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音楽に関する異常な存在について

こんにちは。
レイレイ・セフォーと申します。

皆さん、「SCP」というものをご存知でしょうか。
恐らく、Internet Cultureに明るいであろう皆々様でしたら知っている人も多いはず。

知らないという人向けに端的に説明しますと、「SCP」とは、SCP財団と言われる組織によって管理されています。
財団は「オブジェクト」と呼ばれる異常存在を、確保(Secure)、収容(Contain)、保護(Protect)することを目的としており、それらの過程や結果の報告書をまとめたコミュニティサイト。

その異常存在がどういった異常性を持っているのか、どういった経緯で生まれたのか、どういった実験が行われたのか、などを読むことができます。

まあ、むちゃくちゃ簡単にいうと「インターネットを媒介にしたSFホラーショートショート集」です。

ちなみに一番有名なのは恐らくこれ。

SCP内の報告書(投稿)には、タグ機能が存在し、「音楽」というタグが存在します。

この「音楽」タグが記された報告書には、さまざまなベクトルで音楽が関わる異常現象について知ることができるのです。

今回は、そんなSCPから怪奇的な音楽譚を紹介します。


SCP-548-JP

SCP-548-JP

こちらはSCP日本支部の音楽タグが付いた報告書のなかで、もっとも評価が高いものになります。
オブジェクトは、雨傘
雨粒が当たるとそれに呼応して、ピアノの音色がなるというもの。
その旋律はショパンの「練習曲作品10第3番ホ長調」と一致するそうです。

正体は、ある日交通事故に遭い、不幸にもなくなってしまった当時10歳の少女の持ち物。
その少女がピアノコンクールに向かう際に起きた事故だったそうです。

この傘、褒めれば演奏が上手くなるようです。対して、貶すようなことを言うと下手になり、最終的には無視をするとのこと。
子供のような純粋さを持った傘と、その傘に魂が乗り移った健気な少女のことを考えると少し悲しい気持ちになる報告書です。


SCP-3834

SCP-3834

SCP-3834は、24枚組のレコード
一見すると、ただのレコード。
しかし、もちろんただのレコードではなく、地下760mに眠る金庫の中に保管されていたモノ。
これは推定7550〜7700年前のモノであることが分かっています。

このレコード、40〜45分の録音がされており、音質の劣化も見られるとのこと。
内容は、「ザ・ビーチ・ボーイズ、チャック・ベリー、エンゲルベルト・フンパーディングなどの著名なアーティストによる1950年代後半〜1960年代後半にかけて人気のあった曲で構成され」ていて、すべての曲をドン・ハートリーと名乗る人物によって演奏されています。

このドン・ハートリー。正体は何者なのか、何故白亜紀頃の地層から見つかったのか、全てが謎に包まれています......

謎の男ドン・ハートリー

報告書内には、録音された音声の文字起こしもあるので、ぜひ読んでみてください。


SCP-012

SCP-012

イタリア北部のある荒れた墓地にて発見された楽譜、SCP-012。
SCP-012には、「ゴルゴダの丘で」と名付けられており、赤黒いインクでその譜面が書かれています。

この楽譜を一瞬でも目にしてしまうと、精神が錯乱状態に陥り、自傷行為を行い、果てには自殺にまで至ってしまうとのこと......

意味深長なタイトルには、ある種の怨念めいたものを感じます。

短文ながらも完成度の高い名作。


SCP-1506-JP

SCP-1506-JP

西暦4168年に発見されたワームホールからアクセスできる謎の空間、SCP-1506-JP。
空間内には浮遊する飲食物や照明器具、音響機材などが存在しています。

この空間には、二種類の生物が存在しており、一つは、身体を常に激しく動かす様々な個体たち。
もう一つが、機材の操作や演奏などを行う球体型の謎の生物で、コイツはあらゆる言語を巧みに使いこなし、スラングで話してきます。

球体型の謎の生物

つまり、SCP-1506-JPは「宇宙クラブ」と言える空間。
身体を動かす個体たちは、トランス状態で踊っているということでしょう。

基本的には、我々には知り得ない音楽が流れまくるそうですが、たまに地球の音楽が流れるそうで、それが以下のリスト。

・調性の無いバガテル
・0分00秒
・ヌートピア国際賛歌
・般若心経ポップ
・AM 3000

しかし、(宇宙云々は置いておいて)この選曲が流れるフロア、一体どうなってんの?

報告書には、クラブスタッフである謎の生命体とのインタビューログも記載されています。


SCP-982-JP

SCP-982-JP

SCP-982-JPは、過去に一般に市販されていたラジオの一つ。
自宅でポルターガイスト現象を訴えた持ち主の死によって発見されました。

このラジオからは定常的に音楽が流れます。
流れている音楽はジャズで、1910年後半から1980年後半までの既存曲ですが、その全てにアレンジがかかっていて、演者を変えながら、4日から191日の間で続くそう。

このラジオの持ち主はバーテンダーだったらしく、大量のジャズ音源を所持していたとのこと。

こうやって生まれた

音楽としてどういったモノなのかという不透明さはありますが、実在するなら欲しいという好事家もいるかもしれない代物。




いかがでしたでしょうか。
今回は不思議だったり、恐ろしかったりするオブジェクトを5点ほど紹介しました。

SCPには、「音楽」タグがついた報告書が他にも100以上もありますので、興味がある方は面白い報告書を探してみるといいかもしれません。


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