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サッカーワールドカップ、代表発表にあたって書いたFacebook投稿その②代表落選メンバーから、森保監督の考える戦術を考察する。

代表落選メンバーから、森保監督の考える戦術を考察する。

 三浦カズ、北澤の昔(第一期岡田ジャパン)から、俊輔も落選したトルシエジャパン、いろいろ思うことはある。有名有力選手が落選するとき、そこから逆算的に監督が、本大会でどういうサッカーをしようとしているかが読める。

 カズと北澤の落選には、岡田監督が、最終予選から本大会に向けてフォーメーション、戦術を大胆に変えようという意図が明確に示されていたのである。最終予選での加茂監督不振から急遽・監督に昇格した岡田監督は、北澤をダイヤモンド型中盤の頂点に置く攻撃的布陣にすることでチーム戦術の改革をして最終予選を勝ち抜いた。北澤は予選突破の最大の功労者とも言えたのだが、同組にアルゼンチン・バティステゥータやクロアチアのスーケルのいる本大会に向けては、名波・山口の前に中田、という中盤真ん中は守備重視三枚の布陣にしたので、北澤は不要になったのである。

今回の代表の話に戻る。

⑴ロシア大会の功労者経験者の当落

 大迫、原口という前大会の軸が外れたのは、大迫が怪我などで最近のチームに馴染んでいなかったのでこれは仕方ない感じがするが、原口は最近の代表戦もなんらかの形で(終盤交代で、という形でも)出ていて、いい働きをしていたとの思うのでちょいと残念。同じように終盤出て来ては、いまひとつだった柴崎が選ばれて原口が外されたのは、どうなんだろう。

⑵セルティックの主力三人の当落

 古橋、旗手については、セルティックでの働き方のものすごさは毎試合見ているので、残念なのだが。セルティックでは古橋、旗手よりやや評価が低いと思われる前田が選ばれて、この二人が外れるというのはどういうことだろう。

つまりこの
⑴前回功労者から「大迫、原口を外したのに柴崎を残したのはなぜか」
⑵セルティック三人組から「古橋、旗手を外したのに前田が選ばれるというのはなぜか。」

 そしてこのふたつの疑問は、視点を変えるとポジションごとの選択への疑問に変化する。

⑴フォワード選択という視点で
「大迫より古橋より前田」を選んだのはなぜか。という疑問


⑵中盤のユーティリティープレーヤーとして「旗手より原口より柴崎を選んだのはなぜか。」という疑問
として整理できるのだよな。

フォワードについては明快である

 結局選ばれた前田と浅野と上田というトップ三選手のうち、大迫のようなポストプレーの強さがあるのは上田だけで、浅野と前田は足が速い、やたらに走り回るという特性の選手。浅野と前田は出た時に、前線からのプレスをものすごく一生懸命、手を抜かずにやるタイプでもある。これつまり、森保監督は、前線から守備をしまくる展開にドイツ戦もスペイン戦もなるので、その能力と周囲との連携が今、いちばん信頼できる前田と浅野を選んだということだろう。(クロップ監督により完成されたこの前線からの守備戦術、どの高さでどう連携して追うか、という意志統一が極めて重要で、ただがむしゃらに走ればいいという話ではない。つまり、この代表で、この戦術役割を多数こなした前田、浅野でなければいけなかったのである。古橋はこのチームでのこの役割で成功したことがない。)

 この戦術では、森保監督はフォワードが点を取るということはそんなに期待していないのではないかと思うのだよな。カウンターが本当に決まった時以外は、あんまり点を取りそうな感じがしない。むしろ彼らの前線からの守備で高い位置でボールを取ってショートカウンター、鎌田や伊藤や久保、後半なら三苫や堂安が点を取る、という狙いなんだろう。最前線走り回り守備マン+劣勢守っているところからの一発カウンター、一人で走ってシュートまでいけ、という「足が速いフォワード」を必要とする展開と戦術を軸に考えた。とすると、前田・浅野がファーストチョイスで、ポストプレータイプが必要な時も、若くて走り回れる上田を選んだ、ということなのだと思う。

 中盤のユーティリティ・交代枠選手として、原口より旗手より柴崎岳を選んだという、こちらの方は、分析をしてもなかなか納得するのは難しい。

 旗手は本当に優秀な選手で、もうすこし早く代表に呼んで使っていれば、軸になっていた可能性はあったけれど、この代表での経験が少なすぎたんだと思う。「運動量の多い柴崎」という感じの選手である。残念。もっと早く柴崎を諦めて旗手を使い続けていれば、今頃「旗手ジャパン」になっていたかもしれない。旗手は近いうちにイングランドのほうのプレミアのどこかに移籍するんじゃないかと思うのだが。プレミアで活躍していれば、文句なしに選ばれたと思うのだが。なんかいろいろこのワールドカップにはタイミングが合わなかった。

 ロシア大会は完全に「柴崎ジャパン」だったわけで、もう本当に素晴らしかったので、その経験を持つ柴崎をベンチに置いておきたい、という森保監督の気持ちは分からんでもない。そうなんだが、今、現在のプレーの質だと、圧倒的に旗手なんだよなあ。そして、現実に原口や柴崎は「後半から、試合の締めに登場」という役割が、ここしばらくの森保ジャパンでの起用のされ方だったのだが。

 本大会で後半30分から、あと15分+ロスタイム。勝っていれば「守備のバランスを取って守りまくる」役割だし、負けていれば、前線にいいパスを素早く供給したり、隙を見てシュートを打つ、という役割。

 最近の柴崎はここでの「ボールの安定した保持力」に不安が残る。守備は対人戦闘、ボール奪取というよりはバランスを取るポジショニングの守備の人である。

 原口は、汗をかいてがむしゃらに走り回る。守備も攻撃もそうである。後半疲れたチームに、「元気」を与えるプレーができる選手である。戦術的な意味もあるが、そういうチームにガッツを与える動きができる選手である。

 そうだとすると、「前大会功労者のベテランを、一人ベンチに置いておいて、試合の締めに使う」のであれば、原口をおいておいた方がよかったのではないか。正直、そう思うのである。柴崎のことは本当に大好きな選手なのだが、冷徹に分析すると、そういう結論になる。森保監督に反対なのである。

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