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ショパンコンクール・ファイナル最終日、生配信を見ながらのFacebook投稿、記録のために時系列(記録用に無修正転載)。初めカワイさんには失礼なことも書いてありますが、結果は大勝利でしたのでご容赦を。反田さん、小林さん、おめでとうございます。

。開始前 2日目までの使用ピアノについて

 ショパンコンクール、ちょっと横道。前回のショパンコンクールの際に「もうひとつのショパンコンクール〜ピアノ調律師たちの闘い〜」というNHKのドキュメンタリーがあって、ピアノメーカーが、自社のビアノを演奏者に採用してもらおうと奮闘する姿を追いかけたものだった。ヤマハとカワイ、日本のメーカーが、絶対的存在のスタンウェイ、それにイタリアのファツオリに対抗して、選ばれるか?
 今回、ファイナルでは、ここまで8人、スタンウェイが4人、ファツオリが2人、カワイが2人。カワイ、健闘しているじゃん、とこれだけ見ると思うかもしれないが。
 しかし、スタンウェイを弾いた反田さんが圧倒的に良かったのはともかく、ファツオリを弾いた一日目のレオノーラ・アルメッリも二日目のマーティン・ガルシア・ガルシアも素晴らしい演奏で、「ファツオリらしい音を活かした」と評価されているのだが、カワイを選んでくれた二日目の二人、カナダのJJ ジュン・リ・ブイも、イタリア/スロベニアのガジィエフも、YouTubeチャットでは、残念ながら力を発揮できず、という評価だったのだよな。そしてYouTube書き込みには「カワイの音色も影響した、それを差し引いて評価してあげないと」みたいな声が結構あって、二人の不調の一因にカワイのピアノが挙げられちゃっているのだな。
 たしかに、スタンウェイは一番王道というか、弾く人によって全然違う音が出る、という意味で素晴らしく。ファツオリは、なんというか「豪華」な音が出るんだよなあ。きらびやかであっても安っぽくない、「高そう」な音が出る。(事実、とんでもなく高いらしい。)
 これと比較するとカワイの音は。
 YouTubeコメント欄では「YouTubeの音質で聴いている人たちが、ピアノの音がどうこうというのはフェアではない」なんていう書き込みもあるが、いやいや4Kで配信しているということは、スーパーCD並みの音質になっていると思うんだよな。レコードやCDの音質で、楽器の音質、演奏者の出す音色の評価は普通にしてきているわけだから、楽器の評価のときだけ「YouTubeだからフェアじゃない」っていうのはおかしいよね。楽器の音色の特徴の違いは、配信でも明らかだったと思う。
 カワイの音、なんか、高音域で「チュルンチュルン」ていう、「キラキラ」というよりは、ほら、おもちゃのピアノって弾くと「チュルンチュルンチュルン」ていう感じの音がするでしょ。あれをどんどん上質にしていったのだけれど、本質部分で「チュルンチュルン」ていう感じの音に聞こえるんだよな。
 一人目のカナダの男子JJは17歳ということで、演奏者のせいなのかな、と思ったのだけれど。二人目、カジィエフさんは前評判もすごく高かったのだけれど、やっぱりそういう音色に聞こえたので「カワイの音のせいがあるのを差し引いて、二人の演奏は評価してあげなければ可哀そう」というのは、僕も同感なのだなあ。
 というのが、今回の世界的評価だとすると、「もうひとつのショパンコンクール」、今回版、カワイのチームはちょっとショックだろうなあ。
 最終日四人のピアノ選択がどうなるかはわからないけれど、ピアノメーカー、スタッフも、人生をかけた戦いをしているのでした。

※後から解釈、弁解。英語力不足で、つぎつぎ流れては消えていくYouTubeチャットの意味を取り違えていたのかも。JJとガジェエフがなんか素敵に聞こえたのは、カワイの音(が素敵だったから)のせいもあるから、それを差し引いて評価しろよ、という議論だったのかも、と結果を見ると今さら思う。

