なぜ、日本政府だけが、国民への直接給付の本質的意味を理解できないのか。ベーシックインカムとMMTについて、真剣に考えてこなかった、国民のせいだと、私は思う。

中沢けいさん(作家)が、すごく大事なことをツイッターで連投していて、それに対してついている返信が、「なぜ、この国だけ、コロナに対するまともな直接給付策が取れないか、こんなにダメか」を表しています。

超・長文投稿になりますが、それくらい大事なことだから。正直、怒っているから。怒ると文章が長くなります。政府に対して怒っている?違います。

イギリスはじめ、他国が、なぜ、国民への直接給付を積極的に行えるか。日本が「やるふりだけで、結局、それだけ貧しかったら、もう生活保護申請が通るじゃん」という人にしか結局、直接給付をしないのか。

それは、私の友人なら「原がまた何か言ってる、うっとおしいな」と思いつつ、いつも何か言っているな、という印象は残っているはずの、ふたつの大事なこと

①ベーシックインカム
②MMT

について、イギリスも、欧州諸国も、カナダやニュージーランド、オーストラリアでも、政治家も国民も、一度は真剣に考えて、最終的に賛成か反対か意見は分かれるにせよ、ちゃんと勉強したり考えたりしたことがあるからです。(トランプ、アメリカ人はそうでないと思うが。)

国民が真剣でないことを、政治家は取り上げません。ベーシックインカムも、MMTも、国民が真剣に考えようとしないから、政治家も気にしないんです。国民のせいだと私は怒っている。

簡単に言います。
①ベーシックインカムは、所得制限も条件も付けず、国民に一律一定額(それだけでなんとか生活できる額)を、ずっと、給付する制度のことです。

これを聞いて「え、そんな非現実的な」と思ったあなた。あなたがこんな大事なことを今まで知ろうとしなかったから、本当に真剣に考えようとしなかったから、このコロナの非常事態に、日本国政府だけが平気で、直接給付を「貧しい貧者救済措置だ」という、ピント外れの発想から抜け出せないのです。

今、必要なのは、ベーシックインカム的給付であって、貧者困窮者救済的給付ではないからです。この違いがわかっている国民しか、そういう給付を実現できる政府を持てません。安倍も麻生も岸田も、まったく理解していないから、正しい対応ができないのです。

ベーシックインカムは、まだ実現した国はありませんが、
「基本的人権」を国が保障する。様々な手のかかる審査のいる条件をつける社会保障制度(年金から生活保護から児童手当から何やかや)を、全部これに統合しちゃえるので、そうした「膨大な審査や仕組みの維持に必要な行政機構がいらなくなるので、実はいちばん効率がいい」として、社会実験に取り組んだり、採用するかどうかを国民投票にかけた国もあります。

②MMTは、「国の借金」は、激しいインフレにならない限り、国はどんどんお金を発行してよい。国の借金=国民に回っているお金の量。国は必要な時に必要なだけ(インフレだけ気にして)お金を刷ればよい、という経済理論です。

え、そんな馬鹿な、と思ったあなた。あなたが財務相の洗脳に侵されて「日本の財政は、国民一人当たりものすごい借金があるから、とにかく、支出は減らして世界一ひどい財政赤字を減らさないといけない。だから、誰にでも気前よくお金をあげるなんてできるわけがない」と思ったあなた。
 MMTがあれだけ話題になったにも関わらず、あなたが、ちゃんと勉強もせず、「そんなバカな」で終わらせていたから、今、政府が、財政規律を気にする財務省に縛られて、大胆直接給付策が打てないんですよ。直接給付に抵抗している人=「MMT、そんな馬鹿な」派です。そういう人をのさばらせた報いを、今、日本国民は受けているのです。
 例を挙げれば、僕がどきどき引用する保守派知識人、元官僚の八幡和郎氏。「ドイツが大盤振る舞いできるのは、財政赤字が無い、健全財政だから。日本は大赤字だからそんなことはできない」と、コロナ危機が始まってからずっと言い続けています。日本の役人、自民党政治家の多くは、こう思っていますね。財務省の洗脳、効いています。間違いです。財政赤字の国だって、この緊急時には、財政出動、しています。できるんです。MMTを勉強してください。

MMT、そもそもの出どころはイギリスです。イギリス銀行(日銀みたいなもの)も、この理論の正しさを認めています。ボリス・ジョンソンが、イギリスが、コロナと関係なくそれ以前に、積極財政策の予算をすでに発表していたことからもわかる通り、イギリスの政治家は、必要なら、財政赤字を増やしても、財政出動します。欧州の政治家も中央銀行も、「いつもOK」とは考えていない人でも、やっても大丈夫なことは分かっています。

