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燃える指 あるいはそれらと同等の光を数えて生きていきたい


南寄りの日が差し込み
思考が少しずつ加速する
冬至の色を匂わせて
こうしてこの部屋に
冬の朝はやってくる


あなたをずっと覚えている
表情や声は思い出せなくても
気配は鮮明に
その身から立ち上る煙のことを
深く愛した私のこと
魂が既に知っている


見えなくても見えていて
そこになくても確かにある
そういうことを
言ったことはなかったけれど
多分 信じてくれただろう
声に出して共有したことが
私たちのすべてではなかったから


七時を過ぎるとこの部屋は
黄金色の光に満ちていく
珈琲の湯気 吐いた息 白く揺れ
あなたは今もそこにいる
唄をうたう 子守唄を
この星の中で
泣いていたいつかの私へ


生活を意図して行う
無宗教の私の祈り
生存することを選びとり
道中に立ち尽くして尚も
この指は燃え上がる
人から受け取った光に生かされ
それらを数え至った場所で
もう一度、あなたに会いたい