開始前、2日目までの僕の評価、友人とのやりとりで

身体操作ということでいうと、二日目、いちばん良かった、スペインのガルシア・ガルシアさんは、反田氏的な柔らかく強い体の使い方が出来ていて、魅力的な音をピアノから弾き出していました。ここまで二日間のベストは、反田さんとガルシアさんなのは間違いないと思います。

※身体操作について、note「どうも、僕は反田恭平さんのピアノだけが、好きなようだ。クラシックピアノ全体ではなく。なぜなのか、どこが例外的天才なのかを、過去に分析した、それぞれのジャンルでの例外的天才、玉置浩二さんと西村ケントくん考察を参照しつつ考えてみた。」を参照。これについての友人とのやりとりの続きでした。

小林愛実さんの演奏の感想を、という友人からの問いかけに

ブラボーだったよー。技術的にはここまで弾いた中でいちばん上手かったと思う。初日のハオラオも上手かったけれど、あれよりよかった。

2人目もポーランドのクスツリクさんを聞きながら。

 今日の二人目、ポーランドのクスツリクさん、正統派でうまい。地元の人はこの人を一位にしたくなると思う。
それにしても、丸顔やや太目の男性の、丸っこい柔らかい身体
1日目 反田、
2日目 ガルシアガルシア、
3日目 この人
にしか出せない音の柔らかい強さ太さっていうの、あるんだよな。打鍵の強さと指先の肉の厚さと、体幹は脱力固定しておいての力の出し方みたいなことがあるんだと思うよなあ。
 小林さんの演奏直後に、同じピアノから出る音の違いを聴いてしまうと。
なんか、音が無理なく強く弾かなくても響き続けるみたいな感じが、違いがあるのはなんでなんだろう。
 この人の正統派ショパンと、反田さんの新しさ、どっちが評価されるか。だと思う。小林さんの第二楽章は斬新過ぎたかも。ドキドキした。

第三楽章でややずっこけたのを聞いて

 この人、第三楽章で。ちょっとバタバタしちゃったな。、どうだろう。第二楽章までだとこの人優勝(させちゃうだろうな地元の雰囲気が)と思ったのだが、第三楽章の盛り上がりかたは小林さんのほうが明らかによかったもんな。反田さんのような、「すごいものを聴いている」という興奮にも届かなかったと思う。うーん、審査員。どう評価するかな。

韓国のイ・ヒョクくん

 韓国のイ・ヒュクくんが、KAWAIで、二番を弾く。楽しみ。若いなあ。将棋の藤井聡太にちょっと面影、雰囲気が似てる。大きな手。長い指で、ベタっと指を平べったく使って弾く手の使い方は藤井風くんを彷彿させるな。
昨日KAWAIを弾いた二人よりもいい音を鳴らしていると思う。これならスタンウェイよりいい感じがする。

演奏終わって

イ ヒョクくん、素晴らしかったよ。入賞すると思う。

最終奏者・ブルース・リュウくん登場

 最終演者 カナダのブルース・リュイくんは、ちょっと、ブルース・リーに似ている。とか言ってないと寝てしまう。
 と、思ったが、始まったら、ちょっと、速めで、硬派でうまい。ファツィオリのきらびやかな響きと相性最高。いや、今日は4人ともそれぞれ良い。ブルースくんは、オケと合わせるというより、「ついてこいやー」みたいな感じで、それはそれで面白い。小林さんの1.5倍くらい、音がでかそうだな。これで第二楽章。どう弾くのかな。
 

 やー、第二楽章も音色が強くて硬いまんまか。うーん。そうか。そういう人なんだな。今までの人の中で。いちばん、強く第二楽章を弾いた。彼が大きな音で弾くから。今回話題のホルンの人も、大きな音、出しちゃうじゃんね。


 第三楽章。オケの、皆さんも、もう最後だし、全力出しきりモードか。それとブルースくんの個性が相まって、暴走機関車の予感。吉と出れば。興奮の大フィナーレになりそう。凶と出れば。いや、力でねじ伏せそうだな。

