聴いてる曲とマッチするシチュエーションが見つかるまで歩みを止めてはならない旅に出よう!
新潟の湖をバックに失礼。
どうも、リサフランクです。
あなたはこんな体験をしたことがありますか?
音楽を聴きながら外を歩いている際、ふと「あれ、この曲ってもしかして今この瞬間のためだけに作られたものなんじゃないか?」と思ってしまうほど、目の前の景色、空気、香りなどがその時聴いている曲と偶然にも物凄くマッチしてしまう現象。
僕はこれを「謎しっくり現象」と呼んでいます。
あれ、とても気持ちいいですよね~。
僕が初めて謎しっくり現象を体験したのは中3の秋のことでした。
部活の練習を終え、学校を出たのは17時頃。
前髪がなびく程度に吹くやわらかな北風は冬の訪れが間近であることを感じさせます。
当時愛用していたピンクのウォークマンを取り出し、まず初めに再生したのはフジファブリックの「ポラリス」。この頃はよく邦ロック周辺の音楽を聴いていましたが、そんな中でもこの曲は特にお気に入りでした。
再生ボタンを押した後、そのまま理由もなくライブラリに入れたアルバムたちを眺めます(いま考えてみると歩きウォークマンは危険なのでやめた方がいいですね。読者の皆さんは気を付けてください)。
そして"次はこの曲を聴こうかな~"なんてことを考えつつふと顔を上げてみると、そこには空一面オレンジ色の綺麗な夕焼けがありました。
それを見た時、「ああ、このための曲だったのか」と思ったのです。
世界を鮮やかに染め上げる夕焼け、少しの肌寒さ、晩秋の澄んだ空気の匂い。それらは未来への希望に満ち溢れ、透き通った心地よさを纏う「ポラリス」と強烈に結びついていました。
今でもこの曲を聴くとあの時の記憶がありありと浮かんできます。まさに謎しっくり現象ですね。
そんな体験がもう一回したいよ~~~!!!!!!!!
ということで、今回はこの謎しっくり現象が起こるまで永遠に歩き続けなければならない旅をしていきたいと思います。よろしくお願いします。
旅のしおり
旅をする上での条件やルールなどについて記しておきたい。
まず第一に決めなければならないことは、何の曲で謎しっくり現象を起こすかであろう。
これは選曲によって色々と発生率なども変わってきそうな気がするが、今回に関しては「Virtual Insanity」でいこうと思う。
「Virtual Insanity」といえばアシッドジャズを代表するバンドのひとつであるジャミロクワイの大名曲だが、そんなこの曲を今回の旅のお供に選んだ理由としては、意外とこの曲と相性のいいシチュエーションは少ないのではないかという持論があるためだ。
何を隠そう、このリサフランクが人生で一番聴いた曲は間違いなく「Virtual Insanity」である。それ故に散歩やドライブ、あるいは入浴中など様々な場面でこの曲を聴いてきているが、"ちょうど今この時にぴったりだな"みたいなしっくり感を覚えたことは一度たりともない。
というのもこの曲、率直に言ってしまえば超オシャレでかっこいいので、一聴すれば深夜の高速を走る時などに合いそうなものなのだが、そこで歌われているリリックに関しては遺伝子改良といったトピックに対して疑問を呈するかなり社会的なものとなっている。そのため、そんなオシャレさとシリアスさを併せ持ったシチュエーションに出会うことが中々ないのだ。
作曲する上でのインスピレーション元が札幌の地下街であるというエピソードも有名なこの曲であるが、どのようなタイミングに謎しっくり現象は起きるのか。楽しみ!
次は何処を歩くかについてだが、これに関しては品川駅をスタート地点とし、東京23区内をジグザグに北上していくこととする。
これは旅の目的が目的である以上、ちょっと歩くだけでも景色がコロコロ変わっていくこのルートが最も適していると判断したためだ。
なお、道中体験する全てのシチュエーションとの相性を確かめなければならないため、謎しっくり現象が発生するまでは無限に「Virtual Insanity」をリピート再生するものとする。果たして何回聴くことになるのだろうか。
さて、それでは旅のはじまりです。
うお~~~~~~~~~!!!!!!
へにょぺ
いざ出発
さあ、スタート地点にやってまいりました。
既に「Virtual Insanity」を再生し始めていますが、やはり最高の曲ですね。ずっと聴いていたいです。
品川駅ってあまり来たことありませんでしたが、ディスプレイの配置の仕方的になんかもう既にちょっとハマりそうな光景ですね…?
