『Acoustic Foolish』を作り、さらにライブを行ったことで、前作とは違うアコースティック主体のアルバムを制作したくなったらしい。そこにパンデミックが重なり、メンバーが集まることが出来なくなり、Macが一人家でアコースティックギターを使って曲を書き上げていったとのこと。当然、集まることが出来なかったため、録音はリモートで行われている。しかし、それを意識する必要は全くなく、メンバーが集まって録音したように聴こえる。また、リモートということで、ゲストもこれまで以上に多くなっている。MergeからもアルバムをリリースしているTeenage FanclubのNorman BlakeとRaymond McGinley、元R.E.MのMike Mills、Owen Pallet、Wye OakのAndy Stack、Camera ObscuraのTracyanne Campbell、BeirutのKelly Prattなど、多くのゲストが参加して、アルバムに彩りを加えている。
 活動再開後のアルバムはどれもパンク精神に溢れ、まるで初期に立ち戻ったかのような音が多かったけど、本作はアコースティック主体で作られているため、趣がまた違う。でもそうやって方向性を変えることもまたパンクなのかもしれない。ゲストによるストリングスやホーン、コーラスがまたメロディに良い具合に重なり、非常に心地よい。衰えないMacの声も曲によく合う。おそらくSuperchunkで一番穏やかで優しいアルバム。彼らがいかにメロディメーカーであるかを知るにはうってつけの1枚だと思う。
 

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