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2024パリ五輪 柔道競技・観戦しながら感想分析などFacebookに投稿した長文転載。その4 男子81キロ級女子63キロ級の日。大野将平氏の素晴らしい解説と、実況アナのダメッぷりについて。

永瀬圧勝を見て

永瀬。最強だった。強すぎる

大野将平さんの解説の素晴らしさについてと、柔道だけじゃなく、テレビのアナウンサーについての苦言。

①柔道解説、大野将平さんの素晴らしい解説についてと
②その素晴らしさが天理大学で大野さん選手時代に監督だった穴井隆将さん解説にも影響したのか、穴井さんの解説までいろいろ素晴らしくなったこと。
③なのに、NHKアナウンサーがアホすぎてきわめて不愉快なこと
の三点について書きます。
①大野将平さんは柔道が世界で愛され普及し、外国人選手が美しく素晴らしい技を出すことや、柔道家らしい精神、振る舞いを見せることをきちんと取り上げ、たくさん褒める。そのことがとても嬉しい、自分の一番の望みだ、ということを昨日の解説でもはっきり口にしていた。
 さらには世界各国のトップ選手が、大野将平さんにも分からないような研究をして、新しい組手の戦略や技のかけ方をすることも、柔道が世界で進化していくこととして、素直に喜び称賛する。「日本の柔道だけが正しく、外国のはjudoで力だけ。外国人は礼法もひどいし武道の精神もない」みたいな、今までの解説者が流布してしまった古くさい固定観念を否定解消し、世界各国、これまで強豪国でなかった国からも素晴らしい柔道家が次々でで来ていることを喜び、伝えるというスタンスで解説している。
 昨日の準決勝、韓国のリー選手とジョージアのノグリガラシビリの、内容や組手のあり方を「阿部一二三選手と丸山城志郎選手のよう」と例えたのも、この両者の柔道は世界最高峰の戦いなんだよ、日本人の究極最高の柔道と同じように素晴らしいんだよということを表現していた。
 日本人の試合だけに集中して、日本勝て勝てというスタンスの今までのテレビ放送ではなく、すべての国の柔道家の試合に、柔道の素晴らしさを見出だして伝える解説をしている。
②昨日の男子決勝ラウンドは大野将平氏の解説だったが、予選ラウンドは大野将平氏の大学時代の監督、穴井隆将氏が解説だった。解説者としてはここ最近、NHKのメイン解説者の地位にある。その穴井さんの解説が、大野さんの影響なのか「外国人の試合の技の素晴らしさ」「小国から出てきた選手を喜ぶ、褒める」「世界の柔道家のそれぞれの個性を楽しむ、そこを自分も心から楽しんでいる」というスタンスで貫かれていて、感動的であった。
昨日でいえばドミニカ共和国のガンディア選手の柔道が素晴らしい内容なこととか、オランダのデビィッド選手がいつも顔を真っ赤にして全力で戦う好選手であること、イタリアのエスポジト選手の変則的なタイミングで繰り出される技、くせ者ぶりなどを分かりやすく楽しく解説したいた。
 ここで脱線、言葉おじさん的に言うと、かつての穴井さん、「有効的」という間違い日本語を連発していたのだが、(「有効だ」で形容動詞なので「有効的な攻撃」は誤り。「有効な攻撃」が正しい。かつ「ゆうこうてき」という音声は「友好的」としか結びつかないのが正しい日本語)、ここ最近、治った。昨日もそういうことを言いたいときは「効果的」と正しい日本語になっていた。
 フジテレビあたりのスポーツアナだとアナウンサーなのに「有効的」を連発する大バカ野郎がいるので、聞いていると発狂しそうになるのである。穴井さん、ちゃんと直して偉い。
③問題はNHKアナウンサーである。事前に取材し用意したストーリー、頭のなかでこね上げたポエムを自ら連発するだけでなく、質問の形で解説者にぶつける。試合内容の解説をしようとしている大野さんに、阿部一二三のときであれば「妹への思い」、昨日の永瀬さんについては「旭化成での先輩である大野さんからみて永瀬選手の良さはどこですか」質問を何度も同じことを繰り返しまくる。試合前なら、まだ許す。試合の途中にまでやる。大野さん、何度も同じ答えをしては悪いと言葉を選んだり、何かエピソードを思い出そうとするから、試合内容を解説できない。はっきり言って、アナウンサー、糞である。自分の描いた糞ポエム糞ストーリーを解説者にまで強要して、むしろ試合を実況し試合自体の素晴らしさ柔道そのものの美しさを伝えようとする大野さんを邪魔する。消えろ。いや消えたくないなら反省しろ。バカ者が。

アナウンサーへの苦言が止まらなくなった。

 僕がポエム&豆知識&個人的お涙頂戴エピソードを試合の山場で連発するスポーツアナのことをウンコだといつも批判するのは、そんなこたあ、プレーしている選手はひとかけらも考えていないからだよ、と言うことなのだな。考えていたらダメな選手だよ。

 「勝てば日本50年ぶりの勝利です」とか「先に負けた妹のために」とか「育ててくれたご両親のなんちゃら」とかいうことを、試合真っ最中に考えるわけがないだろ。試合後にインタビューで質問されるから無理やりそれに合わせて答えてるだけなの、なんでわかんないのかな。だから試合後に連発するのはまあ仕方ないけどさ。

 試合が緊迫して、プレーそのものが究極の緊張感と美しさを発揮するときに、そういうことをアナウンサーは言うの禁止。封印しろ。スラムダンクの最後の試合の最後の回、試合中、一言も無駄なセリフもト書きも説明もないだろ、ああいうスポーツの最高に緊迫した場面を、どうやって伝えるのか。選手の頭の中だって言葉は超えているはずだし、実はすごく現実的具体的な次に注意することとか予測とかそういうことが言語化を超えた速さで渦巻いているだろう。

 アナウンサーに黙れとは言わない。実況するのが仕事だから。お願いだから実況しろ。ポエムもエピソードもいらないから、プレー自体、「奥襟もたれた、危ない」でいいんだよ。それが正解。「スリーポイント、ブロックにいった、ファールか」でいいんだよ。選手の言語を超えた何かと、それを見ている視聴者の緊迫をつなぐのが実況アナの仕事なんだから。

 むしろ素直に、視聴者と同じように興奮して、「危ない、気をつけろ」とか、「がんばれ、諦めるな」とか思っている、それを素直に言葉にしてくれているほうが好感は持てる。「名場面だ、よーし、名セリフ、歴史的名セリフを残すチャーンス」というアナウンサーの功名心とひねくりだされたポエムはいりません。スポーツのプレー自体の美しさ凄さ以外の、お涙頂戴エピソードの言葉は、試合クライマックスにはいりません。そこのところ、よろしくお願いしたい。


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