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日本最初のアレを知ろうぜ

みなさん、こんにちは。

いかがお過ごしでしょうか。
今日も元気にdigってる最中でしょうか。

ある日、ふと気になったことがありまして。

WOW WAR TONIGHT 〜時には起こせよムーヴメント』ってあるじゃないですか。


ダウンタウンの浜田雅功と小室哲哉によるヒットソングです。先日絵本の件でも話題になったので、ご存知の方も多いかと思います。

この曲、いわゆるジャングルと呼ばれる音楽ジャンルの楽曲とされていて、イギリス生まれのジャングルを日本に輸入した曲とされてます。

まあ、実際にこの曲がジャングルなのかどうなのかという論争がたまーに発生しますが、少なくともジャングルの要素は含まれていて、さらに売上は200万枚強の大ヒットだったわけです。

そしてこの『WOW WAR TONIGHT 〜時には起こせよムーヴメント』は、一般的に世界中のジャングルの中で最も売れた楽曲とされているみたいで、Wikipediaから引用すると、

この曲のヒットにより、イギリスのサブカルチャー雑誌『i-D(英語版)』に「世界で初めてジャングルで100万枚を売り上げたプロデューサー」として小室哲哉が特集された。

Wikipedia

らしいです。

ということで、世界で一番売れたジャングルであり当然日本でも一番売れたジャングルになるわけなんですけど、じゃあ日本で一番最初のジャングルってなんなのでしょうか。

ジャングルの成立は諸説あり、アングラで発展したことも踏まえると正確なことはわかりませんが、1991年から1992年頃とされています。
そして、『WOW WAR TONIGHT 〜時には起こせよムーヴメント』のリリースは1995年3月
まあまあの期間が空いてるんですよね。

なので、小室以前に鋭いアンテナを持ったアーティストがいてもおかしくはないんですよ。


と、いうことで今回は色々なジャンルの"日本最初の楽曲"を調べてみたいと思います。

調べ方としては、diggerの皆様のご実家Discogsでの詳細検索を用いて調べていきます。ジャンルごとに研究された量の違いで情報量にムラが出ちゃう気がするのでDiscogs1サイトに絞ります。

もちろん、基本的には調べられる範囲の情報になります。なので、それこそジャングルのようにアングラ発祥のジャンルにおいては、リリースされていない(discogsには登録されていない)幻の作品が存在している可能性もあります。
その辺の当時の事情を知る有識者の方はご連絡いただければと思います。

それでは、


「さて、どこへ行こうかしらね。ネットは広大だわ...」


Jungle

まずは手始めに、先述したジャングルから。

Discogsでは、検索ページの左のバーからジャンル年代などを絞り込むことができます。

ジャングルだけで8000枚ほどが登録されているようです。

さらに出荷元を絞り、年代の欄を見ると、こんな感じ。

お!日本で1994年に発売されている!


と、思いきや、海外アーティストのコンピ盤ですね。
もちろん、日本のアーティストだけではなく海外アーティストの国内盤も含まれちゃいます。

収録曲をざっと見てみてもジャングルっぽい曲は無く、UB40やSoul II Soulなどのレゲエが入っているようです。

ってことで、1995年をチェック。
『WOW WAR TONIGHT 〜時には起こせよムーヴメント』が発売された年です。

登録されているのは15枚
H Jungle With Tがチラチラと見えます。
この中から日本のアーティストを探し、リリース日をチェックしたところ......

「「「 WOW WOW WAR ~♪ WOW WAR TONIGHT~♪ 」」」

『WOW WAR TONIGHT 〜時には起こせよムーヴメント』でした。
『WOW WAR TONIGHT 〜時には起こせよムーヴメント』は日本で一番最初にリリースされ、世界で一番売れたジャングルということなんですね~。すげ〜。

ちなみに2番目にリリースされているのは、同じくAvexのMore Deepによる『Wao!! 』という曲らしいです。聴いてみましたが、全然ジャングルじゃね~。


https://www.discogs.com/ja/master/1225591-More-Deep-Wao


今の時代の観点からいえば成立から3年後は遅いような気がするんですが、当時のネットワークを考えればそこまで遅いってことはなさそうです。



……という感じでやっていきます。
一番最初なので丁寧に進めましたが、次からはテンポよく行きましょう。



Shoegaze

お次は、近年リバイバル(?)傾向にあるシューゲイズ

シューゲイズというジャンルも成立がだいぶ曖昧な印象。
ニューウェーブ、ポストパンク、ネオサイケなどの音楽や、レイヴシーンやマッドチェスターのようなカルチャーから影響を受けていますし、色々なものが徐々に混ざりあっていった感じだと思っています。
なので、仮説としてクリエイションMBVIsn't Anythingをリリースした1988年を元年としましょう。

ということで、ジャングルと同じように検索。
シューゲイズの作品数は7000枚程度。
意外と少ない気もするんですけど、シューゲイズの成立とジャングルの成立がほぼ数年差のことを考えると、似たような枚数なのも頷けるのかも?