平日朝のラッシュ時とかに来たらもっとディストピア感あってしっくりきたかもしれませんが、そこまでピンと来なかったのでこのまま進みます。
駅から出て、目黒の方面に足を進めます。
のどかな風景ですね~。現状爽やかな空気が漂いすぎて全然謎しっくり現象が起きそうな気配はないです。
…。
……。
………。
…………。
いい感じの風景は見つかるけど、ことごとく「Virtual Insanity」には合わない。
この曲と朝の住宅街の相性は最悪です。あまりに合わなすぎて体調が悪くなってきました。
まあ正直そんなのは旅に出る前からある程度予測がついていたことはあるのですが、全てのシチュエーションも余すことなく試さなくては意味がなくなってしまうので仕方なく歩いています。
あと、僕は一曲を繰り返し再生するという聴き方を全くしてこなかった人間なので、たとえ大好きな「Virtual Insanity」とはいえ少し辛くなってきました。ちなみにこの時点で聴いた回数は8Virtual Insanityです。
めげずに歩いていきます。
さて、そんなこんなで渋谷にやってきました。
ここまでの距離は7.5km、曲を聴いた回数は20Virtual Insanityです。
今のところ謎しっくり現象が起きそうな気配はほぼ0です。
混沌の街・渋谷といえどもこの時間帯は健全な賑わいを見せている。
さて、ここからは東へ向かっていきます。
六本木を経由し、新橋の方を目指しますよ。
喜多方ラーメンを食べました。
喜多方ラーメンは「Virtual Insanity」には合いません。
現時点では歩いた距離が14km、曲を聴いた回数が37Virtual Insanityです。
スタートから既に4時間経っていますが未だ謎しっくり現象発生の予兆なし。これはまずいことになってきました。
そもそも青空がミスマッチかもしれません。こんなに真っ青な空、元気がいっぱいになってしまう。
しかしここからは太陽も下りてくる時間帯。
くじけず進み続けましょう。
その現象はまんだらけコンプレックスの3FでPS2のゲームソフトを物色している時に起こりました。
ひとつひとつ手に取って眺めていたら目が痛くなってきたので、一歩下がって休憩してみると、棚全体がよく見渡せます。端から端までぎっしりと並ぶソフト。店内が薄暗いのも相まってか、その光景は閉塞感を感じさせました。
凝り固まった体をほぐすために軽く肩を回しながら息を深く吸い込みました。中古屋特有の淀んだ空気です。
つい30分ほど前までは広い青空の下、活気あふれる街を自由に歩き回っていたのに、今はこんな縦長な建物の中で肩を凝らせている。そしてそんなこの瞬間を、今日この旅をしてきた中で最も楽しいとも思っている。
そんなことを考えた瞬間、一気に僕の目の前の世界と「Virtual Insanity」が融合しはじめました。
「Virtual Insanity」を語る上で外せないのが、その印象的なMV。
ジャミロクワイのボーカルであるジェイ・ケイが無機質な空間を背景に歌い踊る映像は、あらゆるMVの中で最も有名なもののひとつだと言っても全く過言ではないでしょう。
リサフランクにとって、その無機質な空間とはまんだらけコンプレックス3Fだった。そういうことです。
ここまで歩いた距離は19.7km、曲を聴いた回数は55Virtual Insanityでした。
とはいえまだ時間があったのでそれからも旅を続けてみましたが、
やはり先ほどの謎しっくり現象のような感覚はありません。
あの閉塞感と淀んだ空気、
そしてそれらを何故か楽しんでしまえる自分自身の心が合わさったからこそあの現象は起こったのでしょう。
旅を終えた今なら断言できます。
「Virtual Insanity」はまんだらけコンプレックス3Fで聴くために作られた曲でした。
【今回の旅路】
歩いた距離:30.58km
曲を聴いた回数:89Virtual Insanity
旅を終えて
果たして本当に一日で終わるのか不安でしたが、予想よりも短く済んだので良かったです。
しかし「Virtual Insanity」って本当に名曲ですね。一日に89回も聴いたのに今でもちゃんと聴きたくなります。スチュアート・ゼンダーのベースの凄さも再確認することができました。
あと、やはり謎しっくり現象が起こった時の気持ちよさはすごいですね。
外を歩きながら音楽を聴くとどうしても集中力は削がれてしまいがちですが、この体験に関しては"ながら聴き"でしかできないと思います。
オススメなので皆さんもぜひ謎しっくり現象スポットを探してみてください。
それでは、最後にトリビアを披露してこの記事を終わりたいと思います。
「Virtual Insanity」の歌い出しは、本当は"童(わっぱ)レバニラ?やめてやぁ~"と言っている
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