演奏終了

 やばーい。ブルースくん。盛り上がった。大とりという順番に、個性が、ブルースくんの個性と、ファツィオリの音がハマった。これは現場にいたら絶対興奮するやつ。音のでかさと速さの効果がでかいのだが。
うん、五嶋龍くんのバイオリンに似ている。オケも聴衆も、技術の圧倒的高さと音の強さでねじふせるような、ソリストとしての強烈なエゴがある。それが好きなら大ファンになる。
聴衆は熱狂するけれど、審査員はどう評価するかなあ。

発表を待っている間、脱線して五嶋龍くん身体操作論。

 そう、五嶋龍くんのことを書いて、身体操作について思いついたので書いておこう。武道家(伝統空手二段か三段かのはず)である五嶋龍くんは、バイオリンを弾くときに、重心を落として、地球の軸と一体化する。そのことで、演奏する腕から肩の力が抜けて自由になる。と、力をいれていないのに、圧倒的に力強い音が出る。葉加瀬太郎と何かのテレビ番組で共演したときに、あまりの音の違いに、天下一武道会に出できたミスターサタン(が葉加瀬太郎)とスーパーサイア人になった悟空(五嶋龍くん)くらい違うと思ったことがある。
同じ楽器なのに出る音が違うのは、単に力や体格ではなくて、身体操作の違いなんだよな。
ブルースくんは五嶋龍くん的な音の強さがある。

発表、なかなか来ない。

 ショパンコンクール、結果がでない。もう予定より2時間も遅れている。激論なのか。もしかして一位なしにするかどうかでもめているのか。徹夜あけなので死ぬ。静止画YouTube画面になってからもうかなりたつ。現地も深夜なんじゃないかな。眠い。

 審査員、半分ぐらいすごい老人だったけど、大丈夫かな。

ついに発表、を見て

 最終演者のブルースくんが優勝でした。うん、それはそれで納得ではある。

だんだん悔しさがこみあげてくる。

 反田さん2位、小林さん4位、二人とも、入賞、素晴らしい結果でした。決勝全部、生配信で聴いたの初めてだった。納得の結果ではあるが、これだけ時間がかかったのは、反田さん一位を推した審査員も結構いたんではないのかな。ちょっと残念。初日の衝撃的な「静かでゆっくりで繊細で斬新」な反田さんの演奏が決勝全体の基準となって、それを越えた人はいるのか。いや、いないのでは、という、流れで最終奏者の、ブルースくんが、速くて正統的で強い(反田さんが、ものすごく、ゆっくり静かに弾いた第二楽章も、かなり、強くはっきりと弾いた)、「盛り上がる」演奏をした。若々しくはあるが、正統的なショパンのブルースくん(前の投稿で書いたけれど、圧倒的技術とパワーと速度で押しきる、オケも強引に引っ張るバイオリンの五嶋龍くんのような演奏でした)に対し、大人のもう巨匠のような風格で斬新で静かなショパンを弾いた(そしてまるで、弾き振りしているような、オケと深く対話するような)反田さん。どちらを選ぶか。そういう勝負でした。

ピアノの争い、あれ、カワイの評価が、初めに書いたの、違った?

 反田さんと共に、2位になったガシィエブさん、6位のJJ、この二人はKAWAIだった。さっき「二人はYouTubeコメントでは不調と評価されて、KAWAIの音が批判されてた」と、書いたのだけれど、生配信のときは、たしかにそういう感じだったのだけれど、KAWAI大勝利だなあ。僕の耳でKAWAIでいちばんよかったイヒョクくんが入賞しなかったし。あれれ。

 1位のブルースくん、3位のガルシアガルシアさん、5位のレオノラ・アルメリアさん、3人はファツィオリだな。「もうひとつのショパンコンクール」今回はファツィオリこそ、大勝利でした。

初めてファイナル生配信で全部・観た感想を、友人からのダイレクトメッセージに返信

  残念。しかし、素晴らしい天才(もちろん、反田さんのこと)を、知ることができたので、私にとっては大収穫のショパンコンクールでした。

 




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