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2024パリ五輪 柔道競技・観戦しながら感想分析などFacebookに投稿した長文転載。その3 男子73キロ級女子57キロ級の日 選手選考の問題について大長文

試合開始前

今日は僕、半分カナダ人になります。がんばれ出口クリスタ。

橋本壮市負けて

 いつもの橋本壮市でした。クセだよな。ずっとあの組み手だから。

 東海大相模高校時代から直近国際大会まで15年くらいずっと見ているけど。(高校時代は神奈川県立武道館でうちのこ、相模のライバル校、桐蔭学園柔道部だったから、敵として生で全部の大会試合全試合、ビデオカメラ撮りながら見ている)。

 組手切っては指導負けというのは、ほんとうに悪癖である。「組手が上手い」という長所と紙一重というか表裏一体の欠点である。

男子73キロ級は石原樹23歳、田中龍雅20歳の若手二人、

■石原は2023世界選手権 銀メダル(ほぼ決勝も勝っていた)、2024パリグランドスラム金)

■田中龍雅は2022世界ジュニア王者。2024全日本体重別日本一(階級別の日本王者)、

2024世界団体優勝のメンバーとして世界の強豪に勝っている。

 この二人が台頭してくる前に焦って橋本に代表を決めたのが失敗。今この時点では橋本より石原、田中のほうが世界の強豪相手でも強いと思う。直近の国際大会で橋本の成績とちゃんと比較すれば明らか。

 少なくとも国内で最後まで勝負させてから選ぶべきだった。そのほうが未来につながったと思う。

 鈴木桂治体制の、「できるだけ早く代表決める」作戦が失敗だったのである。2024五輪イヤーの冬のグランドスラム連戦までは代表争い継続すべきだったと思う。

準々決勝

女子57キロ級面白いなあ。フ・ミミ、勝った。

準決勝

フ・ミミ強い。素晴らしい勝負勘。それまでやらなかった寝技にいきなりいく。

全部見終わって

 舟久保、立派な銅メダルでした。素晴らしい。

 出口クリスタの金メダルもめでたいが、フ・ミミのぶら下がるだけの背負いは背負い投げではない、あれを連発したら指導。という基準が五輪の場で示されたのが何よりめでたい。ここ2年ほどの柔道界の懸念事項だったのである。あれを認めたら、柔道という競技が成り立たなくなるからな。

審判に一言

 モルドバのオスノバス選手の芸術的大内刈りがビデオ判定で一本になったのも良かった。へなちょこ主審はケンケンして押していくへっぽこ大内刈りしか知らないために、ああいう本物のスパンと真下に倒す大内刈りをあんまりみたことかなくて、あれこそ一本なのに、技ありしか出せないのである。へっぽこ主審の技あり判定がビデオ判定で一本になったのは大変よかった。審判、本物の大内刈りの決まりかた勉強しろ。

橋本のインタビューを見て

橋本は橋本らしかった。明るくていいよね。なんか、好き。おめでとうございます。

選手選考過程について、その今後についてなど言いたいこと大長文

橋本壮市の銅メダルは素晴らしかったけれど、ちょいと複雑な気持ちがある。書きたいことがある。別に橋本の銅メダルのことをどうこう言うつもりはない。すごくうれしいし、良かったなあと思いつつ。

言い換えると「カズは本当に偉いのか」、ということについて書きたい。カズ、三浦知良である。現役最高齢プロサッカー選手である。

本人が体の続く限り現役でいたい、というのはそれは本人の自由である。しかし、誰かが現役を続けると、その選手によって、契約してもらえない選手、ベンチに入れない選手、試合に出られない選手というのが出るということについて、考えたいわけである。

純粋に実力勝負で、ベンチ入り、試合出場の争いが決まるならいい。しかし、「知名度」とか「客寄せ」とか「話題作り」ということで、昔の有名選手が優遇されたら、若手が一人、割を食っているのである。

 プロの人気商売なら、実力は落ちていても有名選手を客寄せにベンチに入れて、ときどき出す、ということはあってもいいのかもしれない。しかし、五輪の代表争いは、純粋に「五輪大会のそのときに最強の選手を実力で選ぶ」という、誰もが納得できる手続き、基準で選考がなされるべきだと思う。

