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Sonic Youthについて語ってみるよ④

 Sonic Youthの活動期間を下記の6つに分けてみて、今回は④について書いてみます。

①黎明期:1st EPから『Bad Moon Rising』
②確立期:Steve Shelley加入から『Daydream Nation』
③オルタナティブ期:メジャー移籍、オルタナブーム
④メジャーでの実験期
⑤Jim O'Rourke参加、加入による転換期
⑥Jim O'Rourke脱退~Matador移籍~活動停止


Experimental Jet Set, Trash and No Star

 1994年リリースで、前作『Dirty』に引き続きButch Vigによるプロデュース。『Dirty』と比較するとヘヴィさは薄れ、実験的な曲が増えている。全体的に暗い雰囲気があり、曲調もインディー期に戻ったかのような作風。しかし、ずっとSonic Youthの作品を追いかけた人からすれば、とても彼ららしいアルバムだと感じると思う。決して聴きにくいわけではなく、色々な曲が詰め込まれている。1曲目『Winner's Blues』はThurstonの気怠いヴォーカルの弾き語り。2曲目『Bull In The Heather』はライブでもよく演奏されていた曲で、暗く淡々としたKimのヴォーカルが印象的。『Screaming Skull』では歌詞にSuperchunkやLemonheadsといったバンド名が出て来る。『Androgynous Mind』は作中最もヘヴィな曲かな。同じ歌詞を繰り返すThurstonのヴォーカルと中盤の混沌さが素晴らしい。『Waist』や『In the Mind of the Bourgeois Reader』も『Dirty』の延長線上と言ってもいいくらいの激しめの曲。『Tokyo Eye』はBoredomsの山塚アイについて歌った曲らしい。『Sweet Shine』はKimのヴォーカル曲でサビ以外は非常に穏やか。最後にもちょっとしたお楽しみあり。地味な印象はあるけど、聴いていて凄く面白いアルバム。

Washing Machine

 1995年リリース作。ジャケットも結構有名かな。前作からあまり間を空けずにリリースされている。さらに少し前にはThurstonのソロアルバム『Psychic Hearts』もリリースされており、この時期は創作意欲もより強かったのだろう。本作の最大の特徴はKimがギターを弾き始め、トリプルギター体制での曲が大半を占める、ということかな。この後、Kimはベースよりギターを弾くことが多くなるので、そういう意味では転換期と言えるかも。前作に比べると実験的な色合いは減っていると思うけど、そもそもトリプルギター自体が実験か。曲も前作の反動なのか、聴きやすくなっている。相変わらずLeeのヴォーカル曲はかっこいい。特に『Skip Tracer』はライブでもよく演奏されていた。そして、このアルバムの一番の目玉は最終曲の『The Diamond Sea』か。20分弱もある長尺の曲で、最初は穏やかなメロディとThurstonのヴォーカルから始まり、徐々にノイジーさが増していく。その後また穏やかな曲調に戻り、そこから数分かけて徐々にギターの音が少しずつ重ねられていく。終盤ではノイズが全体を支配し、最後はフェイドアウトしていく。非常にSonic Youthらしいと言える曲かも。

A Thousand Leaves

 1998年リリース作。個人的に初めて聴いたSonic Youthのアルバムであり、このアルバムのツアーも観に行ったので非常に思い入れのある作品。ジャケットはポップだけど、音はかなり実験的で、暗く、不協和音が響く。1曲目『Contre Le Sexisme』からKimのヴォーカルはどこか呪術的で、音もインダストリアルの感触に近い。そこからシングルにもなった『Sunday』に続くんだけど、この曲は非常にポップ。『Sunday』はMVにマコーレー・カルキンが出演していることでも当時は話題になった。『Female Mechanic Now On Duty』もまたKimによる曲で、不穏なメロディと不協和音が響く。『Wild Flower Soul』は長尺曲だけど、こちらもまたポップ。後半、次第に激しくなっていくギターのアンサンブルが心地よい。『Hits Of Sunshine (For Allen Ginsberg)』では同じリズムのまま進むというミニマルな曲で、派手さはないけど11分ある。Leeの曲も2曲あるが、どこか暗い曲調。なので、本作はKimがヘヴィで荒々しい、Thurstonはポップ寄り、Leeは穏やかでありつつ少し暗さが目立つ。そんな感じに分けることが出来るかな、と。特にKimの曲が5曲あり、前作に引き続きギターを弾いていることからも彼女を中心に据えて作られたのかもしれない。このアルバムで一旦4人で出来ることはやり尽くしたのかな、と思う。

 次回は上記⑤について書いていきます。


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