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The Smashing Pumpkinsの解散~再結成~現在を語ろうと思う②

 前回は解散から再結成までを書いたので、今回は再結成後を書いていきます。


再結成、そしてTeargarden by Kaleidyscopeプロジェクトの開始

 Billyの宣言通り、2007年にバンドは再結成してアルバムを録音、リリースする。それがこのアルバム。

Zeitgeist

 再結成後、初のアルバム。録音はBilly CorganとJimmy Chamberlinの二人で行われた。そして、このアルバムは当時賛否両論を引き起こした……。
 スマパンが再結成するに当たって、ファンが望んでいたのは『Siamese Dream』や『Mellon Collie and the Infiite Sadness』の頃のような音で、それは一ファンである僕も同じだった。ところがリリースされたものは、バンド史上最もヘヴィなサウンドに溢れていた。ヘヴィに鳴り響くギターと激しく叩かれるドラム。メロディよりもヘヴィさに重点を置き、雑音を弾き飛ばすかのような硬質な音。現在に至るまで、こんなにヘヴィなアルバムは作っていない。だからファンは皆戸惑ってしまった。正直このアルバムで聴かなくなってしまった人も結構いるのではないかと思う。
 でも、リリースから年月も経って改めて聴いてみると実は凄く良いアルバムではないか、と感じるし、再評価もされている模様。今だから分かると言うか感じることだけど、昔のような音にすることもきっと出来たはず。でも、昔と同じようなアルバムを作るために再結成したわけではなく、新たに前に進むための再結成だったんじゃないかな、と。だからこういうアルバムを作ったんだと思う。アルバムとして纏まっているし、凄くかっこいい。『That's the Way (My Love Is)』のように『Machina』を思い出させるような曲もあるし、決してヘヴィ一辺倒ではない。改めてちゃんと聴いてもらいたいアルバム。ただ現在のところApple Musicのようなストリーミング配信がされていないんだよね。でも中古で比較的簡単に手に入ると思うので、是非聴いてみてください。

 その後、バンドはツアーに入り、長年バンドを支えることになるJeff Schroederがギターとして加入、2008年には『American Gothic』というEPを発表する。でも、2009年にJimmy Chamberlinが二度目の脱退をしてしまう。とはいえ、友好的な脱退ではあった様子。その後バンドはドラマーのオーディションを行い、当時19歳だったMike Byrneが加入する。

Teargarden by Kaleidyscope

 2009年、バンドは『Teargarden by Kaleidyscope』というプロジェクトを開始する。全44曲からなるプロジェクトで、5年程度かけて少しずつ曲を無料配信で発表し、最終的に44曲をボックスセットとしてリリースする、という壮大なもの。元々バンドはもう伝統的なアルバムは作らない、と少し前に宣言していて、無料で少しずつ配信する、というのもこの考えに基づいていると思われる。
 その最初の曲として『A Song For A Son』がリリースされ、その後少しずつ曲がリリースされ、最初の8曲は『Vol. 1: Songs for a Sailor』、『Vol. 2: The Solstice Bare』という形でそれぞれ4曲ずつ、未発表曲1曲を追加してEPボックスとしてリリースされた。その後、さらに2曲配信リリースされることになるんだけど、ここで無料配信は終了し、今後はまたアルバムとしてリリースされることになる。
 この時点で既に12曲発表したことになるんだけど、これらの曲は今では手に入れることは難しいみたい。おそらくダウンロードも出来ない。ただ、YouTube等で聴くことは可能です。1曲ずつ、シングルのような形で制作されているからか、どの曲もクオリティは高いです。個人的にはメロディが抜群に良い『Tom Tom』と『Owata』、ヘヴィかつどこかメランコリックな『Lightning Strikes』が好き。
 また、2010年の5月に新たにベーシストとしてNicole Fiorentinoが加入し、彼女は『Lightning Strikes』以降の録音にも関わって来る。ちなみに、当時のバンドのFacebookで彼女は『Siamese Dream』のジャケットの女の子の一人、と発表されて話題になったけど、これはバンド側のジョークで実際はそうではなかった、というオチでした。
 というわけで、次回へと続きます。

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