そして、日本のアーティストの作品数は266枚で、さらに1980年代に日本人がリリースした作品が2枚だけヒット。

1989年の作品はサロンミュージックの『O Boy』。

そして、1988年の作品はまさかのルースターズ大江慎也(!!!)


うーん、どちらも要素としてのシューゲイズはあれど、ニューウェーブの延長っぽさは否めないのかも...

ということで、1991年を見ると...

https://www.discogs.com/ja/release/3815955-Venus-Peter-Lovemarine

Venus Peter!!!

どうやら、シューゲイズとして日本で最初に音源化したのは、Venus  Peterの1st『LOVEMARINE』のようですね。
ネオアコだろ!と言われると、まあそうかもしれませんが、これは納得。
サウンド面でも完成度が高く、そのあとのブームを牽引したのも頷けますね。
2nd「Space Driver」は聴いたことがあっても、1stは知らなかったという人も多いかもしれません。

やはり、シューゲと渋谷系は切っても切れない関係ですね。サロンミュージックも渋谷系ですし。


House

続いてはハウス。
ハウスミュージックはWikipediaに誕生年が載っているのでそれを一旦信用して、1977年誕生で行きます。

ハウスはアイドルソングに多い印象。
他には、寺田創一が代表的な気がしますが、寺田創一は90年代ですし、どうなんでしょう。

国内のリリースの総数は1300枚弱
意外と少ないですね……なんでだろう......

1980年代に9枚の国内アーティストのリリースがあるようです。
時期的には誕生から10年以上経っているので、輸入された情報がかなり整理された状態になってから、日本国内のクラブ文化が浸透し始めたから、といった具合でしょうか。

やはり、アイドルの名前が目立ちますね。
他にはタイニーパンクスもいます。

この中で最も古いのはこちらの作品。

https://www.discogs.com/ja/release/12924256-%E5%B0%8F%E6%B3%89%E4%BB%8A%E6%97%A5%E5%AD%90-Fade-Out


小泉今日子Fade Out』。なるほど……。
このシングルが日本最古のハウスと言われると、若干疑問が残りますが、まあデータ上はそうなってるんだからそうなんでしょう。

ハウスに関しては、ディスコ/クラブ文化とどんな音楽ジャンルよりも密接ですし、リアルタイムの現場でしか分からないことは多いでしょう。

例えば、『Fade Out』と同年にリリースされた、とある『1st Unit』というEPは、1989年に関係者とクラブの会場限定で合計1000枚のみ配られたモノらしいのです。
おそらく、こういった事例が他にもたくさんあったんだと思います。

ちなみに、この1st Unit。今年の4月16日にBandcampにて、Vinylでリイシューされたようです。気になる方はぜひチェックしてみてください。


Black Metal


最後はブラックメタル

ジャンルの代表的なバンドであるMayhemや、Burzum、Darkthroneが活躍した1990年代は実はSecond Waveと呼ばれる第二世代。
成立は、Venomが1982年にリリースした「Black Metal」からだと言われています。

日本でリリースされた作品数は297枚

少ないですね。まあそんなにそこら中にいる音楽では無いんですけども...
1980年代の国内アーティストのリリースは8枚。
Venomは日本で「Japanese Assault」をリリースしていますし、やはり影響力は大きかったみたいですね。

その中でも最も古いとされている作品はこちら。

https://www.discogs.com/ja/release/3546376-Sabbat-Sabbat

80年代日本のアングラなメタルシーンを代表する、Sabbatの1985年の1stシングル『Sabbat』!!!

これはご存じの方なら納得かもしれませんね。
「Black Fire」と「Mion's Hill」のSabbatの代表的な2曲でもあり、同時代のブラックメタルと比較するとエネルギッシュさとギターのインパクトの強さに惹かれるモノがあります。
日本語なのもいいですね~。間違いなく日本のアングラシーンの源流の一端であるといえるでしょう。






いかがだったでしょうか。

若干の審議の怪しさはありますが、いい感じの勉強になったかと思います。

皆さんも自身の好きな音楽ジャンルについて、改めて調べなおしてみると、新たな発見があるかもしれません。

お試しあれ。


P.S.  正しい情報をご存じの方がいましたら、ご教授いただければ幸いです。



※編集註
この記事での検索方法では検索漏れが発生してしまうと指摘がありました。例えば80年代の日本のハウスとして少なくとも314枚がデータベース上に存在するそうです。そのためこの記事でのデータはあくまで参考とお考え下さい。
指摘いただいた猫街まろんさん、大変ありがとうございます。



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