 EURO2024のポルトガルのクリチャーノ・ロナウト・明らかに実力が落ちているのに、あまりにレジェンドで、最後まで監督は彼を外すことが出来ず、若手主力を出せず、ポルトガルはいいところなく敗退した。ああいうのって、どうなんだ。そういうことを問題にしたい。

 カズについては、実力ピーク、実績ピークで迎えたフランスワールドカップ、予選では中心選手だったのに、本大会から外されたというくやしさが、ずっと現役を続ける原動力になってしまっているような気がする。

 僕はあのときの岡田監督の「カズを外す」という判断は理解はできるけれど。でもなあ。あのとき、「カズ、君中心のチームにはしない、基本、ベンチスタートになる。それを納得してくれるなら、チームの空気を壊さないなら、メンバーには入れる。本当にチームが苦しいことになったところで、出番が来る。」という形で連れて行くべきだったと思う。一点負けているアルゼンチン戦の最後15分。クロアチア戦のラスト15分、カズを連れて行って、出すべきだったと思うのだよな。何かを起こしてくれたのではないかと思うのだよな。控え扱いされた怒りをためていたカズなら。

 サッカーならワールドカップに、柔道なら五輪に出るというのは選手の人生をかけた夢だ。それを、キャリアの、実力のピークの時にきちんと実現してあげることというのが、本当は大切だと思うのである。

 橋本は32歳、すでに選手としてのピークは越えている。大野将平と同学年であったために、全盛期に五輪には出られなかった。73キロ級というのは、五輪代表は中矢力2012ロンドン⇒大野将平2016リオ 2020東京だが、その前後、世界選手権王者には2010秋本啓之、2017は橋本が世界王者になっている。誰が出ても金メダルみたいな状況がずっとあって、歴史に残る名選手、秋本選手は五輪に出損ねた。

 だから、大野引退後の空白の時期、若手もまだ出てこないかな、というときに橋本を出して上げたい、というのは、気持ちとしては分かる。

 しかし、さっきも別の投稿で書いたが、橋本に早めに決定した後、急激に若手が伸びてきたのだよな。日本の73キロ級。

世界選手権銀メダル、パリグランドスラム金メダルの23歳の石原樹、2024世界団体で世界の強豪を何人もなぎ倒した20歳の田中龍雅のほうが、いまこの瞬間の実力では上なんじゃないか、と僕は思うのである。

 日本の柔道界は選手層が厚い。毎年、世界トップレベルで通用する若手選手が出てくる。そんな中で、何度か書いているが、本人から見て上下各5学年合計10学年で一番強い、という選手でないと、五輪代表にはなり損ねる可能性がある。

 まず、柔道選手の実力ピークは22歳から26歳くらい、ピークの年齢は短い。20代後半は、反射神経の衰え、怪我の蓄積で、競技力は落ちる。27~28歳というのはそういう年齢である。

 60キロ級で銅に終わった永山選手は28歳。3学年上の高藤選手がいたために、五輪の機会が回ってきた今回は、ピークをちょっと過ぎていた。25歳前後の数年間、永山は外国人に負けたことが一つもないはずである。ものすごく強かった、高藤にも勝ったり負けたりだったが、五輪選考のカギなる試合で高藤に勝てなかったために、今回まで初出場が伸びてしまった。ピークを過ぎてしまった。

 角田の31歳金メダルというのは寝技の技に集中してという特異なキャリアである。そういう例外、個人差はあるが、基本的には23歳から26歳の実力ピークの時期にある選手をきちんと五輪代表に選んであげるというのを、代表選考の基本にすべきだと思う。

