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あなたの入稿した名刺データはこのように印刷されています(オンデマンド印刷の場合)


オンデマンド印刷(POD)とは

わたしの勤務先は決して大きな印刷会社ではないですが、オフセット印刷にもオンデマンド印刷(POD)にも対応しています。対応しているというよりは特化していると言ってよいほどPODの案件が多いです。

社内で製本・加工もできますので短納期で仕上げることが出来ます。経営的なことはわかりませんが、短納期って結構な強みだと思っています。

ワークフローも出来上っているので仕事がスムーズにまわり、人間関係のストレス以外は何も感じることがなく、それなりに快適な職場です笑。

PODがどういうものであるかは、次のリンク先を参照してみてください。

リンク先にも書いてある通り、

  • 少部数の印刷に向いている

  • 短納期(納期に時間がかからない)

  • バリアブル印刷に最適

というのがPODのメリットです。それ以外にもページものの場合は丁合いを取らなくて済むので、これも大きな時間短縮につながります。

しかし、次のようなデメリットもあります。

  • 面積の大きいベタや平アミ、グラデーションはムラになりやすい

  • 一枚ごとの印刷位置が微妙にずれるので、仕上がりギリギリのレイアウトには向かない

  • 印刷機のコンディションによって、前回と同じデータを印刷しても色味が変わることもある

あとは例えば名刺で、色にこだわりがあるお客様の場合だと、名刺台紙はオフセットで予め刷っておいて、スミ文字の部分だけモノクロのオンデマンド機で刷るということもあります。

オフセットで刷ったあとに、ナンバーリングや各種バリアブル印刷でスミだけで済むものはオンデマンド機で追い刷りというのは結構あります。ただし、オフセットで刷ったものに追い刷りはできるのですが、PODで刷ったものには追い刷りはできません。トナーが再加熱で剥がれてしまうからです。

バリアブル印刷でもPOD一括で済ませてしまうものもあります。職場では、FUJIFILMのForm Magicという便利なアプリケーションを使用しています。

以上をまとめると、オフセット印刷とPODの使い分けは先ほどのリンク先にも書いてある通り「少部数を短納期で依頼したい場合はオンデマンド印刷、大量に印刷したい際や繊細なイメージの印刷はオフセット印刷、というのが基本です。」ということになると思います。

PODで名刺を刷るときの流れ

それではPODで名刺を刷るときの流れを紹介します。勤務先での流れなので、一例としてご覧ください。

まずは毎度お世話になっているAdobe Expressから名刺のデータをダウンロードして今回使用する素材を作成しました。



名刺の仕上がりサイズは一般的に91×55mmで、名刺4号と言われるサイズです。様々な名刺のサイズについては下記リンクが参考になると思います。

ところでデザイナーさんのこだわりで変形名刺をいただくことがありますが、あれが管理に困るって思う人って結構いると思うんですけど、どうなんでしょう笑。

PODで使用する用紙のサイズ

サイズが91×55mmの名刺ですと、裁ち落としのないデザインならA4サイズの用紙に10面付けることができます。(A4の用紙を縦方向に見て、タテ5面×ヨコ2面)

職場ではハートさんの用紙を使っています。

裁ち落としのあるデザインになると、A4サイズの用紙には8面までしかつけることができません。

これでは用紙が無駄になってしまうので、裁ち落としのあるものに関してはオフセット印刷でも使うコート紙・マット紙・上質紙などを菊判8切というサイズで使うことが多いです。これが特殊紙になってしまうと、オンデマンド機ではトナーが乗らない、そもそも紙が通らないなんてこともあるので注意が必要です。

あとは、菊判4切というサイズや4/6判8切というサイズを使用します。

この辺のことに関して、表にまとめてみました。

オンデマンド機のトレイに入る用紙の最大サイズは菊判4切になります。なお、ここであげている菊判○切・4/6判○切というサイズの寸法は、紙屋さんによって若干の誤差がありますので、ネットで検索して出てくるものとは違っていると思うのでご了承ください。

面付けソフトで面付け

FUJIFILMのXMFはとても優秀なアプリケーションですね。面付け機能付きのRIPなので単面PDFをドロップすれば自動でプリフライトが走ります。プリフライトをクリアしたら、取り込んだPDFを使用する用紙に合わせて面付けします。テンプレートがありますので、テンプレートを選択すればあっという間に面付けされたPDFを書き出してくれます。

菊判8切に10面付け
上の画像の裏面


A4に10面付け
菊判4切に21面付け

この面付け作業で出来上ったPDFは次のような感じです。

PODで印刷

書き出されたPDFをオンデマンド機に送信します。職場では名刺は100枚単位の受注になります。名刺は受注枚数+予備4枚というのが社内のルールなので100枚受注した場合は、10面付けなら11通し(11枚刷る)、21面付けなら5通し(5枚刷る)、といった感じになります。

断裁機または名刺カッター(きりっ子)で仕上げ

A4と菊判8切で刷ったもののうち、裁ち落としのないものはきりっ子という名刺カッターで仕上げます。菊判8切より大きいサイズは断裁機で化粧裁ちします。

あとはケースに入れれば無事に名刺の完成です!

名刺以外の印刷物をPODで刷るときの面付け数

もちろんPODで刷るのは名刺だけではありません。ペラもの以外にもページものも刷ります。先ほども述べた通り、オフセット印刷で使う用紙も使えるので、A4のチラシをコート紙で刷ったり、ハガキをアートポストで刷ったりします。

こちらも表にまとめました。

いかがでしょうか。こういった記事を書くときは実際に使用しているところの写真を載せた方がわかりやすいだろうなと思いますが、会社員ですのでなかなか難しいですね。


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