①ベーシックインカム
②MMT

この非常時になって、そこから、議論、始められないでしょう。勉強も始められないでしょう。だから、ずっと、ちゃんと勉強して、議論して、政治家の意識を変えるよう、圧力をかけ続けないとダメなんですよ。

僕は、このふたつを真剣に論じたり考えたりしないで、いまこのときだけ「直接給付しろ」って言っている政治家、政党は無責任だと思う。今、直接給付するっていうことは、実質的に「時限的にだが、いつまで続くかわからない形で、ベーシックインカムとMMT的財政政策」を発動することだからね。

という長い前置きの後に、中沢けいさんのツイートと、それに対する「悪意はないけれど、財務省の洗脳が効いちゃっている人のコメント」、それに対して「MMT勉強しろ、バカ」という反論コメントがついています。

「中沢けい@kei_nakazawa
英財務省「政府が歴史上初めて、人々の賃金の支払いを支援する」と。新自由主義への対抗策として登場したベーシックインカムの考え方がここで生きて実行されようとしている。
英、全休業者の給与80%支援 パブなど飲食店も休業へ:日本経済新聞
英、全休業者の給与80%支援 パブなど飲食店…(写真=ロイター)
【ロンドン=中島裕介】英政府は20日、新型コロナウイルス感染拡大による需要急減などで休業に追い込まれているすべての労働者を対象に、月給の80%を支援すると発表した。企業の規模や、営利・非営利の分類に
nikkei.com

ベーシックインカムという考え方を知らなかったら住民一律に当座必要な現金支給という発想をなかなか受け入れきれなかったかもしれない。実際、香港の林鄭月娥長官が感染症対策として住民全員一律に14万円支給と聞いた時は違和感があった。「えっ」と思った。それが2月26日。人気取りのばらまき?と。

その後、欧州の各国の対応を見ていると、背景に新自由主義に対抗するベーシックインカムの考えがあることがだんだんと理解できてきた。疫病に対する防疫対策で停止してしまう経済の流れを少しでも支えようという社会的必要性も呑み込めてきた。だから、現金支給は救民対策でもなければ、

景気刺激策でもないと、その段階で理解した。お金の流れが止まれば、経済の仕組みに支えられた社会基盤制度が崩壊する。電気、ガス、水道を運営する会社が破たんしたら、市民生活は即座に困窮する。食料品、日用品の物流が止まれば、市民生活は成り立たない。

ベーシックインカムと言えば新しい考え方だが、社会システムの防衛として経済のフローを守るという見方をすれば、政策の古典的な基本に近い。例えて言えば、飢饉の時に米蔵をあけて(経済のストック)お粥をたき誰にでも分け隔てなく振る舞う(経済のフロー)という古典的な政策と一致している。

私のまだらっこしい考えの展開を書いてみた。自粛と賠償はセットというスローガンが出てきたのは3月初旬から中旬。これは分かりやすいスローガン。共産党が「財政出動は防疫のための費用」という態度を打ち出したのもその頃だったかな。これもあまり面倒な説明を必要としない分かりやすさ。

財政出動の意味を明確に言葉で把握すれば、おのずと、どのような財政出動がもっとも効果的かが理解されてくる。困っている人を助けるための救民対策でも景気を刺激する景気対策でもない。疫病から社会を守るための生きたお金の使い方としての一律現金給付策が浮かび上がってくる。

現金一律給付は救民対策ではないと書いたが、救民対策をしなくてもいいと言ったわけではない。経済のフローを守れば、その日暮らしの人々の生活は結果として守られる。救民対策ではないから所得制限などの煩瑣な手続きの必要もない。景気刺激策ではないと書いた。景気(活発な経済活動)を
呼び込むのは、経済の基盤が守られていることが前提。経済のストックはフローによって守られているわけで、フロー(お金の流れ)が止まってしまえば景気刺激もなにもあったもんじゃないという話。


「岡本 廉@wanwanmaikeru13
80%給付政策が実行されると、
国庫は何ヶ月位持ち堪えられそうですか?
コロナ収束迄数ヶ月で有れば大丈夫そうだけど、
それ以上続くようだと公務員への給与さえ、
ストップしてしまう様な気がしますよ(^^;)」


「おしし仮面(囲碁サッカー初段)@Nci77DyRCDqIIjz

輪転機回せばお金は出てくるよ。国は合法的に金を刷れる。」

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