 実力上り坂でピークに向かう選手が、五輪選考対象にきちんと入って、五輪代表のためのIJFランキングを獲得できるように国際試合にきちんと早めに派遣する。

 だってね、今、実力ピークの石原樹23歳、次の五輪は27歳、ピークを過ぎ始めて、もう下り坂かもしれない。彼のチャンスはもう来ないかもしれない。

 そうやって、柔道界の人だけが知っている「あの人、本当に強かったけれど、タイミングが五輪に合わなかったよね」という不運な選手が、生まれてしまうのである。

 メディアの責任も大きいと思う。前の五輪の金メダリストというのは、たいていの場合、次の五輪ではピークを過ぎている。二大会続けて金メダルレベルにいる選手というのは、ごく例外的な選手だけである。それなのに、メディアは前の大会の金メダリストを中心に、次の五輪の代表争いを報じる。

 今回、阿部詩が負けた時「次の五輪、がんばれ」という声が出たが、次の五輪では阿部詩は28歳である。彼女は例外的な天才だから、怪我さえなければまた五輪代表争いをする可能性は高いけれど、しかし、ここから3年間、若い新しい才能が台頭している可能性はある。いや、高い。

 僕が望むのは、メディアは「前の五輪のメダリスト」を追いかける場合、それと同時に「新しく台頭してきた才能」にも光を当てて、どっちが本当に強いのか、という論調で報じるという基本スタンスを明確にしてほしいのである。伸びている若手がいるならば、そちらを試した方がいいのでは。そういう論調をマスメディアはきちんと持つべきだと思う。

 次の五輪に向けて、悔しい思いをした阿部詩も、貪欲な阿部一二三も、まだまだ戦い続けるのではないかと思うのだが、それをメディアが追い続けるのは、それは別に構わないのだが、それと並行して、「阿部兄妹を実力で超える選手が出てきたら、次の五輪の代表は、当然、新しい実力者がなるべきだ」という、その視点は持っていてほしいのである。次の五輪本大会、詩28歳、一二三30歳である。

 と書いていたら、解説の大野将平氏が、次の73の未来について、石原と田中について言及している。大野将平氏は本当にきちんと目配りをしているなあ。今まで解説に出てきた人史上、最高に知的で公平で分かりやすいよな。

 大野氏に対して、NHKアナウンサーの俗で浪花節なストーリーを勝手に組み上げて、それに沿ったコメントを引き出そうとする態度、もうここ数日聞いていて、反吐が出るほど嫌になるな。

 高齢化社会ではとにかく老人はできるだけ早く隠居して後進に広く活躍の場を広げてあげて、縁の下の力持ち、舞台づくりをする側にまわるべきだ、というのが、スポーツ界に限らずの、僕の意見である。しかし、どちらかというと「いつまでも現役で頑張るのがえらい」という論調の方が強いのだが、僕ははっきり反対である。

 五輪代表選考段階(本大会半年前くらい)で同じ実力なら、若い方にチャンスを与えるのがいいんじゃないか。未知数の伸びの方にかけた方がいいんじゃないか。そこまでの実績ベースで考えて、若手の伸びしろと、高齢選手の「劣化速度」を考慮に入れない選考は、よろしくないなあと思うのである。

 そこに知名度ある選手を期待する頭の悪いマスメディア論調とか、そういう過去の選手をプロモーションの顔にする広告代理店が絡んだりするから、選手選考が正しく働かなくなるのである。

 ここまで書いたこと、つまり「例外的名選手、レジェンドを何度も代表に選ぶ」ということがあると、そのあおりでキャリアピークで五輪に出られない選手が出てくる。そこで「タイミングを逃したベテランに、(ピークがやや過ぎているのに)次の五輪の代表に選ぶ」ということをしてしまう。と、その大会では「伸び盛りの若手を旬なタイミングで五輪に出し損ねる」ということが起きる。

 そういう悪循環を、知名度重視のマスメディアや広告代理店が助長してしまう。

 そういうことが常に起きるリスクがある。いや、現実に置き続けている。柔道だけじゃない。ラグビーのジェイミー・ジャパンのことを僕がいつも強く批判するのも、ジェイミー・ジョセフがそういう悪循環をえらくたくさん引き起こしてくれたからである。僕がエディーさんを支持するのは、そういう弊害を強引に直そうとしてくれているからである。

 選手個々人は、自分の納得いく限り現役を続け、チャレンジする権利がある。そういう意味で、ここまで頑張って銅メダルを取った橋本壮市は偉い。

 しかし、その陰で、伸び盛りで、今、世界一を狙える選手が、今回の五輪に出られなかったという事実を、みんな知っておくべきだ。その選手は次の五輪ではもうピークを過ぎてしまうかもしれない。そういう悲劇が、知られないうちに起きているのだ、ということを知っておくべきだ。

 次の五輪に向けて、阿部兄妹をまたチヤホヤするのは、それはメディアの習性だから仕方がない。が、必ず若いライバルが生まれてきている筈だから、公正な競争、選考がされることを阻害するようなメディアとプロモーションのごり押しはしてはいかんよ。若い芽にもちゃんとスポットライトを当ててくださいね。

審判問題,SNSで延焼していることに一言苦言

 Twitterなどで橋本壮市がフランスのギャバに反則負けしたのを、地元ひいきとかまた審判が、とか批判している投稿が多数あるが、

 相手の組手をただ切るだけの行為は反則。それを本戦で一回とられていたのに、延長でまたやったから取られただけ。
どっちが攻めていたとか、積極的とか消極的とかと関係なく、その行為自体が反則。

 橋本の意識としては「切ってすぐ取り直せばOK」という但し書きがあるので、すぐ取り直して攻撃した。というつもりだと思うが、前にはでたが組めていない。

 不利な組手を切るだけは反則。それから逃れるための偽装的な攻撃も反則。

 こちらが持って、その操作でずらすのなら反則ではないが、ただ切って体を勢いよく離したから取られたのである。あれは柔道の国際試合を常に見ている人なら「仕方がないというか、橋本の対応戦略ミス」としか受け取らないと思うよ。

出口クリスタの金メダルへの道を振り返りつつ、日本の代表選考方法に疑問を呈する

昨夜だけ、半分カナダ人になっていたので、出口クリスタ金メダルやったー嬉しくて泣いてしまった。

出口クリスタなんて同国カナダの同階級の世界王者クリムカイトと、前の東京五輪代表争いに破れてから以降もずっと国際大会に二人とも出続けて、たいてい二人で優勝争いして、出口の成績は2023年はグランドスラム5大会出場で3大会優勝2大会準優勝、世界選手権優勝。今年に入ってグランドスラム5つ皆勤賞優勝3回準優勝1回3位1回。5月の世界選手権で出口が銀(金は昨夜も決勝戦ったホミミ)、クリムカイトが銅、ここまでやって、やっと代表に決定したのである。ここまでたくさん出て勝っているから、世界ランクは出口1位クリムカイト2位。当然である。

日本みたいに「早めに代表を決めて他国ライバルに手の内を明かさない」とか「怪我のリスクを避けるため直前の世界選手権やグランドスラムには派遣しない」とかのあまちゃんなことを言わず、出口もクリムカイトも国際大会全部出ずっぱり、ライバルに手の内丸出し、肉体的には満身創痍で代表争いをしたのである。

そうやってパリ五輪に出場した出口、手の内知られまくっている韓国ホミミやフランスのシシクと、傷だらけの体で激闘して優勝。感動せずにはいられないのだ。

早めに決めて国際大会から遠ざけられて試合勘が鈍るということもあるよなあ、と日本代表選手の試合を見ると思う。

日本も、ほんとは、直前まで有力候補を国際大会に出して戦わせて、それで代表を直前に決めたほうがいいんじゃないの。

出口クリスタの感動的戦いを見て、そう思ったりした。

代表選考方法問題、補足と考察

柔道パリ五輪代表選考について、僕のもろもろ投稿を読んで、「過去実績、名前重視の不透明な選考だった」と受け取った方が多かったよう。確かにそう読めるような内容だったので、補足訂正説明。
 代表選考方法は、井上康生監督時代から国際大会成績を対戦相手や決まり技、勝ちかたまで含めて細かくデータを取って検討しているので、非常に透明、公平、公正になっている。全柔連のデータ収集分析チームは素晴らしいシステムとメンバーでそういう仕事をしています。
 ただ。後任鈴木桂治体制になってのこのパリ五輪代表選考にあたり、選手やコーチなどからの要望などもあり、また五輪本番で、勝つために代表決定時期を井上康生監督時代よりさらに早めた。
理由は、ひとつは直前大会まで選考を続けるとその選考大会にコンディションピークを合わせざるを得ず、怪我の可能性など含めて五輪にベストコンディションで臨めない。
もうひとつは、国際大会に直前までで続けると、他国ライバルに手の内を知られ。対策されてしまう。
ということで、できるだけ早い時期に代表は決める。決めたあとは国際大会にも国内大会にも出場は最小限に絞る(五輪出場資格の世界ランク維持と試合勘維持ための最小限にする)方針が取られた。
具体的には
①有力選手(阿部兄妹、素根輝、角田)五輪から1年2ヶ月前の前々回世界選手権優勝で決定。
②昨年8月に追加でほとんどの階級で決定。
一部、拮抗した争いがある階級や、との候補も今一つの場合だけ
③12月の日本でのグランドスラムで決定
(永山と高藤の直接対決で決した60キロ級など数階級あった、)
④それでもダメな階級は1から3月の海外グランドスラムまで持ち越す。
(ウルフアロン不調、若手台頭での100キロ級のみこうなった)
決定した五輪代表は、その後の国際大会や国内最高格式の大会への出場は基本的に免除。
 でね、多くの階級で時期が早すぎたのが問題なのだな。早すぎた階級が「過去の実績過大評価」なんじゃないかと。
 例えば、一番早く決まった女子78超級、素根はそのあと調子を落として試合勘維持のために出たグランドスラムなどで負け続けボロボロ。一方五輪代表に選ばれなかったのでグランドスラムや今年5月の世界選手権に出た冨田若葉が優勝を重ねて絶好調。今の外国人相手の戦闘力だと冨田が上なのだが、正式手続きで素根に1年2ヶ月前に決定しちゃったから再検討できないまま、不調の素根でパリ五輪に臨む。好調な冨田は内心どうだろう。
 橋本も昨年8月に決定しちゃっていた。当時は若手がいなくて世界ランク的に橋本しかいないなという状態。その後年末あたりからの東京以降のグランドスラムや世界選手権での石原樹の急成長があって、橋本と石原の序列が変わったと皆、思ったが、8月に正式決定していたので、もう変更できない。早すぎ焦りすぎ、過去の実績ある選手の実力調子や選手序列が1年以上変わらないだろうという見通しが甘すぎる問題なのだな。
 野球で考えればたとえば千葉ロッテマリーンズの佐々木朗希がどんなに一昨年すごくて完全試合して、昨年のWBCでもすごかったとしても、今年からきしだめなんてことは普通に起きるじゃん。五輪代表を1年2ヶ月も前に決定固定しちゃうのは、やっぱり頭悪すぎだと思うのだよな。
 逆に阿部詩なんかは、「こんだけ早く1年2ヶ月も前に代表にしたんだから、おまえ絶対に金メダル取らなきゃだめだぞ」とプレッシャーを受けて、それなのに試合は少なくて、ライバルとの対戦も少なくて、本当に大丈夫かなという不安と向き合い続けた1年2ヶ月になっちゃったんだと思う。
 国内ライバルたちは、どんなに努力しても実力を上げてもパリ五輪代表にはなれない。試してももらえない。そういう不満と怒りを持つ他の日本選手と試合したときには、これまた絶対に負けるわけにいかない。
 そんな中でその1年2か月、阿部詩は実際、出場した大会で負けなかったんだから偉いよね。
 そんな極限の拷問のような持続するプレッシャーの末に、パリ五輪本番で負けちゃったわけで、それは泣くよね。普通ではいられないよね。
 阿部詩の負けた後のあの泣きかた、阿部詩本人の問題じゃなくて、代表選考早すぎのための、絶対勝たなきゃプレッシャーのせいだと思う。

参考まで、東京グランドスラムのときに選手選考について長文noteを書いている。


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